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最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

ブリュッヘンのベートーヴェン その2

2019年06月02日 22時12分09秒 | ベートーヴェン
先週末に家人と大分県に二泊三日で行ってきました。娘が旅行券をくれたので、それで由布院に一泊し、あとは豊後高田。由布院は露天風呂つきの部屋で、たいへん豪華な旅館でした。小倉からレンタカーで、中津城、臼杵石仏、富貴寺や真木大堂などの六郷満山の寺院、宇佐八幡宮などに行きました。学生のときに行ったことがあったのですが、ほとんど記憶が薄れており、それなりに新鮮でした。三日とも初夏の陽気で天気にも恵まれて、たいそうよかったのでありました。

ということで、今回はフランス・ブリュッヘンと18COによる演奏。ブリュッヘンは、2014年に79才で逝去されました。もう5年前になるんですねえ。その後、18COはどうなったんでしょうかね。モーツァルトやベートーヴェンの交響曲など1990年前後に録音された演奏は、新鮮であり、また理知的で非常に堅固でありました。もうかなり前に、そのころに録音されたベートーヴェンの田園を取り上げたことがありました。そのブリュッヘンがちょうど新しいライブの全集を録音したCDが出ていたので、元町の中古やさんで見つけ、SACDだったこともあって、買いました。ブリュッヘンのDVDも付いており、4800円ほどでありました。

そして、今回はベートーヴェンの交響曲全集。2011年10月のロッテルダムでのライブ録音であります。この中から、交響曲第3番変ホ長調『英雄』作品53です。私、ベートーヴェンの交響曲の
中では、第2番~第5番の4曲が比較的よく聴く方なんですが、この中でも第3番は実によく聴くのではないかと思います。はやりベートーヴェンの野心作とでもいいますか、新進気鋭の作曲家のギラギラしたものが感じられるのであります。

この演奏は、先の録音からなんともう約30年もたっています。その中で、古楽を取り巻く環境も変わったんですねえ。二つの演奏を比べると、いろんなことがわかります。18COの人も規模も変わったのかも知れません。また、このCDはSACDであり、ずいぶんいい音で鳴るので、印象が変わったのでしょうかね。それもあると思いますが、前の演奏は、はやり革新的でありました。稚拙な表現でいいますと、①古楽器だとすぐにわかる。②音が鋭角的。③少々薄っぺらい。④乾いた打楽器、⑤金管が少しうるさい、云々であります(妄言多謝)。それが、この新しい録音では、確かに古楽器の奏法は同じなんです、かなり音色がまろやかになり、柔らかい音の印象なんです。これの理由はわかりませんが、とにかく古楽器特有のキツい音色があまりきかれなくなりました。そして、音が分厚い。この演奏では18COの構成は、50数人。以前がどれくらいかわかりませんが、人数が増えたのかも知れません。以前は、小人数やなあ、と思ったのですが、今回のは、それなりに人数が多いような音の分厚さを感じますねえ。そして、打楽器や金管はまあ、それなりにモダン楽器に近くなったような…。以上のような感覚は、もしかすると古楽器の演奏に慣れてきたこともあるのかもしれませんが、まあ古楽器とモダン楽器の両者の歩み寄りがあるのかも知れません。

第1楽章、冒頭から旧録音とは異なる分厚さ。そして生き生きとした躍動感は同じだが、オケの芳醇なコクが加わって、より安定感と演奏の深みも感じますね。若きベートーヴェンのエネルギッシュさが健康的に伝わって来ますねえ。爽快であります。第2楽章、旧盤に比べると、より気持ちが籠もった演奏と思うが、それもオケの様子が変わったことに起因するように思う。そうは言っても暗さや深刻さはそれどでもないか。第3楽章、たいそう緻密な印象の演奏が弦を中心に展開、ホルンの音色がいいですね。そして、終楽章。以前にも述べましたが、後半のふたつの楽章がお気に入りです。ゆったりとした出だしできめ細やかに進む。ここでも分厚いオケで非常に安定感があり、非常に落ち着いた演奏であり、鋭角的なところは微塵もありません。私はたいそういいな、と思っています。

とか、なんとか言っているうちに、6月になりました。火曜日からはプロ野球交流戦も始まります。あまり好きではない交流戦ですが、勝てるでしょうか。
(Glossa GBSADV001 2012年 輸入盤)


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2 コメント

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Unknown (クレモナ)
2019-06-03 15:54:38
私も以前、このSACDによる、グロッサの全集を、目にしていました。但し、その時は、新品だったので、チョット高くて?、手が出せませんでした。(確か、タワーレコード)いずれ、中古品を見つけたら、買おうと思っていました。まだ、入手していません。ということで、以前録音された(1987年)、CDを聴いてみました。ブリュッヘン18COは、ある時期、興味を持って、色々と集めていました。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、ラモーなど。従って、「英雄」も手元にあったので、改めて聞き直してみたのです。現在、ベートーヴェンを演奏する時は、よほどの演奏家以外、オーセンティックな影響を、受けています。大オーケストラを使って、迫力満点で演奏する、ベートーヴェンは少ないと思います。ウィーンPOや、ベルリンPOでも、例外ではありません。そういう耳で、ブリュヘンの演奏を聴くと、特別、驚くようなものではありません。鋭い管楽器や、乾いたティンパニー、ノンヴィブラートの弦楽器の音、快速なテンポ、どれも、現在では普通です。むしろ、フルトヴェングラーなどの演奏のほうが、刺激的?かも、知れません。あんな、ロマンティックなベートーヴェンを、昔は聴いていたのかと。ただ、何がなんでも、作曲当時の音(実際は、誰も聴いたことが無いのだが)を再現することが、最良の音楽表現と、いえるのかどうか?私は、答えが、色々あっても良いと思うのです。まあ、ブリュッヘンの果たした役割は、偉大だとは思います。
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コメント、ありがとうございます。 (mikotomochi58)
2019-06-03 22:14:18
クレモナ 様、コメント感謝です。ブリュッヘンの新録音、私は偶然店頭で見つけ、ああこんなのも、でたんだ!と思い、SACDでもあったので、購入していまった、ということでした。いやはやであります。それで、ブリュッヘンの演奏は、旧録音でも、他の古楽器の演奏家に比べると、比較的おとなしし、非常に堅固であるように思います。それと新録音を比較してみると、やはりその間の30年の歳月がいろんなところで影響しているんだろうな、と思わざるを得ません。と同時に、古楽器の演奏に慣れてきた我々の耳の存在も重要でしょうね。私自身も、以前に比べれば、耳が慣れてきたと思います。そうは言っても、私はモダン楽器の方が好きなんですがね。またご教示ください。
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