今年、ひさしぶりにぶどうを食べました。ベーリーAという品種ですが、なかなか甘み酸味がきいてて美味しかったです。何年ぶりでしょうか。でも、もうそんな時期になったんですねえ。
ぶどうを食べながら、シューベルトを聴きましょう。交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレート」です。この曲を特別に好きだ、というわけでは決してないんですが、今回で5回目のエントリーとなります。そうなると、けっこう気に入っているんでしょうか。シューベルトの早すぎる最晩年の1828年の作品。しかし、この年のシューベルトは凄まじい勢いで名作を生み出していますね。「天国的な長さ」と形容されるこの曲は、秋の夜長には相応しいと言えるでしょう。演奏は、ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団です。1970年4月27.29日の録音です。セルはこの曲を1957年にCBSにも録音していますが、この録音は、セルのこれまた最晩年です。セルは、1970年の日本万国博覧会に1970年5月13日から27日来日しました。そのときずでに癌にむしばまれていたセルは、帰国後の7月30日に死去。つまり、この録音はセルの死の3ヶ月前。セルがこの年にどれほどの録音を残したかは知りませんが、この録音はセルの最晩年(おそらくはラストレコーディング)ということは確かなようです。
さてさて、この演奏でありますが、セルが精緻なクリーブランド管を駆使して熱いシューベルトを聴かせてくれます。冷たいという印象を持たれてセルの演奏ですが、どうしてどうして、ここでは精緻さの上に並外れた燃焼度の演奏を聴かせてくれます。第1楽章、最初の出だしは、力を抜いたような様子の第一主題、そして、悲しげな第二主題でしたが、曲が進むにつれて、力強さを増していきます。それで、曲は感動的な盛り上がりを高らかと歌い上げます。オケは、伴奏に役割を果たす弦が、これは全楽章に言えますが、きれいで、曲を引き締めています。弱音に至っても乱れないところは大したものです。第2楽章、オーボエの美しい主題もあくまで客観的な印象で、それに中間部の弦によるうねるような調べも、曲の美しさよりもオケの美しさに耳がいってしまいます。第3楽章スケルツォ。弦の力強い響きが耳に焼き付くようなですが、ここの弦の精緻なアンサンブルは聴きどころかと思います。一転してトリオでは、木管が主体となって美しい響きを聴かせます。再現部では、よりグレードアップした熱い演奏を聴かせてくれます。この演奏、後半部の2楽章が私的には好きですね。そして、第4楽章、第3楽章の熱気をもっての始まります。このいつ果てるともない交響曲に対して、いつまでも終わらないぞ、というようなセルの熱気と気力あふれる演奏ですね。永遠に続いて欲しい、そんな気分になります。一気呵成な展開の中にも精緻さが失われず、弦なんか一人で引いているのか?と大げさにも思ってしまいます。ほんと、最後まで絶好調の管弦楽、これがセルとクリーブランド管の到達点だったんですねえ。
セルは、享年73才ですか。指揮者としてはまだまだこれからの年齢ですよね。あと5年でも長生きしていたら、と思うと残念です。
(EMI TOCE-3508 1999)
ぶどうを食べながら、シューベルトを聴きましょう。交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレート」です。この曲を特別に好きだ、というわけでは決してないんですが、今回で5回目のエントリーとなります。そうなると、けっこう気に入っているんでしょうか。シューベルトの早すぎる最晩年の1828年の作品。しかし、この年のシューベルトは凄まじい勢いで名作を生み出していますね。「天国的な長さ」と形容されるこの曲は、秋の夜長には相応しいと言えるでしょう。演奏は、ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団です。1970年4月27.29日の録音です。セルはこの曲を1957年にCBSにも録音していますが、この録音は、セルのこれまた最晩年です。セルは、1970年の日本万国博覧会に1970年5月13日から27日来日しました。そのときずでに癌にむしばまれていたセルは、帰国後の7月30日に死去。つまり、この録音はセルの死の3ヶ月前。セルがこの年にどれほどの録音を残したかは知りませんが、この録音はセルの最晩年(おそらくはラストレコーディング)ということは確かなようです。
さてさて、この演奏でありますが、セルが精緻なクリーブランド管を駆使して熱いシューベルトを聴かせてくれます。冷たいという印象を持たれてセルの演奏ですが、どうしてどうして、ここでは精緻さの上に並外れた燃焼度の演奏を聴かせてくれます。第1楽章、最初の出だしは、力を抜いたような様子の第一主題、そして、悲しげな第二主題でしたが、曲が進むにつれて、力強さを増していきます。それで、曲は感動的な盛り上がりを高らかと歌い上げます。オケは、伴奏に役割を果たす弦が、これは全楽章に言えますが、きれいで、曲を引き締めています。弱音に至っても乱れないところは大したものです。第2楽章、オーボエの美しい主題もあくまで客観的な印象で、それに中間部の弦によるうねるような調べも、曲の美しさよりもオケの美しさに耳がいってしまいます。第3楽章スケルツォ。弦の力強い響きが耳に焼き付くようなですが、ここの弦の精緻なアンサンブルは聴きどころかと思います。一転してトリオでは、木管が主体となって美しい響きを聴かせます。再現部では、よりグレードアップした熱い演奏を聴かせてくれます。この演奏、後半部の2楽章が私的には好きですね。そして、第4楽章、第3楽章の熱気をもっての始まります。このいつ果てるともない交響曲に対して、いつまでも終わらないぞ、というようなセルの熱気と気力あふれる演奏ですね。永遠に続いて欲しい、そんな気分になります。一気呵成な展開の中にも精緻さが失われず、弦なんか一人で引いているのか?と大げさにも思ってしまいます。ほんと、最後まで絶好調の管弦楽、これがセルとクリーブランド管の到達点だったんですねえ。
セルは、享年73才ですか。指揮者としてはまだまだこれからの年齢ですよね。あと5年でも長生きしていたら、と思うと残念です。
(EMI TOCE-3508 1999)
この録音、EMIです。セル&クリーヴランド管のCDは、ソニーよりEMIの方が我が家では音が良いんです。
いつもありがとうございます。セルが亡くなってもう40年ちかくなろうとしているのに、彼の残した演奏は、まだ生き続けていますよね。いやはや大したもんです。現代の指揮者には、こんなタイプはいないんですかねえ。私は、そんなにセルの演奏は持っていないので、これからしっかり聴いて行こうと思います。