時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

後藤健二氏殺害の影で(イスラエル軍ベツレヘム侵攻について)

2015-02-01 23:30:39 | リビア・ウクライナ・南米・中東
後藤健二氏が殺害された。
メディアは後藤氏の偉業を称え、安倍首相のフォローに努めているが、
この悲劇の裏側で安倍政権は「積極的平和主義」という名のイスラエル支援を行っている。


その最も典型的な例として、ヨルダン渓谷開発事業計画が挙げられる。

同プロジェクトは、安倍が述べるインフラ再建支援の目玉でもある。


~1月20日イスラム国殺害予告 安倍首相会見より~

「例えば過去18年間にわたって、イスラエル、パレスチナの双方から
 中東和平の将来を担う青年を日本に招き、信頼醸成に取り組んできました。

 今回の訪問では、イスラエル、パレスチナ青年合同招聘
 (しょうへい)の同窓会を開催し、将来の和平の担い手同士の
 絆(きずな)を深めることができたと思います。

 また、日本独自の取り組みとしてイスラエル、
 パレスチナおよびヨルダンの関与を得て、
 ヨルダン渓谷を開発する『平和と繁栄の回廊』
 構想を推進してきているところであります



このセリフだけを読むと、双方の懸け橋となっているような印象を受ける。





ところが、このプロジェクトは、
実際には資金を出す大国、
すなわちイスラエル・日本主導のハコモノであり、
現地NGOから幾度か抗議書を提出されている






----------------------------------------------------
日本の国際協力機構(JICA:Japan International Cooperation Agency)が、
パレスチナのヨルダン渓谷で、広範な開発プロジェクトを計画・実施している。

JICAが表明しているところでは、プロジェクトの目的は、
ヨルダン渓谷の経済開発と、パレスチナ-イスラエル間の協力関係を推進することにあるという。

このプロジェクトには、以下で検討するように、いくつかの根本的な問題がある。


主要なポイントは、

JICAがパレスチナの人たちと
充分な協議を行なっていないこと

さらには、協議の際にパレスチナ側から表明された
要望・必要性に即した活動を行なっていないこと。


JICAはパレスチナの人たちに十全な説明をする責任を果たしていない。

この結果、JICA主導の開発提案は、地域の必要性を満たさないばかりか、
現実に地元住民の利益に反するものとなってしまっている。



JICAがヨルダン渓谷の政治的な現状を正しくとらえた活動を行なっていないこと。

ヨルダン渓谷の深刻な経済状況は、
イスラエルによる40年に及ぶ占領の直接的な結果である。

現在、JICAの主導のもとに進められているプロジェクトは、
占領という状態と分かちがたく結びついた経済・インフラ構築を促進することにしかならず
事実上、長期的な発展にとって深刻きわまりない障壁を固定化してしまうことになる。


JICAの「合同」プロジェクトの提案は、
ヨルダン渓谷のイスラエルの存在を認めるものであり、
国際法の侵犯であるとともに、パレスチナの人たちの要望に反するものである
こと。

JICA提案では、イスラエルは占領者ではなく「パートナー」としてとらえられている

http://palestine-heiwa.org/feature/oda/stw-jica-briefing.html
------------------------------------------------------------

同意見書では、基本原則として、次のものを提言している。


パレスチナの貧困は、
 パレスチナ人が行なってきた
 経済政策が誤っていたからではなく、
 現在も続いている占領の直接的な結果である。



パレスチナ人の自己決定権の確立という
政治的な目標こそが、
人道・開発政策の基本原則でなければならない。


占領が作り出した現在も進行中の危機的な状況の中で、
緊急に求められているのは人道支援である。

国際機関によって行なわれる開発は往々にして、
直接的にであれ間接的にであれ、
占領を支援することになりがちである。




要するに、イスラエルの占領政策の支援として
現地住民・運動家に抗議されているのである。


この構図は現在も変わらない。

安倍首相は慰安婦問題でも証拠がないとサラっと出鱈目を言える男ではあるが、
中東問題においても、同様に呼吸するように嘘を吐いており、正直、驚いている。


ここで思い出してほしいのは、ちょうど人質事件が起きる直前に、
安倍首相がイスラエルのホロコースト記念館で演説を行ったことだ。

「特定の民族を差別し、憎悪の対象とすることが、
 人間をどれほど残酷にするのかを学んだ」

「差別と戦争のない世界、人権の守られる世界の実現に向け、
 働き続けなければならない」


……と述べたのだが、安倍が日頃から
アジア各国に挑発的な発言を行っているのは周知の事実であり、
ニュースを知った人間のなかには「日本人は笑い話が上手い」と皮肉を言う者もいた。


ホロコースト記念館の演説と言い、
ヨルダン渓谷の開発支援といい、
安倍が人道支援と言ってやっていることは、
イスラエルの支援なのである。




そして、人質事件で騒がれる最中、
イスラエルはベツレヘムに進軍し、
現地住民を攻撃した。




--------------------------------------

シオニスト政権イスラエル軍が、
ヨルダン川西岸のベツレヘム各地を攻撃し、
パレスチナ人数十名が負傷しました。


情報筋によりますと、31日土曜、
ベツレヘム東部の小都市へのシオニスト軍の攻撃後、
パレスチナ市民が彼らと衝突しました。


シオニスト軍はパレスチナ人を解散させるため、
彼らに向かってプラスチック爆弾や催涙ガスを発射し、
これによりパレスチナ人数十名が負傷しました。


シオニスト政権軍はさらに、30日金曜、
ベツレヘム北部のキャンプを攻撃し、
パレスチナ人に向かって催涙ガスや
プラスチック爆弾を発射し、
青少年数名を含むパレスチナ人数十名が
呼吸困難になりました。


聖地でのパレスチナの若者と
シオニスト軍の31日の衝突でも、
パレスチナ人の若者数名が負傷しました。


イスラエルの戦艦はさらに、同日、
ガザ地区北西部の沿岸地域で、
パレスチナ人の漁船に向かって銃撃し、
彼らを漁場から追い出しました。

この地域は漁が許可されていた地域でした。


シオニスト軍はガザ地区南部のハンユニスでも、
パレスチナ人の農民に向けて銃撃を行っています。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/51773
-%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E8
%BB%8D%E3%81%8C%E3%83%99%E3%83%84%E3%83%AC%E3%83%
98%E3%83%A0%E5%90%84%E5%9C%B0%E3%82%92%E6%94%BB%E6%92%83

-------------------------------------------------------

イスラエルにも関わらず、エジプトにおいても、
安倍は現地の政権の民衆弾圧や人権侵害を無視し、
「積極的平和主義」と言いながら、札束で高官の頬を叩いていた。


(25億ドルものバラマキ政策については、中東諸国の好感を得て、
 現地への日本企業の進出を促すものと識者はみなしている。
 http://japanese.beijingreview.com.cn/zxnew/
 txt/2015-01/23/content_664964.htm



皆、わかっていると思うが、
テロリストはISISだけではない。

当然、反イスラエル・エジプトのテロもいる。
今後、彼らが日本人を拉致しない保証はない。


にも関わらず、安倍政権は
今後も「人道支援」を続けると言う。


新聞もテレビもこのことについて、
まずハッキリと批判すべきではないだろうか?


お涙ちょうだいのドラマ仕立てた報道ではなく、
安倍政権の中東政策の問題点を議論すべきではないだろうか?