省エネモードのヤワなサッカーだ
J1リーグ第20節、2-2の引き分けに終わったおとといの川崎フロンターレ vs ベガルタ仙台の試合を観てずっこけた。川崎Fがまたあのヒョロヒョロとボールスピードが弱い、ショートパスばかりの軟弱なサッカーをやっていたからだ。彼らお得意の省エネモードである。
日本のサッカー界は決してあのサッカーを見習い、あれを「日本の標準」などにしてはいけない(特に日本代表は)。なぜならあのサッカーでは、ヨーロッパの一流クラスに勝てないからだ。
どうやら川崎Fの鬼木達監督もそれをわかっているらしく、試合後に「自分たちのサッカーにはほど遠いぐらいのミスがあった。自滅に近いと思っています」と語っている。
川崎Fのサッカーには、どうやら2種類あるらしい。2種類とは、この日のような省エネモードのサッカーと、名古屋との首位決戦・第1戦で見せたインテンシティの高い強度のあるサッカーである。
彼らが後者のサッカーをしてJリーグで優勝するなら大歓迎だ。大いに味習うべきである。だが前者のサッカーで省エネしながら勝つのでは、百害あって一利なしだ。なぜなら日本サッカー界への悪影響が甚だしいからだ。
弱いショートパスは世界で通用しない
なぜこの日のような省エネモードのサッカーでは、世界に勝てないのか? それは過去に別記事『ガラパゴス化する日本人の「小さいサッカー」』でも解説した通りだ。まず第一にこの日のような弱いショートパスでは、現代サッカーの高度に密集した狭いゾーン(特に中盤)を通せない。
第二に、川崎Fはこのサッカーをやるためボールホルダーに近よってやり、互いに短い距離を保ってパス交換するからだ。「距離感が大切だ」というわけである。だが、ということは彼らのボールの周辺には、常に3〜4人の選手が固まっていることになる。
もしこのとき敵にボールを奪われ、大きくサイドチェンジされれば、それまでボールに群がっていた3〜4人の選手は完全にまとめて置き去りにされる。つまり川崎Fの「小さいサッカー」は極端にカウンターに弱いのだ。
世界で勝つには「強度」が必要だ
また川崎Fの省エネモード・サッカーは、体を敵に激しくぶつけ肩や腰、足を入れて激しく競り合わない。そういうフィジカルコンタクトのない、ただ足先だけでやるお上品なサッカーである。
しかもスペースでボールをもらうのでなく、足元、足元にボールを欲しがる。チマチマ足元だけでこねるサッカーである。サイドチェンジのような大きな展開のない、まるでフットサルのようなスタイルだ。これでは世界で勝てない。
これはたとえて言えば、ボールを扱う技術レベルだけは高い(がフィジカルやオフ・ザ・ボールがダメな)久保建英が11人集まったチームのようなものだ。これなら技術レベルが圧倒的に高いので、確かに日本国内では勝てるだろう。
だがサッカーは足先の技術だけで争うスポーツじゃない。少なくともヨーロッパの一流国では、激しいカラダの入れあいでボールを奪い合う強度の高い競技である。パスの強さにしろ、フィジカル・コンタクトの強度にしろ、すべての強度が日本とは格段に違う。
そんな世界で、久保建英が11人集まったチームが勝てるわけがない。それは現に久保がヨーロッパで通用してない現状(2021年現在)によってすでに証明されている。つまり日本代表のサッカーが、川崎Fのスタイルみたいになっては困るのだ。それではワールドカップで勝てない。
川崎Fはインテンシティの高いサッカーをやるべきだ
川崎FがJリーグで勝ちまくるのを観て、日本の子供たちは「あんなサッカーをやりたい」とマネするだろう。だが「あんなサッカー」ではダメだ。
川崎Fのサッカーは日本だけに特化された、ガラパゴス化した「小さいサッカー」だ。くれぐれも子供たちはマネするべきじゃないし、日本代表がああなっては世界で勝てない。
ただし彼らが首位決戦になった名古屋戦の第1戦で見せたような、インテンシティの高い頑強なサッカーをやるのであれば、この限りではない。もしそうなれば私は喜んで「川崎Fのサッカーを見習おう」と大宣伝するだろう。
J1リーグ第20節、2-2の引き分けに終わったおとといの川崎フロンターレ vs ベガルタ仙台の試合を観てずっこけた。川崎Fがまたあのヒョロヒョロとボールスピードが弱い、ショートパスばかりの軟弱なサッカーをやっていたからだ。彼らお得意の省エネモードである。
日本のサッカー界は決してあのサッカーを見習い、あれを「日本の標準」などにしてはいけない(特に日本代表は)。なぜならあのサッカーでは、ヨーロッパの一流クラスに勝てないからだ。
どうやら川崎Fの鬼木達監督もそれをわかっているらしく、試合後に「自分たちのサッカーにはほど遠いぐらいのミスがあった。自滅に近いと思っています」と語っている。
川崎Fのサッカーには、どうやら2種類あるらしい。2種類とは、この日のような省エネモードのサッカーと、名古屋との首位決戦・第1戦で見せたインテンシティの高い強度のあるサッカーである。
彼らが後者のサッカーをしてJリーグで優勝するなら大歓迎だ。大いに味習うべきである。だが前者のサッカーで省エネしながら勝つのでは、百害あって一利なしだ。なぜなら日本サッカー界への悪影響が甚だしいからだ。
弱いショートパスは世界で通用しない
なぜこの日のような省エネモードのサッカーでは、世界に勝てないのか? それは過去に別記事『ガラパゴス化する日本人の「小さいサッカー」』でも解説した通りだ。まず第一にこの日のような弱いショートパスでは、現代サッカーの高度に密集した狭いゾーン(特に中盤)を通せない。
第二に、川崎Fはこのサッカーをやるためボールホルダーに近よってやり、互いに短い距離を保ってパス交換するからだ。「距離感が大切だ」というわけである。だが、ということは彼らのボールの周辺には、常に3〜4人の選手が固まっていることになる。
もしこのとき敵にボールを奪われ、大きくサイドチェンジされれば、それまでボールに群がっていた3〜4人の選手は完全にまとめて置き去りにされる。つまり川崎Fの「小さいサッカー」は極端にカウンターに弱いのだ。
世界で勝つには「強度」が必要だ
また川崎Fの省エネモード・サッカーは、体を敵に激しくぶつけ肩や腰、足を入れて激しく競り合わない。そういうフィジカルコンタクトのない、ただ足先だけでやるお上品なサッカーである。
しかもスペースでボールをもらうのでなく、足元、足元にボールを欲しがる。チマチマ足元だけでこねるサッカーである。サイドチェンジのような大きな展開のない、まるでフットサルのようなスタイルだ。これでは世界で勝てない。
これはたとえて言えば、ボールを扱う技術レベルだけは高い(がフィジカルやオフ・ザ・ボールがダメな)久保建英が11人集まったチームのようなものだ。これなら技術レベルが圧倒的に高いので、確かに日本国内では勝てるだろう。
だがサッカーは足先の技術だけで争うスポーツじゃない。少なくともヨーロッパの一流国では、激しいカラダの入れあいでボールを奪い合う強度の高い競技である。パスの強さにしろ、フィジカル・コンタクトの強度にしろ、すべての強度が日本とは格段に違う。
そんな世界で、久保建英が11人集まったチームが勝てるわけがない。それは現に久保がヨーロッパで通用してない現状(2021年現在)によってすでに証明されている。つまり日本代表のサッカーが、川崎Fのスタイルみたいになっては困るのだ。それではワールドカップで勝てない。
川崎Fはインテンシティの高いサッカーをやるべきだ
川崎FがJリーグで勝ちまくるのを観て、日本の子供たちは「あんなサッカーをやりたい」とマネするだろう。だが「あんなサッカー」ではダメだ。
川崎Fのサッカーは日本だけに特化された、ガラパゴス化した「小さいサッカー」だ。くれぐれも子供たちはマネするべきじゃないし、日本代表がああなっては世界で勝てない。
ただし彼らが首位決戦になった名古屋戦の第1戦で見せたような、インテンシティの高い頑強なサッカーをやるのであれば、この限りではない。もしそうなれば私は喜んで「川崎Fのサッカーを見習おう」と大宣伝するだろう。