すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】ハリルジャパンになって変わったこと

2017-09-18 09:55:45 | サッカー戦術論
目を見張る正確なロングフィード力

 サッカー選手の個の能力は、フィジカルやメンタル、トラップの精度、キックの正確さなどいろいろあるが、ハリルジャパンの時代になって特にめざましく進化したのはロングパスの精度だ。

 以前の日本代表には正確なロングボールを蹴れる選手がいなかった。だから前線に長いボールを入れると、すなわちそれは「アバウトな放り込み」になっていた。一方、短いパスなら思ったところに蹴りやすい。ゆえに日本人選手はどうしてもお互いに近い距離を保ち、ショートパスを交換するスタイルになりがちだった。よくいわれる「距離感が大事だ」というやつだ。

 ところがハリルジャパンになって、目を見張るような正確なロングボールが目立つようになってきた。これは「タテに速く」というハリルの指示が結果的に長い縦パスを目立たせている、という側面もある。だが少なくとも日本人選手が出すロングパスの精度は、昔とくらべ飛躍的に上がっているのはまちがいない。

 特に長谷部と吉田、森重、井手口はすばらしいロングボールを蹴れる。彼らはフィールドを斜めに横切るサイドを変える正確なボールを出せるし、しかも前線にいる味方選手の足元に長いパスをぴったりつけることができる。

 ことに若い井手口は相手ボールを狩る能力ばかりが取り沙汰されるが、見逃せないのがフィード力だ。特に左サイド深くでボールを奪った後、逆サイドの高い位置まで味方の足元へぴたりと正確につけるロングフィードに威力がある。

 おそらく彼の中では、ボールを奪ったらまず逆サイドを見ることが習慣づけられているのだろう。なぜならボールサイドに敵味方の選手が密集しがちな現代サッカーでは、相手からボールを取ったらガラ空きの逆サイドにボールを振れば攻撃がスムーズに行くからだ。

 いずれにしろ味方が近い位置にポジショニングし合い、ショートパスをチマチマ何本も繋いでいた過去の代表から考えれば隔世の感がある。こんなふうに選手の「個の力」が上がりキックのバリエーションが増えれば、それがチームのスタイルを根こそぎ変えてしまう。つまり個とスタイルは別個に存在するのではなく、互いが互いを補い合う「相互補完の関係」にあるのだ。

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