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ルプーの「月光」

2013年09月21日 23時52分00秒 | ベートーヴェン
今年は、ワーグナーとヴェルディの生誕200周年ということで、記念するCDも出ていますね。まあ、安くなりましたよ。昔、カラヤンの指環が30,000円したことを思えばねえ…。例えば「DGワーグナー:オペラ全集(43CD)なんて、ネットで6000円ほど。レヴァインの指環、ヨッフムのマイスタージンカー、クライバーのトリスタン、ショルティのローエングリンなど、まあすべてがこの値段で買えます。場所を取らないので、今持っている単品を全部売って買い直そうかと思うような値段であります。まあ、そんなことはしませんが…。

そんなことはさておき、今回は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタです。ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2『月光』。まあ、ベートーヴェンのピアノ・ソナタでは、よく悲愴と熱情とこの月光を三大ソナタと言われ、最も人気のある曲でした。かくいう私も、この曲をピアノソナタの中ではまず最初に聴きました。1801年、ベートーヴェンが30歳のとき、ジュリエッタ・グイチャルディに捧げるために作曲されたそうです。この女性は彼の「不滅の恋人}だそうです。第1楽章が非常に有名で、「月光」の名の由来ですが、他の楽章も聴きやすい曲ですね。

それで、この演奏ですが、まあたくさんあるでしょうねえ。その中から、ラドゥ・ルプーによる演奏。1972年6月の録音です。ルプーのデビュー盤。この人、あまりベートーヴェンは録音してないんですかね。協奏曲はメータと組んだものがありますが、ソナタは、この三曲だけなんですかね。他には見つけることができませんでした。私は、この人、けっこう好きなので、他の曲も録音してほしいですねえ。

ということで、この月光ですが、まずルプーのピアノタッチの繊細さとその美しさに耳が奪われます。元々、ルプーのピアノは、非常な美音で有名です。この演奏でも、それは同様であります。
特に、この月光の幻想的で詩情あふれる美しさは、比類なきものであります。そして、これと対比するように、強靱な音色も他を圧倒する鮮烈さや、厳しさをたたえております。加えて、ピュアーなピアノにも、この曲に相応しいと思っています。

第1楽章、月光の曲として有名なもの。ルプーのピアノは、夢の中で鳴っているような、極上の絹のような柔さ、ちょっとでも触れようなら壊れてしまうような繊細さ。そして遠くから放たれたかすかな光のような趣がある。まさに、真夜中にかすかな光を放つような月の光を連想させるに値するピアノ。いやー、これほどのピアノが弾けるのかと思うようであります。闇に消え入るような、しかし、そこに止まってかすかな光をしっかりと放っているのであります。ロマンティックですねえ。そんなピアノの余韻が残る中、第2楽章スケルツオ。第1楽章のピアノのままこの楽章が始まる。音色は同じであるが、そのままで音量がアップ。でも柔らかさや漂う上品さは変わらない。しっとりとした大人しい気品が漂うような美しさにあふれています。こんな美しいスケルツオもなかなか聴けません。そして、第3楽章、このピアノでの大胆な表情に満ちた終曲。一転して強靱な音色が響き渡り、力強く激しさが加わり、それまでの曲調から一転してのピアノが鳴り響く。劇的な表情も見せ、曲が盛り上がりを見せる。しかし、そんな表情は変わるが、根本的なピアノの響きや音色は変わらないとことがいい。またここでも音色はピュアーで混じりっけのない美しさは健在であります。

このCDは、月光の他に悲愴とワルトシュタインが収められています。このふたつも良い演奏であります。ジャケットは若いルプーさんと海に浮かぶ月が写っていますね。そして、このCDはTHE DECCA SOUNDの50枚組の中に入っているものであります。
(THE DECCA SOUND 478 3183 2011年 輸入盤)

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