GWも終わりました。5日には、家人と姫路の書写山円教寺に行きました。特に理由はないのですが、行ったことがなかったので…。ロープウェイで登り、しばらく歩くと、摩尼殿があり、そこから大講堂・食堂・常行堂に行きました。西国巡礼札所でもあり、多くの参拝者がいました。そして、ビックリしたのは、商売気のなさ。Pもタダ。加えて「新緑まつり」とかで、文化財特別公開をしていました。常行堂や大講堂の本尊も見れました。これもタダ。奈良などの有名寺院なら、必ず拝観料を取るだろうに。いや~、妙に感心してしまいました。
さて、今回はシューベルトのピアノ・ソナタであります。 ピアノ・ソナタ第18番作品78『幻想』であります。この曲は、1926年10月に完成しました。今でも草稿が大英博物館に残っています。
ウィーンで出版されたときは、「幻想曲、アンダンテ、メヌエット、アレグロ」となっていたそうです。この曲は、幻想曲またはソナタというように理解すべきなんでしょうね。そして、多くの作品があるなかで、この第18番は好きな曲であります。シューベルトのピアノ・ソナタには、数多くの演奏があります。その中でもこの曲はいいですねえ。そして、この『幻想』にも多くのCDが残されています。シューベルトの多くの作品を録音したピアニストとして、ケンプ、シフ、ブレンデル、ルプー、内田光子などがあります。今回は、アルフレッド・ブレンデルの演奏です。
ブレンデルは、1970年代と1980年代の二度にわたって、シューベルトのピアノソナタを録音しています。1980年代のは入手しにくいようです。この第18番は、1988年3月15日から18日、ドイツのノイマルクトでの録音です。ブレンデルの演奏、世評はあまり高くありません。冷たいとか、頭で考えすぎ、心に響かない、とか、まあケチを付けるなら、それはもうたくさんの不評が聞こえます。まあ、これは評価の裏返しとも言えるものですかね。私は、このブレンデルの演奏、けっこう気に入っています。シューベルトのピアノソナタ、ケンプやルプー、カーゾンなどと並んで、好きな演奏です。
たしかにおもしろくない演奏かもしれません。他の演奏に比べれば、大胆な味付けや心に届くような表現は乏しく、単調でそのために退屈してしまう。だから心に響かない。しかし、ピアノの技巧には申し分なく、どんな箇所でも完璧に弾きこしましうし、一音一音の美しさと粒の揃った見事さは、これはこれでたいしたものです。そんなブレンデルがシューベルトを弾くと、シューベルトの単調な音楽にブレンデルとなれば、まあこれはおもしろくないだろうな、ということです。うーん、そうかも知れませんが、私はそうでもないのです。シューベルトの曲を聴くと、もうええわ、と思ってしまう演奏は、少なくはないのですが、ブレンデルは、これはなかなかいいな、と思うのです。それは、深い表情がなかったり、面白みはない、そして軽い演奏なんです。しかし、そんな演奏だから、シューベルトによく合う気がしてならないのです。共に深みがない、単調だからでしょうか。なんですね。他の評価が高い演奏を聴くと、妙な重苦しさや息苦しさを感じるのです。それが嫌になる原因でしょう。こういうと、ブレンデルを貶しているのではと思うかもしれませんが、そうではないです。これほど、きちんとしっかりと弾けるピアニストもそういないですよ。私は、ブレンデル、かなり気に入っています。
こんな風に思うようになったのも、車で聴いてからなんです。家でしっかりとした環境でいていたときはそうでもなかったのですが、環境が違えば、これまで見えなかったところがみえてきたのでした。シューベルトの旋律が、ブレンデルのピアノで心に染み込んできます。シューベルトってこんないい曲を作ってくれたんだなあ、と思わせてくれる演奏と私は確信しています。中でも、この第18番をよく聴きます。いい演奏であります。
(Philips PHCP-10292/9 ALFRED BRENDEL EDITION 1995年)
さて、今回はシューベルトのピアノ・ソナタであります。 ピアノ・ソナタ第18番作品78『幻想』であります。この曲は、1926年10月に完成しました。今でも草稿が大英博物館に残っています。
ウィーンで出版されたときは、「幻想曲、アンダンテ、メヌエット、アレグロ」となっていたそうです。この曲は、幻想曲またはソナタというように理解すべきなんでしょうね。そして、多くの作品があるなかで、この第18番は好きな曲であります。シューベルトのピアノ・ソナタには、数多くの演奏があります。その中でもこの曲はいいですねえ。そして、この『幻想』にも多くのCDが残されています。シューベルトの多くの作品を録音したピアニストとして、ケンプ、シフ、ブレンデル、ルプー、内田光子などがあります。今回は、アルフレッド・ブレンデルの演奏です。
ブレンデルは、1970年代と1980年代の二度にわたって、シューベルトのピアノソナタを録音しています。1980年代のは入手しにくいようです。この第18番は、1988年3月15日から18日、ドイツのノイマルクトでの録音です。ブレンデルの演奏、世評はあまり高くありません。冷たいとか、頭で考えすぎ、心に響かない、とか、まあケチを付けるなら、それはもうたくさんの不評が聞こえます。まあ、これは評価の裏返しとも言えるものですかね。私は、このブレンデルの演奏、けっこう気に入っています。シューベルトのピアノソナタ、ケンプやルプー、カーゾンなどと並んで、好きな演奏です。
たしかにおもしろくない演奏かもしれません。他の演奏に比べれば、大胆な味付けや心に届くような表現は乏しく、単調でそのために退屈してしまう。だから心に響かない。しかし、ピアノの技巧には申し分なく、どんな箇所でも完璧に弾きこしましうし、一音一音の美しさと粒の揃った見事さは、これはこれでたいしたものです。そんなブレンデルがシューベルトを弾くと、シューベルトの単調な音楽にブレンデルとなれば、まあこれはおもしろくないだろうな、ということです。うーん、そうかも知れませんが、私はそうでもないのです。シューベルトの曲を聴くと、もうええわ、と思ってしまう演奏は、少なくはないのですが、ブレンデルは、これはなかなかいいな、と思うのです。それは、深い表情がなかったり、面白みはない、そして軽い演奏なんです。しかし、そんな演奏だから、シューベルトによく合う気がしてならないのです。共に深みがない、単調だからでしょうか。なんですね。他の評価が高い演奏を聴くと、妙な重苦しさや息苦しさを感じるのです。それが嫌になる原因でしょう。こういうと、ブレンデルを貶しているのではと思うかもしれませんが、そうではないです。これほど、きちんとしっかりと弾けるピアニストもそういないですよ。私は、ブレンデル、かなり気に入っています。
こんな風に思うようになったのも、車で聴いてからなんです。家でしっかりとした環境でいていたときはそうでもなかったのですが、環境が違えば、これまで見えなかったところがみえてきたのでした。シューベルトの旋律が、ブレンデルのピアノで心に染み込んできます。シューベルトってこんないい曲を作ってくれたんだなあ、と思わせてくれる演奏と私は確信しています。中でも、この第18番をよく聴きます。いい演奏であります。
(Philips PHCP-10292/9 ALFRED BRENDEL EDITION 1995年)