すちゃらかな日常 松岡美樹

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【政界再編の課題】立民・江田氏は「食料品の消費税0%」をやめ「完全廃止」に舵を切れるか?

2025-02-22 15:19:51 | 政治経済
安藤裕氏の指摘で「食料品だけ0%」の欠陥があらわに

 つい昨日、本ブログが書いた記事では、立憲民主党の江田憲司・元代表代行が唱える「食料品の消費税0%」がもつ致命的な欠陥にふれたばかりだった。

 なんと驚いたことに、その政策では食料品の消費税を0%にするせいで「仕入れ税額控除」が受けられず、かえって納税する事業者が損をするケースが出るらしい。

 だがそれを知らずに「江田案」を支持していた元明石市長の泉房穂さんは、途中で気づいて支持を取り消したようだ。

 この落とし穴を最初に指摘したのは、元自民党議員の安藤裕さんだった。続いて昨日、その安藤さんが以下のYouTube動画をアップロードされた。

 どうやら立民の江田氏による政策「食料品の消費税0%」に賛同し、連携していた泉さんがその安藤さんの作った解説動画を観てコトの次第に気づいたようなのだ。

 で、急遽、すでに予定していた食料品・消費税0%を訴える「第2回ツイデモ」を中止したらしい。

 一方、安藤さんの方はといえば、そんな回避行動を取った泉さんに以下の通り、お礼を述べている。これにて一件落着というわけだ。うまく意思の疎通が取れてよかった。

【食料品の消費税ゼロ一旦停止】泉房穂さんありがとう(安藤裕チャンネル)
✳︎安藤さんは、泉さんとすんなり意思の疎通ができたようだ。

このあと江田氏はどんな行動を取るのだろうか?

 とはいえ問題は、完全には解決できていない。

 現に立民の江田氏はすでにおよそ60人からのメンバーを引き連れて、食料品・消費税0%の「勉強会」を開設してしまっている。

 他人に余計なお世話といえばその通りだが、肝心の江田氏は今回、問題になった「仕入れ税額控除」がネックになり納税者に損をさせる件についてご理解されているのだろうか?

 これはなかなか引っ込みがつきにくい問題だけに難しい。

 だが「自分のまちがい」に気づいたとき、果たして見栄を張らずに素早く決断し、正しく軌道修正できるかどうか? で政治家の価値はハッキリ問われる。

 ここが大きな見せ場ともいえる。

 もしや、とは思うが……江田氏がこのまま意地を張って政策を変えずに横車を押すようなことになれば、屋上屋を架すみたいな話になってしまう。

 江田氏を筆頭とする立民の消費税・減税勢力は貴重な未来の「友軍」だけに、無事、着地すべきところに降りられることを祈りたい。

 例えばだが、もう思い切ってあの「食料品の消費税0%」をやる勉強会は、「消費税の完全廃止を訴える会」にでも変身されたらどうだろうか?(いや余計なお世話だが)

 というのも江田氏はすでに従来から消費税の「5%減税」は(確か)訴えてこられたわけだから、もしこれ以上の活動をやるとすれば「完全廃止」以外にないと思えるからだ。
 
 だがそこに中間点としてうまく「食料品だけ0%」がちょうどハマったわけなんだろう。とはいえ、もうそのルートは事実上、消えてしまった。

 では江田氏は今後、どう身の振り方を考えるのか? ここから先は江田氏自身の問題になってくる。

江田氏の意図を調べてみるとビックリだった

 実はいままで個人的には、江田氏についてはあまり深く調べたことがなかった。で、いい機会だから今回ちょっとサーチしてみた。

 すると基本的に江田氏は「食料品の消費税0%」を、今夏に行われる参議院選挙における立民の公約にしたい意向のようだ。

 ただし一方、同氏はさらに先を見据えてもいる。

 例えば2024年12月27日に行われた泉さんとの対談動画(泉房穂の政治 【救民内閣構想】チャンネル)の18分前後あたりに出てくるセリフがそれだ。

 この中で江田氏は、ちょうど政権交代に触れている。その部分で語った江田氏のコメントは以下の通りだ。

「5%減税や廃止など程度の差はあれ、野党各党はみんな消費税減税を訴えている。とすればこのテーマは野党連携の大きな柱になる。もし天王山の2025年に行われる参院選で野党各党が消費税減税を共通公約の柱にし、選挙区調整もして望めば政権交代も見えてくる」

 つまり江田氏が政策「食料品の消費税0%」を掲げた意図は、第一義的には立民の公約にするためだ。しかし先を見れば野党各党が消費税減税を旗印にして連携し、政権交代をめざす未来も描いているわけだ。

 ここまでは、まったくうなずける筋立てである。(もっとも今回のような「食料品の消費税0%」が逆に、納税者の損になってしまう問題を除いてではあるが)

 さて、この泉氏との対談で江田氏が「政権交代する光明が見えてきた」と解釈する論点を(彼の言葉をもとに)整理すると、以下の2点になる。

(1)維新の体制が変わり、政権交代をめざす吉村体制になった。だから維新とは連携できる。実際に自分は維新の幹部と話し合っている。

(2)「自民党とは組まない」という国民民主党のバックにいる連合は、政権交代志向だ。だから立民その他の野党と共闘の芽はあるーー。

 みなさんは、これらの論点を見てどう思われるだろうか?

江田氏「野田代表に頑張ってもらいまとめ役を頼む」

 で、結論として江田氏の構想では、以下の2点がキーになるようだ。

(1)立民と維新、国民民主が3本柱になれば政権交代できる。

(2)「もし私(江田氏)が立民の党首ならそれをやる自信はあるが、いまの党首は野田(佳彦)さんだ。野田さんにはぜひ頑張ってもらう。まとめるのは、やっぱり野党第一党だ」

 こういうお考えのようだ。

 ここでひとつ、忌憚のない意見を言わせていただこう。

 あの緊縮派が多い極めて「筋悪」の立民が中心になり、しかも財務省の化身のような野田代表を今さら主役に立てて政権交代をめざすなんて、まったくセンスのカケラもない時代遅れなその発想にひどく驚かされた。

 それでいったい「票が取れる」とでも、本気で思っているのだろうか?

 この世論との大きな乖離には、もう本当にビックリだ。

 なるほど「だから立民は世論の支持を完全に失っているわけだな」と、逆の意味で納得させられるストーリーに見えた。

 現に最近の各種・世論調査でも立民の支持率は下落する一方だし、特に野田代表個人の世間に対する人望のなさは有名な話なのに……。

国民民主党は若い「棄権者」を選挙に呼び戻した

 他方、最近の政党支持率調査では、決まって相対的に国民民主党の支持率がウナギ登りだ。日の出の勢いともいえる。

 つまり同党代表の玉木雄一郎氏は何より経済のセンスがあり、「103万円の壁」など経済問題を巧妙に取り上げながら世論に仕掛けて行く。

 ここに生活が苦しい20〜30代のワーキングプアなどの若い層がピッタリ惹きつけられている。

 しかも彼らの中には今まで選挙を棄権していた階層も含まれている。玉木氏が打ち出す「飢えをしのげる経済政策」を見て、それに惹かれて選挙へ行くようになったわけだ。

 こんなふうに国民民主党が掘り起こす新世代の有権者によって、投票率は今後、ぐんぐん上がるだろう。これにより確実に世の中が変わるはずだ。

 どういう意味か?

 これまで全有権者の50%は、ずっと選挙を棄権していた。

 そして残りの選挙へ行く50%のうち、過半数の票の多くを自民党と公明党が組織票ですっかり固めてしまっていた。だから政権は長年まったく動かず、自動的に自公政権が続いてきた。

 残りの50%が選挙へ行かなかったせいだ。これでは票の動きようがない。

 つまりこれまでは全有権者の50%が選挙を棄権していたために、残りの過半数を自公がほぼ占有してしまい政権を握り続けてきたわけだ。

 だが国民民主党がまったく新しく開拓した、これまで選挙を棄権していた階層が選挙へ足を運ぶようになったのは大きい。

 なぜなら今までは、(繰り返しになるが)全有権者の50%が選挙を棄権してきたからだ。ゆえに自公で全体のほんの「3分の1くらい」の票を取りさえすれば、政権が握れた。

 だが今後は、このバランスが決定的に崩れるのだ。

 自公はもっと票を取らなければ、いまの石破政権のような少数与党になってしまう。いや、それでも政権を取れているだけマシだとさえ言える。

 今後はさらに選挙を棄権する人が減り、そのぶん野党に票が入って自公政権はそのうち続かなくなるだろう。

 すべては国民民主党の玉木雄一郎代表が、なにより経済政策を武器に「新しい風」を起こしたからだ。

経済の素養が欠落している政治家は通用しない

 一方、それに引き換え、江田氏の思考はどうだろう?

 おそらく(想像だが)江田氏は経済の素養に乏しく、例えば「正しい貨幣観」とか、あるいはそもそも「積極財政で日本を救おう」などという概念すらお持ちではないのではないか? と推測される。

 その証拠に、上記の泉さんとの対談の中で江田氏は「財源をどうするか?」というセリフを仕切りに何度もおっしゃっている。たぶん「税は財源じゃない」という事実もご存知ないのだろう。

 で、(立民とは対照的な)国民民主党の「103万円の壁の引き上げ」のように彼らが経済政策で若い層の人気を得ているのを見て、おそらく江田氏は自分が苦手な経済分野に今回、「食料品の消費税0%」という政策でチャレンジしてみた。

 するとたちまち無知をさらけ出してしまい、今回のように食料品を消費税0%にしているのに却って納税者が損をするという制度設計の誤りを犯してしまったわけだ。

 江田氏はこの対談の中で、「国民の皆さんは生活が苦しいなか、じゃあ食料品ぐらいは0%にしましょうよ、と思いついたのが食料品0%なんです」と語っている。

 確かに誰でもそんなふうに軽い感じで、「品目ごとに消費税減税していけばいいや」と考えてしまいがちだ。

 まさかそれが逆に「増税につながる」なんて、だれも想像さえしないだろう。無理もない。

 つまり今回の事例が「仕入れ税額控除」に差し障ることなんて知らない(失礼ながら)もともと経済オンチの方が、意味もわからず見よう見マネで「食料品を消費税0%にしてみた」のだ。

 すると実は場合によっては「却って損になる」なんて事態を引き起こしてしまった。

 正直、「この人には政治をまかせられないなぁ」と感じる。

いの一番に「維新との連携」を考えるのは新自由主義者だから?

 だいいち、維新との共闘を最初に挙げていることから考えて、江田氏はバリバリの新自由主義者で、緊縮派の「財務省アタマ」なのではないか?

 そんな疑いをもってしまう。

 うーん、ここまで出来上がってしまったお固いこの人の頭を180度、「積極財政」の方向に変えさせるなんて、ちょっとむずかしいかもしれない。

 繰り返しになるが……ずっと世評が下落し続ける一方の立民をいまどき野党共闘のトップに据え、しかもあの財務省の傀儡みたいな野田代表をトップに戴いて政権交代しようなんて、いったいどんなアクロバチックなセンスなんだろう?

 あまりにも時代遅れだ。

 とても驚いた。

 世の中には、自分が住んでいるのとはあまりにも違う、こういう「異世界」もあるんだなぁ、てな感慨すら湧いた。

 ある意味、そんな世間を広げる勉強にもなった一件だった。

 やれやれ。

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