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先週末は、岡山にお墓参りに行きました。もう夏かなあ、と思う陽気でした。以前によく行っていた時に、行っていたところをいくつか周り、往時を懐かしんでいました。今回はひとりで言ったので、車中では、おもいっきりの大音量で音楽を聴きました。その音楽とは、ベートーヴェンの交響曲。それも全曲を聴きました。いわば車中のベートーヴェン・チクルスでありました。全九曲、総べてを聴き終えました。しかし、途中散漫になることもあり、特に『田園』あたりがやばかったですねえ。やはり、ベートーヴェンの交響曲は、いいですねえ。ほんと。
なぜ、こんなことになったのか。それは朝比奈隆さんのことです。朝比奈さんは、ベートーヴェンの交響曲は、指揮者にとっては聖書のようなものであり、繰り返し演奏しなければならない。そして、全曲を、それも短期間のうちにしなければならない、と生前によくおっしゃってられました。それが生涯9回のベートーヴェン・チクルス、史上最多となる7回の全曲録音という偉業を成し遂げたことは周知のとおりであります。このことに因み、今回の車中のベートーヴェン・チクルスは、朝比奈隆指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団による演奏で行いました。朝比奈さんの3回目の全集。1985年2月から6月、ザ・シンフォニーホールでのライブです。
朝比奈さんといえば、やはりブルックナーということになります。しかし、私的には、ベートーヴェンの交響曲の演奏の方に惹かれるものがあります。ブルックナーに比べてベートーヴェンの方が音楽が締まっているというか、そのため大フィルも音が凝縮されて、逆に言えば、ブルックナーになると、どうもオケの粗さが目立ってしまうし、散漫な印象をもつところがあります。私は、まなで朝比奈さんのベートーヴェンは聴いたことがないので、それは残念であります。この1985年の全集、どの演奏も朝比奈さんの特徴がよく出ての好演なんですが、交響曲第8番ヘ長調作品98についてということですね。1985年5月26日のライブ録音となります。7つある朝比奈さんの全集の中で、どれが一番いいかというのは、なかなか難しいです。ただ、1980年代のものはこれと新日フィルのものがあります。なんとなく一番よく最近聴くのは、この1985年盤なんで…。それは一番最近買ったからかもしれませんが…(笑)。
第1楽章、まずいつものような分厚い音響が実に心地よい。荒っぽさもあるが、それほど気にならない。そして豪快な音作りもこの分厚さと合わさって、スケールの大きなベートーヴェン、特にこの小ぶりの8番をここまで演奏しするとは、朝比奈さんの真骨頂ですねえ。こんなベートーヴェン、最近ではなかなか聴けません。第2楽章、スケルツォ的な楽章。軽快さとはここでも無縁で、充実した低音が響き、それに豪快なメトロノーム風のメロディが展開、これも体重は重いですが、心地よいです。そして、第3楽章、ベートーヴェンの唯一の交響曲のメヌエット。伸びやかにかつ雄大に歌い上げられるメヌエットは、メヌエットとは様子が違う気もするが、豪快でいいです。トリオのホルンとクラリネットの牧歌的な音楽は、ライブゆえの多少の心配はありましたが、それほどでもなく、というところですか。第4楽章、終楽章にふさわしく、これまで以上の分厚い管弦楽と力のこもった曲作りは、本当に聴いていて快感であります。終わりに近づくにつれて、ますますの熱演となっていき、分厚さはますます快感となって、一層の満足感をもたらしてくれます。最後のコーダまで、汗がほとばしるような響き。大フィルも大熱演。朝比奈さんも、まだまだ若い、気力充実の大熱演であります。
朝比奈さんの言われるような、短期間でのベートーヴェン・チクルスが聴き手にとって、どれくらい重要かと言われれば、まあそれなりの達成感はあるのですが、一日ではなかなかしんどいのは確かであります。このCDは、タワーさんのネットで買いました。他の曲はすべて中古やさんで買ったのですが、全曲が揃えられて何よりでした。
(Victor VICC-60027 1997年)
なぜ、こんなことになったのか。それは朝比奈隆さんのことです。朝比奈さんは、ベートーヴェンの交響曲は、指揮者にとっては聖書のようなものであり、繰り返し演奏しなければならない。そして、全曲を、それも短期間のうちにしなければならない、と生前によくおっしゃってられました。それが生涯9回のベートーヴェン・チクルス、史上最多となる7回の全曲録音という偉業を成し遂げたことは周知のとおりであります。このことに因み、今回の車中のベートーヴェン・チクルスは、朝比奈隆指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団による演奏で行いました。朝比奈さんの3回目の全集。1985年2月から6月、ザ・シンフォニーホールでのライブです。
朝比奈さんといえば、やはりブルックナーということになります。しかし、私的には、ベートーヴェンの交響曲の演奏の方に惹かれるものがあります。ブルックナーに比べてベートーヴェンの方が音楽が締まっているというか、そのため大フィルも音が凝縮されて、逆に言えば、ブルックナーになると、どうもオケの粗さが目立ってしまうし、散漫な印象をもつところがあります。私は、まなで朝比奈さんのベートーヴェンは聴いたことがないので、それは残念であります。この1985年の全集、どの演奏も朝比奈さんの特徴がよく出ての好演なんですが、交響曲第8番ヘ長調作品98についてということですね。1985年5月26日のライブ録音となります。7つある朝比奈さんの全集の中で、どれが一番いいかというのは、なかなか難しいです。ただ、1980年代のものはこれと新日フィルのものがあります。なんとなく一番よく最近聴くのは、この1985年盤なんで…。それは一番最近買ったからかもしれませんが…(笑)。
第1楽章、まずいつものような分厚い音響が実に心地よい。荒っぽさもあるが、それほど気にならない。そして豪快な音作りもこの分厚さと合わさって、スケールの大きなベートーヴェン、特にこの小ぶりの8番をここまで演奏しするとは、朝比奈さんの真骨頂ですねえ。こんなベートーヴェン、最近ではなかなか聴けません。第2楽章、スケルツォ的な楽章。軽快さとはここでも無縁で、充実した低音が響き、それに豪快なメトロノーム風のメロディが展開、これも体重は重いですが、心地よいです。そして、第3楽章、ベートーヴェンの唯一の交響曲のメヌエット。伸びやかにかつ雄大に歌い上げられるメヌエットは、メヌエットとは様子が違う気もするが、豪快でいいです。トリオのホルンとクラリネットの牧歌的な音楽は、ライブゆえの多少の心配はありましたが、それほどでもなく、というところですか。第4楽章、終楽章にふさわしく、これまで以上の分厚い管弦楽と力のこもった曲作りは、本当に聴いていて快感であります。終わりに近づくにつれて、ますますの熱演となっていき、分厚さはますます快感となって、一層の満足感をもたらしてくれます。最後のコーダまで、汗がほとばしるような響き。大フィルも大熱演。朝比奈さんも、まだまだ若い、気力充実の大熱演であります。
朝比奈さんの言われるような、短期間でのベートーヴェン・チクルスが聴き手にとって、どれくらい重要かと言われれば、まあそれなりの達成感はあるのですが、一日ではなかなかしんどいのは確かであります。このCDは、タワーさんのネットで買いました。他の曲はすべて中古やさんで買ったのですが、全曲が揃えられて何よりでした。
(Victor VICC-60027 1997年)
この時92歳ですから、凄いですね。とても、この歳とは思えませんでしたね。
この人の指揮は、もっともっと実演を聴いておくべきだったと、悔いが残ります。