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最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

秋風とショパン

2010年09月19日 18時56分36秒 | ショパン
秋らしくなってきました。前回の更新から約一週間、岡山に滞在しておりました。いやー、私事ですが、大事件と大行事でした。ほんとに大変でした。こんな大変なことは、4年前に続いて二度目ですが、もう経験したくないことですね。岡山に頻繁に帰るようになって、8年。毎週の週末の恒例行事になっていました。そのため、車も20万㎞の走行距離になりました。しかし、これからはもう岡山に行くことも激減することでしょう。寂しくなりますね。つらいことですが仕方ありませんね。ほんと。

さて、今回はショパンです。といっても、またまたピアノ・ソナタ第3番です。これで3回目の登場であります。この曲、本当に好きです。好きなのはいいのですが、そればっかり、ということでもないのですがねえ。それで、今回のピアノは、エミール・ギレリスであります。1978年9月、ベルリンでの録音です。これは、17日に岡山でもろもろの事後処理をしておりまして、それが終わって、岡山のタワーさんにフラッと寄ったときに、見つけました。原盤はDGなんですが、タワーレコードのVINTAGE COLLECTION Vol.9の一枚であります。このCDを手にしたときに、ギレリスのショパン?、と思ったのですが、まあ1000円ということもあって、気軽に買ってしまいました。しかし、そんな風に買ったCDの方がよく聴いたり、またお気に入りになったりすることが多いのですよ。

ということで、ギレリスのショパンですが、期待に違わず、なかなかショパンらしくないショパンであります。まるで、ベートーヴェンの曲のように、ショパンを弾く、言ったら言いすぎでしょうか。ショパンによく聴かれる、ピアノの優しさや華やかさなどは、まったく感じられず、まさに質実剛健、「鋼鉄のピアニスト」の面目躍如とでもいうのでしょうか。ショパンらしい甘美なメロディとも無縁で、感情移入もそれほど感じず、その意味では客観的な演奏でありますよねえ。一音一音を確実に弾いているギレリス、ピアノのテクニックのうまさをよりも、凄さを感じるとでもいいましょうか。あくまで、澄み切った混じりっけのない、明快で強烈な男性的なピアノであります。そんなショパンなんですが、こんな演奏、私はけっこう好きです。

第1楽章、テンポはゆったりと、ショパンの旋律を着実に再現しているよう。しかし、華やかなイメージはあまり見られない。とは言え、ショパンらしい第二主題においては、めずらしくショパンらしく弾いているようでもある。しかし、後半部で再現される第二主題は、そんな甘さはまったく感じませんね。強音が鮮烈だが、一方で弱音もきれいなところがいい。第2楽章はスケルツオ。目にも眩しいテクニックが展開され、短い楽章だが鮮やかで、低音が響く。そして、第3楽章。ショパンらしさを堪能できる楽章。ここでもテンポはゆったりめ。特に、中間部でも殊の外ゆったりとしたピアノ。ここは正確なピアノタッチが無上の美しさを展開しています。それほどの感情移入は感じられないが、心に染み込むピアノです。実に美しい中間部であります。いやー、ほんとに美しいピアノ。もっと聴きたいと思いつつ、第4楽章。一転して、力強く激しい曲。これをギレリスは、一抹の不安もなく、正確に弾きこなしているのはさすがです。息もつかせぬピアノの音には、爽快感すら感じます。堂々とショパンを弾きこなすギレリスの面目躍如であります。

秋らしくなったと言っても、日中の日差しはまだまだです。そろそろ吹きかける秋風に感傷的になる今日この頃であります。
(TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol.9 PROC-1043 2009年)

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2 コメント

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鋼鉄のショパン? (ken)
2010-09-20 02:08:15
期待に違わず、らしくなかったのですね!
ショパンは少年のころサンソン・フランソワを聴きましたが、年齢を重ね世の不条理に合理的に対応するようになるにつれてすっかり縁遠くなってしまいました。お薦めはルービンシュタイン辺りですか?
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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2010-09-20 19:27:15
ken様 コメントありがとうございます。私も最初に聴いたショパンは、サンソン・フランソワでした。もっとも、そのころはこの演奏しか知りませんでしたが…。ルービンシュタインのショパンは、それなりに聴くのですが、あまり馴染めません。うまいし、非常によく考えて弾いてられる、という感じは強く持つのですが。この曲は、いまのところ、一番のお気に入りは、リパッティではないかと思っています。
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