今年もたくさんの演奏家が逝去されました。ミヒャエル・ギーレン、アンドレ・プレヴィン、ハンス・ツェンダー、パウル・バドゥラ=スコダ、イェルク・デムズ、ゲルト・ザイフェルト、アンナー・ビスルマ、テオ・アダム、ジェシー・ノーマンなどなど、であります。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。ノーマン以外は、80代後半以上のご高齢で、引退もしくは引退状態でありました。そして、11月30日には、マリス・ヤンソンスさんの訃報がありました。
ヤンソンスさんは、1943年生まれで享年76才。心臓の持病があったとはいえ、バイエルン放響の音楽監督在任中であったことからも、突然の訃報でありました。特に、2003年にバイエルン放響、2004年にRCOの音楽監督に就任されてからは、大活躍であり、毎年のように来日されていました。CDでも、バイエルン放響のBR KLASSIK、RCOはRCOのそれぞれの自主レーベルから多くの演奏が出ています。これらは多くがSACDとして出されていたこともあって、高音質で聴くことができるのでありました。まだまだお若いという印象もありましたが、本当に残念であります。
今回は、ヤンソンスさんの演奏から、バイエルン放響とのマーラーの交響曲第5番嬰ハ短調です。2016年3月10-11日、ミュンヘンでのライブ録音です。ヤンソンスさんのマーラーは、RCOとは大地の歌と9,10番以外はすべてあり、バイエルン放響とも、1,2,5,7,9番があります。このふたつのオケとの多くの演奏がCDで残されていることは、実に幸いでしたねえ。逆に言うなら、セッション録音は少ないと言うことですかね。
マーラーの音楽は、やはりいい音で聴けることが大切ですねえ。他の作曲家以上にそれを感じます。この演奏は、SACDということもあってか、非常にいい音で聴くことができます。やはりSACDは、音に余裕がありますね。よく空気感が伝わるといいますが、それと同じことと思います。この演奏も、こんないい音で聴けるので、受ける印象が随分よくなるんだろうな、とも思います。
さて、ヤンソンスの演奏ですが、この曲をもっともいい音で聴くことができるのではないか、と思います。それは、音楽の再生という意味もありますが、音楽自体も非常に美しい。ヤンソンスは、現在もっとも美しく音楽を演奏できる指揮者のひとりであったと思います。もちろんSACDで聴くことで、とも言えます。でも、おそらくは、生で聴いたらこれ以上の凄さを感じるのではないでしょうかね。もちろんバイエルン放響は世界でトップクラスのオケ。それを存分に鳴らして、それそれの楽器とその合奏は、非常に明快でかつ美しい。細部に至るまで明瞭なのであります。しかし、この5番は、なかなか難しいですねえ。各楽章をそれぞれどう結びつけるか。でも、そう考えさせる演奏はイマイチなのかもしれません。この演奏は、各楽章はそれぞれ非常に素晴らしいんです。でも全体として見たら、よくわからないな、という感覚が拭いきれない…。まあそれでも聴いた後の爽快な気持ちや、ある種と達成感は実に満足でありました。
第1楽章、冒頭のトランペット、安定感と柔らかい音色に耳を奪われる。オケの澄み切った音で曲がズンズンと進み、なかなか始まりから壮絶感一杯。純な響きが一層曲を際立たせる。一方では旋律を実に丁寧に歌い上げる。それか素晴らしい。ティンパニなどの低音の響きの凄さも迫力一杯。第2楽章。前楽章から続き、暴れ回るオケ。でも演奏は腰がすわって乱れは感じさせない。それぞれがここでも丁寧に奏でて悲壮感が高まっていく。第3楽章。出だしからのホルンが終始またまた鮮やか。ここでも低音の凄まじさが快感ですね。金や木管が大活躍だが、それを支えるように弦がいいんですね。第4楽章、弦のみの合奏で、弦のよさを満喫できる。そして旋律がより美しく奏でられ、しっとりと、かつ円熟した表情がいいです。そして、第5楽章。低音に支えられた弦や木管が歌う。終楽章に相応しい全体のスケールの大きさや、それぞれの大きな表現も快感です。次第に表現や表情の振幅が大きくなっていき、たいそうな盛り上がりと高揚感、大満足でありました。
早いものでもうクリスマス。今年もあと一週間になりました。今年は暖かいですねえ。寒波襲来と言うことではなく、穏やかな正月になってもらいたいですねえ。
(Br Klassik 900155 2017年 輸入盤)
ヤンソンスさんは、1943年生まれで享年76才。心臓の持病があったとはいえ、バイエルン放響の音楽監督在任中であったことからも、突然の訃報でありました。特に、2003年にバイエルン放響、2004年にRCOの音楽監督に就任されてからは、大活躍であり、毎年のように来日されていました。CDでも、バイエルン放響のBR KLASSIK、RCOはRCOのそれぞれの自主レーベルから多くの演奏が出ています。これらは多くがSACDとして出されていたこともあって、高音質で聴くことができるのでありました。まだまだお若いという印象もありましたが、本当に残念であります。
今回は、ヤンソンスさんの演奏から、バイエルン放響とのマーラーの交響曲第5番嬰ハ短調です。2016年3月10-11日、ミュンヘンでのライブ録音です。ヤンソンスさんのマーラーは、RCOとは大地の歌と9,10番以外はすべてあり、バイエルン放響とも、1,2,5,7,9番があります。このふたつのオケとの多くの演奏がCDで残されていることは、実に幸いでしたねえ。逆に言うなら、セッション録音は少ないと言うことですかね。
マーラーの音楽は、やはりいい音で聴けることが大切ですねえ。他の作曲家以上にそれを感じます。この演奏は、SACDということもあってか、非常にいい音で聴くことができます。やはりSACDは、音に余裕がありますね。よく空気感が伝わるといいますが、それと同じことと思います。この演奏も、こんないい音で聴けるので、受ける印象が随分よくなるんだろうな、とも思います。
さて、ヤンソンスの演奏ですが、この曲をもっともいい音で聴くことができるのではないか、と思います。それは、音楽の再生という意味もありますが、音楽自体も非常に美しい。ヤンソンスは、現在もっとも美しく音楽を演奏できる指揮者のひとりであったと思います。もちろんSACDで聴くことで、とも言えます。でも、おそらくは、生で聴いたらこれ以上の凄さを感じるのではないでしょうかね。もちろんバイエルン放響は世界でトップクラスのオケ。それを存分に鳴らして、それそれの楽器とその合奏は、非常に明快でかつ美しい。細部に至るまで明瞭なのであります。しかし、この5番は、なかなか難しいですねえ。各楽章をそれぞれどう結びつけるか。でも、そう考えさせる演奏はイマイチなのかもしれません。この演奏は、各楽章はそれぞれ非常に素晴らしいんです。でも全体として見たら、よくわからないな、という感覚が拭いきれない…。まあそれでも聴いた後の爽快な気持ちや、ある種と達成感は実に満足でありました。
第1楽章、冒頭のトランペット、安定感と柔らかい音色に耳を奪われる。オケの澄み切った音で曲がズンズンと進み、なかなか始まりから壮絶感一杯。純な響きが一層曲を際立たせる。一方では旋律を実に丁寧に歌い上げる。それか素晴らしい。ティンパニなどの低音の響きの凄さも迫力一杯。第2楽章。前楽章から続き、暴れ回るオケ。でも演奏は腰がすわって乱れは感じさせない。それぞれがここでも丁寧に奏でて悲壮感が高まっていく。第3楽章。出だしからのホルンが終始またまた鮮やか。ここでも低音の凄まじさが快感ですね。金や木管が大活躍だが、それを支えるように弦がいいんですね。第4楽章、弦のみの合奏で、弦のよさを満喫できる。そして旋律がより美しく奏でられ、しっとりと、かつ円熟した表情がいいです。そして、第5楽章。低音に支えられた弦や木管が歌う。終楽章に相応しい全体のスケールの大きさや、それぞれの大きな表現も快感です。次第に表現や表情の振幅が大きくなっていき、たいそうな盛り上がりと高揚感、大満足でありました。
早いものでもうクリスマス。今年もあと一週間になりました。今年は暖かいですねえ。寒波襲来と言うことではなく、穏やかな正月になってもらいたいですねえ。
(Br Klassik 900155 2017年 輸入盤)