ボルダラス監督は意外に柔軟だ
スペイン1部のヘタフェへ移籍したばかりの久保建英が11日、エルチェ戦に途中出場して2得点に絡み、3-1の勝利をもたらした。そんな久保は果たして、ヘタフェで輝けるのだろうか?
ヘタフェはアグレッシブな守備が特徴のチームだ。敵の選手を体ごと根こそぎ持っていくような激しい(ファウルまがいの)デュエルが特徴である。いわば「肉体労働者」のチームといえる。
で、移籍前から「ヘタフェは久保に合わないのでは?」との見方が一般的だった。だがデビュー戦でその憶測は見事に覆された。これには理由がある。監督のタイプだ。
セレクター型の監督は選手の特徴を生かす
サッカーの監督には2種類いる。フィロソフィ型とセレクター型だ。
前者のフィロソフィ型は自分の哲学(フィロソフィ)をもっており、それを頑なに実現しようとする。つまり自分の理想とする戦術やシステムがまず先にあり、集めた選手をその鋳型にハメ込むようにしてチームを作る。「俺の言うことを聞け」というわけだ。
一方のセレクター型は、まず優秀な選手たちを選び、集めた選手それぞれの特徴やスタイルに合うポジションを考え、その結果として「うちのチームはこういう戦術とシステムで戦うのがベストだ」と結論を出すタイプの監督だ。
ボルダラス監督は臨機応変な理想主義者だ
ではヘタフェのボルダラス監督はどちらのタイプか? 事前情報ではガチガチに守備的でフィジカル勝負のスタイルだとされていたので、てっきり頑迷なフィロソフィ型だと思っていた。
ところが実際に久保のデビュー戦を見て、予想は覆された。ボルダラス監督はフィジカルがなく線が細い久保に、「敵の選手を体ごと持っていくような激しいデュエル」などは求めてない。つまり柔軟なセレクター型の監督だ。
その証拠にボルダラス監督は、本職がサイドバックのマルク・ククレジャを、運動量やアグレッシブさを買ってMFで使っている。また同じくサイドバックのアラン・ニョムを、そのスピードとフィジカルを見込んでウィンガーとして起用している。
おまけにボルダラス監督は、実はクライフ主義者である。つまり理想(フィロソフィ)はそこだ。だが一方、ヘタフェの戦力や順位、選手のタイプを考え合わせ、勝つために理想とはまったく別の「デュエルで勝負するカウンターサッカー」という現実路線を取っているわけだ。非常に臨機応変な監督である。
久保は個性に合うプレイを求められるはず
ところがそこに、バルサのカンテラ(下部組織)出身の技巧的な選手が2人も降ってわいた(移籍してきたアレニャと久保)。しかも、もとからいるバルサ・カンテラ出身のククレジャを合わせて3人だ。
とすれば、戦力に合わせた戦術を考えるクライフ主義者のボルダラス監督としては、ある程度の軌道修正を行うのではないか? もちろん優美で華やかなサッカーに切り替えるなどということはないだろうが、選手の個性に合わせた微調整はするはずだ。
例えば現有戦力を8割の「肉体労働者」と2割の「貴族」に分け、点を取る仕事をする貴族の久保には他の選手にさせているようなファウルまがいのデュエルまでは求めない可能性がある。
とすれば久保は、自分の持ち味に合ったスタイルでプレイできるのではないか?
アグレッシブなデュエルとカウンターサッカーという泥臭い花壇の上に、久保が鮮やかな大輪の花を咲かせるかどうか? 見物である。
スペイン1部のヘタフェへ移籍したばかりの久保建英が11日、エルチェ戦に途中出場して2得点に絡み、3-1の勝利をもたらした。そんな久保は果たして、ヘタフェで輝けるのだろうか?
ヘタフェはアグレッシブな守備が特徴のチームだ。敵の選手を体ごと根こそぎ持っていくような激しい(ファウルまがいの)デュエルが特徴である。いわば「肉体労働者」のチームといえる。
で、移籍前から「ヘタフェは久保に合わないのでは?」との見方が一般的だった。だがデビュー戦でその憶測は見事に覆された。これには理由がある。監督のタイプだ。
セレクター型の監督は選手の特徴を生かす
サッカーの監督には2種類いる。フィロソフィ型とセレクター型だ。
前者のフィロソフィ型は自分の哲学(フィロソフィ)をもっており、それを頑なに実現しようとする。つまり自分の理想とする戦術やシステムがまず先にあり、集めた選手をその鋳型にハメ込むようにしてチームを作る。「俺の言うことを聞け」というわけだ。
一方のセレクター型は、まず優秀な選手たちを選び、集めた選手それぞれの特徴やスタイルに合うポジションを考え、その結果として「うちのチームはこういう戦術とシステムで戦うのがベストだ」と結論を出すタイプの監督だ。
ボルダラス監督は臨機応変な理想主義者だ
ではヘタフェのボルダラス監督はどちらのタイプか? 事前情報ではガチガチに守備的でフィジカル勝負のスタイルだとされていたので、てっきり頑迷なフィロソフィ型だと思っていた。
ところが実際に久保のデビュー戦を見て、予想は覆された。ボルダラス監督はフィジカルがなく線が細い久保に、「敵の選手を体ごと持っていくような激しいデュエル」などは求めてない。つまり柔軟なセレクター型の監督だ。
その証拠にボルダラス監督は、本職がサイドバックのマルク・ククレジャを、運動量やアグレッシブさを買ってMFで使っている。また同じくサイドバックのアラン・ニョムを、そのスピードとフィジカルを見込んでウィンガーとして起用している。
おまけにボルダラス監督は、実はクライフ主義者である。つまり理想(フィロソフィ)はそこだ。だが一方、ヘタフェの戦力や順位、選手のタイプを考え合わせ、勝つために理想とはまったく別の「デュエルで勝負するカウンターサッカー」という現実路線を取っているわけだ。非常に臨機応変な監督である。
久保は個性に合うプレイを求められるはず
ところがそこに、バルサのカンテラ(下部組織)出身の技巧的な選手が2人も降ってわいた(移籍してきたアレニャと久保)。しかも、もとからいるバルサ・カンテラ出身のククレジャを合わせて3人だ。
とすれば、戦力に合わせた戦術を考えるクライフ主義者のボルダラス監督としては、ある程度の軌道修正を行うのではないか? もちろん優美で華やかなサッカーに切り替えるなどということはないだろうが、選手の個性に合わせた微調整はするはずだ。
例えば現有戦力を8割の「肉体労働者」と2割の「貴族」に分け、点を取る仕事をする貴族の久保には他の選手にさせているようなファウルまがいのデュエルまでは求めない可能性がある。
とすれば久保は、自分の持ち味に合ったスタイルでプレイできるのではないか?
アグレッシブなデュエルとカウンターサッカーという泥臭い花壇の上に、久保が鮮やかな大輪の花を咲かせるかどうか? 見物である。