大地震から約10日。被災地のことなどをテレビで見るたびに、阪神大震災を思い出します。家族の安否が不明な人もたくさんおられます。どれだけ被害者が増えるのか、心配なことでありあす。一方で、復興に向けての動きも始まっており、気仙沼港の復興などのことが報道されていましたが、人間の力は、すごいものだなって思いました。放射能汚染のことも深刻ですが、大気中の放射能は1960年代は濃かった言われています。このころは、特にフランスなんか、南太平洋上で核実験をボコボコやってましたもんねえ。まあ、今では考えられないことです。今までの規制されていた数値のレベルがどんどんそれ以上でも大丈夫だと言われているところに戸惑わざるを得ません。また、危険を顧みずの勇敢な作業にも目頭が熱くなりました。こんな「日本の救世主」の働きがこの危機から日本を救ってくれている力となっているんでしょうね。
さて、今回はモーツァルトです。通算66回目。ベートーヴェンは56回。ベートーヴェンに追い上げられつつありますので、モーツァルトも頑張らなければなりません?。そのモーツァルト、今回は、弦楽五重奏曲であります。モーツァルトのこのジャンルは周知の如く6曲が残されています。弦楽四重奏曲にヴィオラをひとつ加えたもの。これによって、低音の分厚さが増しています。私的には、モーツァルトの著名な弦楽四重奏曲よりも好ましいものです。それはやはり音が分厚いところがいいです。6曲の中、今回は第6番変ホ長調K.614です。これはモーツァルト最晩年のもので、器楽曲としても最後となるクラリネット協奏曲の一つ前のもの。死の八ヶ月前の1791年4月12日に、ハンガリー人のヴァイオリン奏者ヨハン・トストからの依頼により作曲された、と言われています。このトスト、ハイドンなどにもいくつかの弦楽四重奏曲を依頼しておることでも知られる人物。この関わりから、モーツァルトはこの曲を作曲するにあたって、ハイドンを強く意識したとも言われています。それはともかく、晩年特有の美しい透明感に満ちた曲であります。友人に言わすと、気合いの入っていない、フニャとした曲だそうです(笑)。そんな見方もできますかねえ。
この曲の演奏、その昔DENONからPCM録音が出た頃に、LPでスメタナSQとスークのものを買って聴きましたが、CDになってからはブダペスト四重奏団とワルター・トランプラーのヴィオラの演奏を聴いていました。1~6番まで収められており、3枚組でした。けっこう高くて、7500円はしたように思います。1966年2月と12月にニューヨークで録音されたものです。このブダペストSQとトランプラーとの演奏、やはり非常にまとまりがいいのです。5つの楽器のバランスも力関係も非常にいい。それぞれの5つの楽器がそれぞれ自分の持ち分をしっかりと演奏し、それが生き物のように活発な動きが展開されます。しかし、その5つのまとまりは非常にいいのです。そして醸し出される音色は、それほどの美的なものとは言いにくいのです。どちらかと言えば、武骨で質実剛健。甘さとか暖かさを感じるようなものでは決してありません。でもそれがこのバランスのよさと絡み、非常に心地よさを感じます。加えて、演奏も固さ・強固さをを感じ、ウィーン風の優美な演奏とは少々異なるか。第1楽章、二本のヴァイオリンとヴィオラの演奏から始まり、ああこれは弦楽四重奏とは違うなあ、低音の充実を感じながら、トランプラーのヴィオラを意識してしまいます。快活な演奏。第2楽章変奏曲。モーツァルトらしい優美な楽章。透明感あふれる美しさ。ブダペストはその美に忠実に演奏を展開している。それがこのような楽章ではたいそう好感がもてます。第3楽章メヌエット、ここでは各楽器の切れ味がいい。短い楽章ですが、メヌエットの良さがあふれています。そして、終楽章アレグロ。展開部の対位法的なところが耳につきます。ここの演奏は実に鮮やかであり、一番の聴きどころでしょう。5つの楽器の活発なせめぎあいが見事であります。ここでも低音の充実が十二分に感じられます。
ここ二三日の間は、福島原発は一時のどうにもなりません、という状況から、それなりに安定したように思います。なんとか電源が復旧して、事態が好転されることを祈っています。
(CBS/SONY 75DC953-5 1987年)
さて、今回はモーツァルトです。通算66回目。ベートーヴェンは56回。ベートーヴェンに追い上げられつつありますので、モーツァルトも頑張らなければなりません?。そのモーツァルト、今回は、弦楽五重奏曲であります。モーツァルトのこのジャンルは周知の如く6曲が残されています。弦楽四重奏曲にヴィオラをひとつ加えたもの。これによって、低音の分厚さが増しています。私的には、モーツァルトの著名な弦楽四重奏曲よりも好ましいものです。それはやはり音が分厚いところがいいです。6曲の中、今回は第6番変ホ長調K.614です。これはモーツァルト最晩年のもので、器楽曲としても最後となるクラリネット協奏曲の一つ前のもの。死の八ヶ月前の1791年4月12日に、ハンガリー人のヴァイオリン奏者ヨハン・トストからの依頼により作曲された、と言われています。このトスト、ハイドンなどにもいくつかの弦楽四重奏曲を依頼しておることでも知られる人物。この関わりから、モーツァルトはこの曲を作曲するにあたって、ハイドンを強く意識したとも言われています。それはともかく、晩年特有の美しい透明感に満ちた曲であります。友人に言わすと、気合いの入っていない、フニャとした曲だそうです(笑)。そんな見方もできますかねえ。
この曲の演奏、その昔DENONからPCM録音が出た頃に、LPでスメタナSQとスークのものを買って聴きましたが、CDになってからはブダペスト四重奏団とワルター・トランプラーのヴィオラの演奏を聴いていました。1~6番まで収められており、3枚組でした。けっこう高くて、7500円はしたように思います。1966年2月と12月にニューヨークで録音されたものです。このブダペストSQとトランプラーとの演奏、やはり非常にまとまりがいいのです。5つの楽器のバランスも力関係も非常にいい。それぞれの5つの楽器がそれぞれ自分の持ち分をしっかりと演奏し、それが生き物のように活発な動きが展開されます。しかし、その5つのまとまりは非常にいいのです。そして醸し出される音色は、それほどの美的なものとは言いにくいのです。どちらかと言えば、武骨で質実剛健。甘さとか暖かさを感じるようなものでは決してありません。でもそれがこのバランスのよさと絡み、非常に心地よさを感じます。加えて、演奏も固さ・強固さをを感じ、ウィーン風の優美な演奏とは少々異なるか。第1楽章、二本のヴァイオリンとヴィオラの演奏から始まり、ああこれは弦楽四重奏とは違うなあ、低音の充実を感じながら、トランプラーのヴィオラを意識してしまいます。快活な演奏。第2楽章変奏曲。モーツァルトらしい優美な楽章。透明感あふれる美しさ。ブダペストはその美に忠実に演奏を展開している。それがこのような楽章ではたいそう好感がもてます。第3楽章メヌエット、ここでは各楽器の切れ味がいい。短い楽章ですが、メヌエットの良さがあふれています。そして、終楽章アレグロ。展開部の対位法的なところが耳につきます。ここの演奏は実に鮮やかであり、一番の聴きどころでしょう。5つの楽器の活発なせめぎあいが見事であります。ここでも低音の充実が十二分に感じられます。
ここ二三日の間は、福島原発は一時のどうにもなりません、という状況から、それなりに安定したように思います。なんとか電源が復旧して、事態が好転されることを祈っています。
(CBS/SONY 75DC953-5 1987年)
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