西北のマーラー、ふたつ。

先週末は、岡山で叔父の七回忌がありまして、朝から岡山に出掛けました。12時前に法事があらかた終わったので、会食は勝手させてもらいまして、神戸にトンボ返りしました。というのも、15時から、西宮北口の芸文センターで、ここの芸文センター管弦楽団の定演に行くことになっていたからでした。金聖響指揮のマーラーの交響曲第７番なんですね。物理的に間に合わないかもしれないなということもあって、どうしようかとかなり迷ったのですが…。なんとか聴くことができました。でも、岡山まで往復したこともあって、疲れました。

それで、金聖響指揮のマーラーの７番です。土曜日の午後ということもあってか、ほぼ満員でした。マーラーは人気があるのですかねえ。私の席は、友人が買ってくれてたものでＤ席。一番安い。お値段は1000円。３階席の１番後ろというところ。友人に言わせれば、ここからだとオケは「対岸の火事」だそうです。まあ安さに惹かれたのですがね。岡山往復の疲れも相俟って、途中で寝てしまったら、どうしようとか思ったのでありました。

しかし、演奏は全く眠気を感じさせないものでした。第１楽章の出だしから思ったのですが、この金聖響さん、ＣＤでも全く聴いたことありませんでしたが、気鋭の指揮者ですねえ、そんなこの人の演奏、たいそうバランスがいいんですね。各楽器がほどよくブレンドされて、非常に端正で、折り目正しい演奏になっている。曲を落ち着いて聴くことができたし、マーラー演奏の極めて正統的な表現と表情に終始し、安心して曲を楽しむことができました。曲の盛り上がるところでは、たいそう体も曲に着いていく、そんなところが随所ありました。約70分少しでしたかね、聴きに行ってよかったな、と心から思いました。そして、まったく睡魔が襲っては来ず、存分にマーラーを楽しむことができました。この芸文センター管弦楽団、若い奏者が中心の構成なんですが、よかったです。誠実に頑張っている様子が伝わってきました。ただ、席が最後尾に近いところのせいもあるんでしょう。オケの力業がもっと欲しいことと、マーラーの深い表情の一端でも、そればかりでも辛いのですが、少し聞かせて欲しいな、って思いました。金聖響さん、まじめで誠実な人なんだろな、と思いました。

加えて、実は約２週間前の５月10日、同じ芸文センターで、マーラーの交響曲第３番を聴いたのでした。それは、大植英次指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏でした。この日は平日。２時間ほどのお休みをもらって、出掛けました。大植さんの演奏も聴くのは初めてでした。大フィルも、朝比奈さんの時に聴いて、もう15年以上振りでした。まず大フィル、朝比奈さんのときに比べれば、精密になったな、と思いました。そして大植さんの指揮は、たいそうダイナミックで感情がほとばしるようです。マーラーの３番は、90分もかかる長大な曲ですが、アルト独唱に合唱も加わり、実演で聴けばなかなか楽しめるのです。独唱にはメゾ・ソプラノアルトにはアネリー・ペーポさん、大柄な方でしたが、たっぷりとした声量でマーラーの深遠さがよく歌われていました。以前にも申しましたが、この曲20年ほど前に朝比奈さんの指揮で聴きました。そのときの演奏は、あまりいい記憶はなかったのですが、今回は曲のよさは十二分に感じられました。そして、第３楽章でポストホルンが登場しますが、これはバンダであり別働隊なんですね。なかなかの演出でありした。しかし、金聖響さんの演奏に比べると、オケの技量は上でしょうし、それはいいのですが、バランスという点では、少々弦がもう少し欲しいな、と思いました。

しかし、西宮北口に行くのは、もう20年振りくらいでした。尼崎に勤めているときは、よく飲みに行っていました。また学生のころは、西宮球場に阪急ーロッテのゲームをよく見に行っていました。そのころから比べると、北はそれほどでもないですが、南の方はまったく変わりました。なんとも、であります。