こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

今年も、ルプーは聴きに行けませんねえ。

2013年09月26日 23時40分28秒 | シューベルト
今週の火曜日から三日間、三宮で職場で職務上どうしても必要な資格取得準備のための研修に参加しました。出勤帰宅はいつもよりゆっくりで早く、それはそれで楽ちんでした。一日中講義を聴くのもなかなか辛く、加えて試験を受けて合格しなければならず、けっこう憂欝になりました。三日間の講義、役に立つもの多かったのですが、一方で、読めばわかることをお話されるのは、時間の無駄ですよねえ…、受講料(自己負担ではありませんが)も高かったよなあ…、と複雑でありました。でも、帰りに中古やさんをのぞいたり…でありました。

そんなこんなで、今回はシューベルト。最近コンスタントに取り上げております。それほどよく聴くというわけでもないのですが…。ヴァイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調D.934であります。この曲は、D番号でわかるとおり、シューベルト最晩年の曲。死の年である1828年初めに書かれたもの。実質的には、ヴァイオリン・ソナタでともいえ、そうなれば5曲めにあたります。全体が途切れなく演奏され、第2楽章を幻想曲的な変奏曲風にしたことなどから、この名が与えられたと言われています。

しかし、最晩年の1828年のシューベルト。本当に魅力的な曲を残しています。この年にどれだけの曲を書いたのでしょうか。どれもこれも彼のまさに「白鳥の歌」に相応しい素晴らしい曲ばかりであります。彼の頭には汲めども尽きないメロディがあふれていたのでしょうねえ。この曲も、実質的には三楽章の構成とも考えられています。最初のアンダンテ・モルトが序奏、そしてアレグレットの情熱的な東欧的な主題による部分が第1楽章、そしてアンダンテーノによる主題と変奏曲が第2楽章。そして、第3楽章はアレグレットと、どれも一度聴いたら耳に残る旋律ですが、この3つの楽章を代表しておりますね。まあそんな三楽章形式のヴァイオリンソナタでもいい曲であります。

さて、この曲の演奏ですが、シモン・ゴールドベルクとラドゥ・ルプー。録音は1978年です。以前にも述べたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタに続く録音です。ルプーは前回のベートーヴェンでも取り上げました。私は好きです。10月にも大阪でシューベルトの19番を主とした演奏会があるのですが、去年に続き仕事で行けません、残念であります。

そして、この演奏、モーツァルトでもそうだったのですが、ゴールドベルクのヴァイオリンが実に渋いのです。派手さもなく、極めて禁欲的。それでいてこの音色には大いに惹かれます。そして、一方のルプーのヴァイオリンがこれまた非常に美しい。一音一音、宝石のようなピアノが聴けます。普通はピアノがヴァイオリンに華やかさでは押されるのですが、このふたりは正に対等。そんなことを思わせる両者の組合せであります。しかし、シューベルトの3つの主題が最初に登場するときなどは、両者ともに実に見事に決めてくれるのも嬉しいですねえ。

最初のアンダンテ。伸びやかな美音のゴールドベルクのヴァイオリンの背後で、ルプーのピアノの珠玉のトレモロが浮かび上がります。このピアノの美しさがいいです。続いて、アレグレット。情熱的な主題がここではねちっこく弾かれます。そしてピアノが主題を弾くときのコールドベルクのピアノへの気遣うのような優しげなヴァイオリン。ここにもこの両者の良い関係が浮かびます。そして、次第に両者が拮抗しながら、盛り上がっていくあたりは、実にうまい。そして、アンダンティーノ。この歌曲から取られた主題が、まずピアノで、そしてヴァイオリンで登場。この美しさには心を奪われる。そしてこの主題の変奏曲が展開され、ここでは両者のせめぎ合いなおようなところまで昇華していくようで、聴いていて実に心地よい。最後のアレグロも、一転して快活な主題が登場。これ以降は両者が力を合わせて終曲を作り上げるよう。ともに力強くシューベルトの旋律を歌い上げる。実に最高の二重奏がここにはありました。

これを書いている途中で、楽天がパリーグの優勝を決めたようです。マリーンズ残念ですが、おめでとうございます。CSではこれまでの借りを返して欲しいですが…。
(DECCA 4667482 2000年 輸入盤)   

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