日本語を学ぶ人を悩ませているのが漢字の読み方である。大抵音読みと訓読みが有って、更に複数の音読みが出来る漢字も少なくない。加えて「雪崩」の様に音とは全く無関係の読みが付けられている場合も有る。ただ、ネイティブでもそこら辺はいい加減で、重複は「チョウフク」でも「ジュウフク」でも、現在では間違っていない事になっているのであり、学習者の苦悩は深まるばかりである。音読みが複数存在するのは、中国から伝来した時期や地域によって発音が変化していたものを、その儘付け足した事に起因する。素直に古い読みをアップデートしない所が、如何にも我が国らしい。訓読みは言ってみれば翻訳である。「その『山』って字の意味は何だ、マウンテンか、じゃあ『やま』って読もう」と云う作業が積み重ねられたかどうかは知らないが、概ねそんな感じだったと思う。和漢双方の文化に通暁した人でも苦労しただろうが、何となく楽しそうな気もするのである。