プロ野球では、今年も、何人もの実績を残した選手たちが引退を発表しました。私がよくわからないのは、シーズンが終わらないうちに引退を発表することと、引退する選手が残った試合に出場し続けることなんです。試合には、来年はいない選手を使うより、若い選手を使う方がいいに決まってませんか。そして、引退する選手は、後進に道を譲るべきであり、もし、それがいやで試合に最後まで出場し続けたい選手は、引退発表は、シーズン修了後にすべきと思いますが…。どんなもんでしょうか。
それはさておき、今回はモーツァルトであります。ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478ということです。この曲は、1785年、かの『フィガロの結婚』作曲の合間に創作されたものと言われています。このピアノ四重奏曲は、ウィーンの出版元のホフマイスターから依頼されたもので、家庭でも演奏できるような曲として作曲されました。しかし、この曲はそれほど平易ではなく、第1番はホフマイスターから出版されましたが、2番は他の出版元からになりました。
この曲は、ト短調なんです。モーツァルトのト短調と言えば、交響曲第40番や弦楽五重奏曲第4番などが有名です。このト短調は、死を予感させる調性であるとか、痛々しいまでの美しさを感じさせるものとかの特徴が指摘されていますね。まあ、モーツァルトがト短調を意識していたのかどうかはわかりませんし、これ以上のことを言うのもあまり意味があるとは思えませんし…。ただ、モーツァルトのト短調は、他の調とは違う世界があるんでしょうねえ。
というようなこのピアノ四重奏曲第1番なんですが、演奏は、イェルク・デムスのピアノとウィーン室内合奏団。このウィーン室内合奏団は、ゲルハルト・ヘッツェル(vn)、ルドルフ・シュトレング(va)アーダルベルト・スコチッチ(vc)です。VPOの名コンマスのヘッツエルだ主宰する団体であります。これらが1979年3月11日~13日にウィーンのボリヒムニア・スタジオで録音したものです。
この録音も、今は亡きヘッツェルの数少ない遺産であります。しかし、彼の室内楽の演奏は、どれも実に充実しています。伸びやかで、間口が広く、また美麗な音色で述べられるモーツァルトは、他では聴けない感動がありますね。このピアノ四重奏も、表情は極めて劇的であり、スリリングなモーツァルトのト短調となっております。そして、デムスのピアノもドラマティックで、心の刺さってくるような厳しい一音一音を紡ぐように迫ってきます。加えて、三つの弦楽器の関係が極めて緊密。三つの楽器の存在を忘れてしまうよう。三つの弦によるユニゾンなどは、完璧に近い重なり方を示しております。非常にベストに近い音色を聴かせてくれますね。
第1楽章アレグロ。これほどの雄弁なユニゾンの主題があろうかという演奏。力強く旋律が歌われ、これは最後まで同じです。ト短調と言っても、それほどマイナーな雰囲気はなく、曲が進んでいく中で、むしろ明るさおも感じてしまうのも、この雄弁な演奏が原因でしょうか。デムスのピアノも力強いし、明快です。第2楽章アンダンテ。一転して穏やかな幸福感が曲全体を覆っている楽章。こんな演奏も、表情もダイナミックに味付けられて、優しさよりもあえての情熱的な印象を味わえる。弦三つに負けないデムスのピアノは見事。そして、第3楽章ロンド、モーツァルトらしさに満ちた明るさが一杯の楽章。4つの楽器は理想的な表現力で演奏が進められ、明るさを極限にまでの表情一杯で展開される。ピアノを筆頭に本当に雄弁な演奏は、元気を与えてくれるようです。
今回は久々にモーツァルトでありました。これで97回目です。あと少しで三桁になりますね。でも、先述のことですが、引退することを表明した選手の最後の勇姿を観ようとするファンで、観客は増えるので、そんな思惑も当然ありますよねえ。
(DENON COCO-70795 2005年 CREST1000)
それはさておき、今回はモーツァルトであります。ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478ということです。この曲は、1785年、かの『フィガロの結婚』作曲の合間に創作されたものと言われています。このピアノ四重奏曲は、ウィーンの出版元のホフマイスターから依頼されたもので、家庭でも演奏できるような曲として作曲されました。しかし、この曲はそれほど平易ではなく、第1番はホフマイスターから出版されましたが、2番は他の出版元からになりました。
この曲は、ト短調なんです。モーツァルトのト短調と言えば、交響曲第40番や弦楽五重奏曲第4番などが有名です。このト短調は、死を予感させる調性であるとか、痛々しいまでの美しさを感じさせるものとかの特徴が指摘されていますね。まあ、モーツァルトがト短調を意識していたのかどうかはわかりませんし、これ以上のことを言うのもあまり意味があるとは思えませんし…。ただ、モーツァルトのト短調は、他の調とは違う世界があるんでしょうねえ。
というようなこのピアノ四重奏曲第1番なんですが、演奏は、イェルク・デムスのピアノとウィーン室内合奏団。このウィーン室内合奏団は、ゲルハルト・ヘッツェル(vn)、ルドルフ・シュトレング(va)アーダルベルト・スコチッチ(vc)です。VPOの名コンマスのヘッツエルだ主宰する団体であります。これらが1979年3月11日~13日にウィーンのボリヒムニア・スタジオで録音したものです。
この録音も、今は亡きヘッツェルの数少ない遺産であります。しかし、彼の室内楽の演奏は、どれも実に充実しています。伸びやかで、間口が広く、また美麗な音色で述べられるモーツァルトは、他では聴けない感動がありますね。このピアノ四重奏も、表情は極めて劇的であり、スリリングなモーツァルトのト短調となっております。そして、デムスのピアノもドラマティックで、心の刺さってくるような厳しい一音一音を紡ぐように迫ってきます。加えて、三つの弦楽器の関係が極めて緊密。三つの楽器の存在を忘れてしまうよう。三つの弦によるユニゾンなどは、完璧に近い重なり方を示しております。非常にベストに近い音色を聴かせてくれますね。
第1楽章アレグロ。これほどの雄弁なユニゾンの主題があろうかという演奏。力強く旋律が歌われ、これは最後まで同じです。ト短調と言っても、それほどマイナーな雰囲気はなく、曲が進んでいく中で、むしろ明るさおも感じてしまうのも、この雄弁な演奏が原因でしょうか。デムスのピアノも力強いし、明快です。第2楽章アンダンテ。一転して穏やかな幸福感が曲全体を覆っている楽章。こんな演奏も、表情もダイナミックに味付けられて、優しさよりもあえての情熱的な印象を味わえる。弦三つに負けないデムスのピアノは見事。そして、第3楽章ロンド、モーツァルトらしさに満ちた明るさが一杯の楽章。4つの楽器は理想的な表現力で演奏が進められ、明るさを極限にまでの表情一杯で展開される。ピアノを筆頭に本当に雄弁な演奏は、元気を与えてくれるようです。
今回は久々にモーツァルトでありました。これで97回目です。あと少しで三桁になりますね。でも、先述のことですが、引退することを表明した選手の最後の勇姿を観ようとするファンで、観客は増えるので、そんな思惑も当然ありますよねえ。
(DENON COCO-70795 2005年 CREST1000)
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