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テンシュテットの熱い「運命」

2008年07月13日 21時12分52秒 | ベートーヴェン
いよいよ夏も本番といったところでしょうか。最近、クラウス・テンシュテットの演奏を聴く機会が多いんですよ。1970年代も終わりに、音楽好きだった先輩が、テンシュテットのマーラーの交響曲の輸入盤をよく買って、これはええでぇ!と良くいていたことを思い出します。テンシュテットは、ドイツの正統的な音づくりを継承する指揮者と言われています。以前に、Rシュトラウスの演奏を取り上げましたが、今回はベートーヴェンであります。望むらくは、テンシュテットにベートーヴェンの交響曲全集を録音してもらいたかった。現在残されているのは、3・6・8番のスタジオ録音と、1・3・5・7・9のライブ録音ではないかと思います。もしかしたら、他にあるのかもしれません。管見の限りでは、2・4番以外は録音が残っているということです。まあ、もしかしたら、今後発見されるかもしれませんがね。
このような録音の中、第5番ハ短調作品67の「運命」であります。オケは彼の手兵のロンドン・フィルハーモニー管弦楽団。1990年8月30日、ロイヤル・アルバート・ホールでのライブです。癌に冒されたテンシュテットの闘病中のライブとなります。この音楽の背景ともいわれる苦悩から歓喜へ、または闘争から勝利へ、とまあ一般的な図式が、このおりのテンシュテットには、よくあてはまると思うのは、邪推かもしれませんが、そんな背景にまで考えが及んでしまうほどの壮絶な演奏です。まあ、なんとも熱い、濃い演奏ですねえ。第1楽章から、ただならぬ熱気を感させます。多少残響がきつい気もしますが、運命の動機が臓腑をえぐるような鋭さで迫り、畳みかけるように進んで行き、同時に切れ味も鋭く、耳を離せません。途中もオーボエのソロが悲しく、第二主題のファゴットも印象的です。そして、第2楽章がいいです。これほどいきいきとした援徐楽章も珍しく、テンシュテットの曲に対する強い意志が嫌と言うほど伝わってきますねえ。この曲の第2楽章は、こうして聴いてみると、美しさに満ちた曲ですよねえ。ほんといいです。そして、第3楽章。この主題が昔からたいそう好きでした。チェロとコントラバスによる低音でのあと、ホルンによる主題と、そのあとのチェロとコントラバスによるトリオの主題では、それほどの暗さは感じず、次の楽章へのうまい橋渡しができていますね。ここで、反復はいらないです。そして、第4楽章。ここでも大いに演奏は盛り上がり、いわゆる勝利の大合唱は、極めて熱い。曲自体の華やかさも強調され、高らかに歌い上げられます。曲に対するテンシュテットの力強い、または熱い共感を感じさせながらの大団円となります。いやー凄い演奏です。これほどの運命は、なかなか聴けるもではないですよ。
もう、暑くなってきた昨今に、こんな演奏は…、と思ってしまいますが、いったん聴き出すと、最後まで聴いてしまいますよ。暑さをぶっ飛ばす運命でありました。

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