すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】日本化したサッカーで世界に勝てるか?

2018-05-12 08:08:44 | サッカー戦術論
「自分らしさ」をはき違えるな

「なんでも外国のマネをすればいいわけじゃない。もっと自分達らしさを出すべきだ」

 オシムが語った「サッカーを日本化する」というコンセプトには知的興奮を覚えたし、傾聴に価する部分もあった。自信をもっていいんだ、と勇気づけられもした。だが暗黒面もある。

「なーんだ。オレ達、ありのままでいいんじゃないか」

 日本が世界で勝てない方向へと堕落する、いわゆる日本サッカーのガラパゴス化に免罪符を与えてしまった一面があると思う。

 例えばいま、左のSBがボールを保持している。と、逆サイドで右前に開いた味方のWGがフリーで裏のスペースに走り込んだ。そこへフィールドを斜めに横切るロングパスを出し、ピンポイントでサイドチェンジすれば大チャンスになる。

 だが日本人は長いボールを蹴ったり止めたりするのが苦手だ。技術的にむずかしい。で、左SBはフィールドの真ん中にいる味方をいったん経由し、サイドチェンジしようと試みる。だがもちろん、それでは遅い。たちまち敵にポジショニングを修正され、右WGが裏を狙ったチャレンジは水泡と化すーー。

 つまりフィールドの真ん中にいる味方にいったんパスを出し、彼を経由して逆サイドにサイドを変えようという2段式の日本的サイドチェンジは効力が薄いわけだ。

 これに類する日本式プレイは山のようにある。例えばペナルティエリアに入らなければシュートを打たない、などというのもそれだ。このテの日本人が抱える修正すべき課題に対し、「サッカーを日本化する」論は「ありのままでいいんだ」というまちがった肯定感を与えてしまった。

「自分らしくあっていい」「個性を生かせばいい」「長所を伸ばそう」

 とても魅惑的な言葉だが、ことサッカーにおいては当てはまらない場合もある。

 そういうことである。

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