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作品1のピアノ三重奏曲から 2

2019年01月20日 10時30分04秒 | ベートーヴェン
先日の遅出の日、朝のワイドショーを何気なく見ると、日産のゴーン前会長の保釈について、コメンテイターなる人が意見を述べていました。その中で、拘置所には廊下には暖房があるが、各部屋にはなそうです。寒いでしょうね、というと、元検事さんは、毛布やダウンなどの差入れは自由だ、とか、まあ、それは容疑者なんだから、ある程度の不自由は仕方ない、ということだそうです。この真冬の寒さを毛布にくるまってしのがなければならないとは、容疑者には人権はないのでしょうか。もし無罪だったら、どうするんでしょうね。なんともとても近代国家の対応とは、私は思えないのでありました。いかかでしょうか。

昨年から、ベートーヴェンの初期の作品を好んで聴いております。主にピアノ・ソナタだったんですが、今回はピアノ三重奏曲。ウィーンにやってきたベートーヴェンが、作品番号1としてウィーンのアルタリア社から出版したのが、1794~95年に作曲された三曲のピアノ三重奏曲でした。当時の貴族たちには、このジャンルは好まれていたようです。それはハイドンも40曲あまり、モーツァルトも7曲を作曲したことからも知られますね。

ただ、この作品1の三曲のピアノ三重奏曲、師であったハイドンは高く評価しましたが、「第3番だけは出版すべきではなかった」と言い、この曲は受け入れられないと思っていたそうです。ベートーヴェンは、三曲の中でこの曲を最も自信をもっていたためもあり、それを嫉妬と思ったとか。この3番のみ短調の曲であり、それも関連するんでしょうか。今回は、ハイドンが評価しなかった、ピアノ三重奏曲第3番ハ短調作品1-3であります。

ということで、この曲の演奏ですが、ボザール・トリオなどの常設の団体によるものもありますが、今回はウィルヘルム・ケンプとヘンリク・シェリング、ピェール・フルニエの三者による演奏です。この三人は、1969年から70年にかけて全集を録音。その中からの演奏です。これは、1970年のベートーヴェン生誕200年を記念した全集のひとつでもありました。

やはり、この三人の演奏は、大したものですねえ。ケンプのピアノは心安まり、シェリングのヴァイオリンは流麗、そしてフルニエのチェロは気品にあふれと、そんな三つが合わさって、非常にダイナミックな演奏になっています。、それぞれの楽器から奏でられるフレーズが実に明快であります。全体をリードしているのは、ケンプですが、他のふたりも自分の役割を十二分にわきまえて、味わい深い存在感を示しています。なかで注目するのは、フルニエでしょうか。目立たないのですが、この演奏を引き締まったものにしています。そしてこの曲のよさがしみじみ感じさせてくれます。

第1楽章、短調の曲らしい冒頭。実にきれいなユニゾン。シェリングとフルニエのバランスいいです。しかしシェリングはいいなあ。と思っていたら、ケンプの優しいピアノ、いいですねえ。第2楽章は変奏曲。ベートーヴェンの援徐楽章、好きです。ゆったりとしたテンポで、へんてつのないテーマですが、実に味わい深いです。楽器の重なりが非常にきれいで、ゆったりとした気持ちになります。第1変奏はピアノが主ですが、ケンプのピアノは落ち着いた音色で、端正な演奏。第2変奏と第4変奏は、ピアノが低音部で、、ふたつの弦が主部を担当していきますが、シェリングの美音にフルニエのチェロが絶妙の気品と強弱で絡み合います。フルニエのチェロは、とてもいい音色で歌います。へートーヴェンの変奏曲、いいです。第3楽章メヌエット。弦とピアノのかけ合いがおもしろい。第1、2番はスケルツォ。なぜメヌエットはわかりませんが、ケンプのピアノが珠玉のように転がります。第4楽章、三つのユニゾンで激しい冒頭。終楽章に相応しくそれぞれが歌い上げます。ほとばしる生気に満ちた演奏で、ベートーヴェンの若い情熱がよく現れる。

前回も触れた稀勢の里、連敗で引退となりました。ケガがなかったらと思いますが、仕方ないですね。残念であります。
(DG PROC-1867/70 2015年 TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION)

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