こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

ローエングリンと「春の椿事」

2010年04月13日 23時06分14秒 | ワーグナー
「春の椿事」ではありませんが、マリーンズ絶好調であります。首位を独走中であります。この強さは、日本一になった2005年のシーズンを思い出しますねえ。強い強い。しかし、スポーツニュースでは決まって「ロッテの強さは本物か?」という話題が絶えません。まあ、9月まで言い続けてなはれ。毎日、CSで『野球好き』『プロ野球ニュース』を見て、マリーンズの今日の試合を反芻して上機嫌であります。いやー、これほど気分のいいシーズンは、ほんとに久しぶりであります。今日も、ハムに逃げ切り4連勝!去年の借りを返さねばなりません(笑)。

まあ、そんなことで気分のいい春でありますが、その気分の中、正月以来のワーグナーであります。ワーグナーの中での一番のお気に入り。『ローエングリン』であります。ほんと、最近はオペラの新譜が全くと言っていいほど発売されないです。なんででしょうねえ。もはやオペラは採算に合わないのか、全曲を出すに相応しい歌手が不在なのか。まあそんなことはないでしょうが、淋しいことです。さて、『ローエングリン』ですが、これもご多分に漏れず、新譜がでたのはいつだったか。おそらくバレンボイム盤以来出ていないのではないかと思います。そんなことで今回は、1962年7月、バイロイト音楽祭でのライブ録音。指揮はウォルフガング・サヴァリッシュであります。

この演奏、魅力はなんといっても、1950年代のバイロイト音楽祭の熱気をとどめていることです。配役の中では、まずラモン・ヴィナイのテルラムントと、アストリッド・ヴァルナイのオルトルートの悪役コンビが光ります。ともに全盛期は過ぎた頃と思いますが、第二幕最初、のちの楽劇を思い起こすようなやり取りでは、ヴィナイは第1幕と対照的な弱さを感じるあたりがおもしろい。ヴァルナイも高音が辛いし、第三幕での最後の叫びなどはしんどいのですが、それが逆にオルトルートの凄みを感じる場面が随所に聴くことができます。第二幕でのエルザとのやり取りなどは、なかなか対比がおもしろいです。このふたりがまず聴きどころですねえ。そして、エルザのアニア・シリア。この時期、盛んに登場するソプラノですが、その後はどうなったんでしょうか。たいそう若くて愛らしい歌声は魅力的です。直向きで純真なエルザということではいいのですが、ヴァルナイとのやりとりはどうも分が悪いです。しかし、これがジェス・トーマスのローエングリンとは、まあ本当のヒーローとヒロインということで、ともに真っ直ぐの直球一本というような歌唱が、これまたいいのです。第三幕の二人のやりとりなどが、私的にはまったく不満はありません。トーマスも実にローエングリンらしいローエングリンとでもいうでしょうか、完全未無比の正義の味方ってところがいいですね。サヴァリッシュもCDの写真では銀行員のおじさんってところですが、雄弁な指揮振りで、テンポは速めですが、このオペラを盛り上げてくれます。フランツ・クラスのハインリヒ王も立派ですが、トム・クラウゼの軍令使もこれ以上に渋い歌唱を聴くことができることもあります。

この演奏には思い出がありまして、ある休日に自宅の居間のソファーに行儀悪く寝そべってこのCDを聴いておりました。そのときに第一幕第3場でローエングリン登場の場面にて、感動の余りに周囲の群衆の男女が「素晴らしい奇蹟が起こった」とか「気高き美しい姿だろう」などの感嘆の感情を吐露するくだりおいて、このバイロイトの合唱団のあまりの美しさ、それは聖なる美というか神々しいばかりの美しさを感じて、しばし呆然とした記憶があります。これは一過性のものだったかもしれませんが、ウィルヘルム・ピッツが指導したバイロイト合唱団の素晴らしさは、何度聞いてもいいです。特にこのローエングリンには合唱が幾度となく登場するので、その存在感が大したものです。

このCDは、今はなき大阪堂島のワルツ堂で買いました。もう15年くらいは前のことでしょうか。当時、3枚組のオペラ全曲としては3000円台の安い値段に引かれて買ってしまったものです。ローエングリンは、これで5回目の登場。私の最も愛するオペラであります。
(Philips 446 337-2 1995年 輸入盤)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2010-05-14 18:57:50
とおりすがりのアラン 様、コメントありがとうございます。そうですか。ドホナーニの奥様でしたか。いやー知りませんでした。昔活躍していた歌手で、ぱったり名前を聞かなくなるケースがあるので、どうしたんだろ?って思いますよねえ。ご教示ありがとうございました。
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私もシリアの個性的な声は好きです。 (とおりすがりのアラン)
2010-05-14 09:47:24
>アニア・シリア。
>この時期、盛んに登場するソプラノですが
>その後はどうなったんでしょうか

確かにこの時期の活躍と比べると、その後では
あまり名前を聞かなくなってしまいました。

現在、廃盤になってますが、
マルフィターノがタイトルロールを務めた
1997年収録のサロメ
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1944059
ヘロディアス役で出演していて、還暦が近くなった彼女ですが、まだまだ元気いっぱいの映像を拝むことができます。
しかもこの盤の指揮者のドホナーニとシリアと夫婦でしたが、近年、離婚したそうです。
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