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今度は、確かにブラームス

2024年10月20日 23時57分00秒 | ブラームス
西田敏行さんが逝去されました。現在日本を代表する俳優さんですねえ。非常に幅広い役ができる、オールマイティの役者さんでした。大学生のころ、土曜夜9時の『池中玄太80キロ』は、毎週のように見ていました。『学校』の先生、『八重の桜』の西郷頼母もよかった。『男はつらいよ』にちょこっと出たのも…。他に印象に残っているのは、大河ドラマ『武田信玄』での山本勘助。明るく人情篤く涙もろい西田さんではない、暗くて恐そうな役がとてもよかった。まだだ十年は早かったですね。冥福を祈ります。

それはそれとして、今回は前回肩すかしのようになってしまったことを反省して、ブラームスのヴァイオリン協奏曲二長調作品77であります。前回、いくつかの演奏をあげましたが、その中にはなかったウォルフガング・シュナイダーハンの独奏とパウル・ファン・ケンペン指揮BPOの演奏。1953年5月22日ベルリン、イエス・キリスト教会での録音であります。ブルトヴェングラーの時代のBPOが聴けます。モノラル録音。

このCDは、1998年にDGから発売された『シュナイダーハンの芸術1200』の一枚。過日大阪の中古やさんで、このシリーズがまとまって出てました。一枚500円くらいでしたかね。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタやベートーヴェンやこのブラームスの協奏曲など、これは買わなければいけません、ということでまとめて買いました。このシリーズ全部で22枚あります。他にも欲しいものはあるのですが、限定盤ということで入手できないのでしょうかねえ。

シュナイダーハンは、1912年ウィーン生まれ。1938年からVPOのコンマスとしてクレメンス・クラウスなどのもと活躍し、1949年からはソリストとして活動されました。2002年に86才で逝去。妻は、イルムガルト・ゼーフリートということ。どれくらいの録音が残されているかは、あまり知らないのですが、このDGからのシリーズでだいたい押さえられるのでしょうかね。

そして、このブラームスの協奏曲ですが、録音された1953年といえば、かのフルトヴェングラーの死の前年。指揮者のケンペンは、オランダ生まれ。ドイツでの活躍が長く、ドレスデンPOやアーヘン歌劇場の音楽監督を歴任。ケンプとのベートーヴェンピアノ協奏曲全集やいくつかの交響曲などが知られているように、この時期にBPOといくつかの録音をされています。1955年に65才で逝去されているので、最晩年の演奏となりますね。

この演奏、聴きどころとしてまずは、シュナイダーハンのヴァイオリン、そしてフルトヴェングラーの時代のBPOですね。ともに熱気と集中力には聴いていて、背筋がピンと伸ばさなければいけない気持ちになるような演奏であります。シュナイダーハンのピアノの切れ味はとても鋭いし、美音はうっとりするような音色で、ともに一点の曇りも見れません。そして、ケンペンとBPO。これもまた妥協を許さないような厳しさ。BPOの渋く暗めの音色。それがブラームスには非常に相応しい。また、ケンペンの剛毅な伴奏、これも聴いていて心地よい。しかし、これに十二分に対峙できるシュナイダーハンも見事なのであります。

第1楽章、重厚なオケの序奏に負けないシュナイダーハンのヴァイオリン。うなり声を上げるように力強く響き、それが次第に流麗な美しさも合わせ持ち、耳は釘付けになる。そして、オケもフル回転の凄まじさも見せつつ、ヴァイオリンとのまさに協奏に没入しているところがとてもいいです。また時折フルトヴェングラーを彷彿させるBPOでした。第2楽章。木管に続くヴァイオリン。両者には甘さより質実剛健の響き。これが実にブラームス、と実感させてくれるよう。とは言え、ここでのヴァイオリンは余分なものがない厳しさをもつ美しさがあります。それが心に迫ってきます。第3楽章、心なしかこれまで厳しさよりも温和さや暖かさを、両者の演奏の中から感じさせてくれる。曲が進む中で、両者には妥協のない緊張感がありますが、それでもそんな気持ちを抱かせてくれるところに、この演奏の素晴らしさも実感するのでありました。モノラルの録音の古さを感じますが、演奏はまったくそんなことはない、この曲の最も素晴らしいもののひとつであります。

そう言えば、昔はテレビドラマ、よく見てましたね。最近はバラエティばかりが目立ち、あまりテレビドラマってないような…。いつのころからなんでしょうか。なぜそうなったんでしょうかねえ。先述の『池中玄太80キロ 』もそんないつも見ていたテレビドラマでした。
(DG POCG 90176、1998年)
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