どうでもいい四百字 第二中間貯蔵施設

あってもなくてもいいもの。

どうでもいい四百字 3712

2023-03-07 19:20:15 | 時間の無駄
有用な木は伐られる。樹勢は曲がりくねり節だらけで材質は脆く乾かせば縮み水に晒せば腐り食用の実も成らない。そんな木は決して伐られず、その生を全うできる、と「無用の用」を説いたのが偏屈者の荘子である。今なら植林に邪魔だから速攻伐られてバイオマスチップに加工されると思うので、時の流れとは何とも残酷である。世の役に立たず隠遁を貫いた彼の言葉(大半は仮託だろうが)が、2300年の時を超えて継承されているのも不思議である。立身出世の為に有能な士たらん、と肩肘張って頑張れば疲れるし、何より功成り名遂げるのはほんの一握りである。夢破れやさぐれた気分の時に、荘子の言葉が心に沁みるのだろう(単に自分の立場を合理化しているだけかも知れないが)。リスキリングで役に立つ人材として社会に貢献すべしと圧力を受けているおじさんに特に沁みると思うのだが、荘子の頃と異なり人生折り返し地点だったりするので、時の流れは残酷なのである。