時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

酒井教授批判その2

2015-02-15 22:33:23 | リビア・ウクライナ・南米・中東
前回、EUのイスラモフォビア(イスラム差別)についての記事を紹介した。


重要な個所を拾っていくと、次のようになる。


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パリのテロ事件は、西側におけるイスラム排斥者が多くの政府関係者とともに
イスラムやイスラム教徒に対して大規模な攻撃を行う原因となりました。


イギリスのキャメロン首相は、
アメリカのCBSチャンネルのインタビューで、次のように語りました。


私は、自由社会では、ほかの宗教の信徒に対して、侮辱的に対応する権利があると考えている



フランスのオランド大統領も、シャルリエブドの侮辱行為に抗議する
各国のイスラム教徒のデモに反応し、次のように語りました。


彼らは、フランスが表現の自由を遵守していることを理解していない


学校などの公的な場所における、イスラム教徒の女性のベール着用禁止も、
フランスにおける法的自由の侵害の一つです。


フランスでは、イスラム教徒の女性は
宗教信仰に基づいて自分の衣服を選ぶことができないのです。


一方、シャルリエブドの侮辱は、表現の自由に基づいて正当化されています。

西側の政府関係者が、シャルリエブドによるイスラムの神聖の冒涜を支持したことで、
西側のイスラム排斥主義者はさらに大胆になり、
さらに組織化された形でイスラム排斥という目的を追求するようになっています。



ISISやアルカイダのようなテロ組織の行為や、イスラムを名目とした彼らの行為は
実際のところ、ペギーダのようなイスラム排斥組織を強化しています。



西側政府は、表面的にはイスラム排斥行為に反対していますが、
実際にはこの排斥行為を合法化するとともに、
西側の政策はイスラム排斥団体を強化するものです。


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つまり、ヨーロッパのイスラム差別は
一部の過激思想にはまった人間が部分的に行っているものではなく、
フランスを主としたヨーロッパ政府が全体的に行っているということだ。



イスラム教徒を阻害する
社会システムが存在するのである。



これを踏まえた上で、岩波の月刊誌『世界』2015年3月号に掲載された
酒井啓子氏の評論「シャルリー・エブド襲撃事件が浮き彫りにしたもの」
を読んでいくと、一連の現象における欧米政府の責任が免じられていることに気が付く。


簡単にいえば、
安倍首相が反民族差別の主導者だと言っているような内容なのだ。




この論文の前半部は、シャルリエブドを巡るその後の顛末について、
簡単に説明がされている。そこでは欧州でのイスラム差別やイスラム圏域での
シャルリエブドの風刺画再掲載への抗議運動についても言及されている。


さすがにイラク研究者だけあって、氏はこの手の情報について把握しているのだろう。


ところが、後半部からは「どっちもどっち」と
あたかも民衆同士の小競り合いであるかのような説明がなされ、その上で、
アラブの春の影響でアメリカ政府の態度が軟化したかのような記述がされている。


それを最もよく表しているのが、
2012年のリビアにおける米国大使殺害事件についてのアメリカのコメントへの評価であり、
酒井氏はライス国務長官が「一部のテロの凶行」とみなし、
イスラムそのものを攻撃しなかったことを取り上げ、
これをもってアメリカに対イスラム政策軟化の余地ありと論じている。



しかし、アメリカが歴史的に「イスラムの脅威」を口実に他国に干渉、
それも非道い場合は空爆を行っているという現在進行形の事実を氏は完全に無視している。


9.11直後に書かれた『私はアメリカのイスラム教徒』(明石書店、2002年)
は言うまでもなく、最近ではメディア研究・中東研究を専門とする
ラトガース大学(アメリカ)準教授ディーパ・クマル女史が著した
『イスラモフォビアと帝国の政策』(ヘイマーケット書店、2012年)を読めば、

アメリカの内政・外交政策が反イスラムに則って行われていること、
それは今後も変わらないことは明白だ。



歴史的にも、アメリカは自国の軍だけでなく、
現地の軍事的非軍事的反政府組織を支援することで傀儡政権の樹立をはかってきた。


実際、アメリカは2012年以降もシリアに対する敵対姿勢を変えず、
反政府軍を養成、支援している。その結果として今日のイスラム国の台頭がある。


加えて言えば、最近、イラク国会安全保障・防衛委員会の委員長が、
アメリカとその同盟国が、その航空機でISISに武器や食料を供給し、
ISISの複数の支配地域に支援物資を投下していることを示す確かな文書を手にしている

と語りだした。


にわかには信じられないが、少なくともアメリカの姿勢が軟化したというのは大間違いだ。

たかだか1人のコメントを根拠にアメリカの政策そのものが変わる余地が
あるかのように語るのは、楽観的すぎるのではないかと思われるのである。




(なお、イギリスの外交雑誌フォーリンポリシーも、昨年10月、
 ISISの兵器の多くはアメリカから来たものだと結論付けている。
 つまり、アメリカはテロ撲滅作戦と言いながら、
 実際にはテロはテロでも反ISIS派のテロ組織への空爆を行っている疑惑がここから生まれる)


さらに、酒井氏が『世界』に投稿した同評論においては
サウジアラビアのテロ支援についても「~という疑惑がある」の一言で済まされ、
アラブ側にもアメリカと同じスタンスに立ち、国内でいわゆる「独裁」を敷きながら、
シリアをはじめとする敵国にテロを送り込んでいる国があることを無視している。



アメリカとサウジアラビアのテロ支援体制について
あたかも存在しないように書くことで、酒井氏は問題を
イスラム対非イスラム、西洋対中東という単純構図で捉えてしまっている


酒井氏はイスラーム圏にも民主化の動きありと主張するために、
偶像崇拝のタブーを破る映画作品が近年作られたことを取り上げる。


だが、それでは国内で王権批判を禁じる法律を制定した
サウジアラビアの実像をつかむことはできないだろう。


要するに、この論文は国務長官が大使館殺害を口実に
イスラモフォビア発言を行わなかった、聖人たちが映画にも登場したという
特にどうということもないエピソードを併記して、
「どっちも悪い」「でも、どっちも歩み寄る可能性はある」という
毒にも薬にもならない結論を掲げて筆をおいているのである。



これは結果的に、他方では欧州、米国の人種差別社会、反イスラムに基づく軍事干渉を、
もう他方ではサウジやヨルダンの独裁王朝、テロ支援を隠匿してしまっている。




そのため、婉曲的には両国の政策の実態を見えづらくし、
間接的に支援するものとなっている。これが問題なのである。


酒井氏の論文を読むと、まるで対岸の家事をぼぉっと眺めているような印象を受ける。
いま、私たちに必要なのは、イスラモフォビアの被害者の側から意見を発することだろう。



・追記

酒井氏のような「どっちもどっち」と遠巻きに見ることで、
現実に起きている迫害行為を傍観するようなスタイルを岩波が採用したこと。


このことこそ、非常に重大な事実だ。
つまり、左翼はすでに左翼として機能していない。

一見、反権力的な言説に見えて、実は与えられた言説を唱えているにすぎないのだ。


フランクフルト学派の哲学者、テオドール・アドルノは次にように述べている。

発表されるものには、何であれ徹底的に検印が押されていて、
 結局のところ、あらかじめ決められた隠語の徴しを帯びていないもの、
 一見してOKが出るようなもの以外には、何一つ生まれることができない。

 しょせん花形役者とは、初代であれ、二代目以下であれ、
 決められた隠語をペラペラ、うきうきとしゃべることのできる者なのである。

 まるで決められた隠語(ジャルゴン)こそ真の言語であるかのように。

 だが、真の言語は、とうの昔に
 ジャルゴンによって口を封じられてしまったものなのである。



『世界』をはじめとする有名左派メディアの状況をみると、
まさにこのアドルノの指摘通りにあるのではないかと思われてならない。


2015年7月30日追記


別の媒体で酒井氏はサウジのテロ支援を認めているらしいのだが、
調べてみたところ、シャルリエブド事件以前に発せられた言葉であり、
素直に考えれば、世界に投稿する段階では認識が改まったということになる。


あるいは『世界』編集部から何かしら注文が来たのだろうか?
その辺の事情は知らないが、いずれにせよ、『世界』の評論においては
サウジのテロ支援は「そういう疑惑もある」という評価で済まされている。

酒井教授批判その1

2015-02-15 01:16:18 | リビア・ウクライナ・南米・中東
今月の『世界』(岩波の月刊誌)にイラク研究者の酒井教授の評論が投稿されていた。


前から、同女史の著作は問題があると考えていたが、
それは同評論を読み、疑念から確信へと変わった。


そこで、今回は同氏の批判を行う前に、予備知識として
イランラジオの次の記事を紹介したいと思う。


その後、酒井氏の言説の何が問題なのかということについて指摘したい。


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※適宜、番号をふった

(1)

ヨーロッパでは、イスラム排斥の新たな時代が始まっています。


パリで起きたイスラム教徒を名乗る武装集団のテロ行為は、
イスラム教とイスラム教徒によるものとされました。


彼らは、つい先日までフランスやEUの政策のために、
シリアやイラクで戦争を行っていたテロリストです。


また、パリの事件も2001年のアメリカ同時多発テロのように、
パリ西側の自由の基盤に対する攻撃とみなされています。


このような解釈により、西側では
イスラム恐怖症やイスラム排斥が拡大し、新たな側面を見せるようになりました。




パリのテロ事件は、西側におけるイスラム排斥者が多くの政府関係者とともに、
イスラムやイスラム教徒に対して大規模な攻撃を行う原因となりました。



テロの被害にあった週刊紙シャルリエブドは世界の人々の同情に乗じて、
預言者ムハンマドに対する新たな侮辱を始めました。


この新聞社は、預言者ムハンマドに対する
侮辱的な風刺画を数ヶ国語で掲載し、数百万部を発行しました。


一方、このテロ事件以前には、この週刊紙の発行部数は6万部にも達していませんでした。
しかし、この週刊紙は、事件後、反イスラムの雰囲気を利用して、発行部数を増やし、
ヨーロッパでイスラム排斥のムードを盛り上げる機会を最大限に活用しています。



(2)

フランスや西側の政府関係者の多くは、シャルリエブドの行動を支持しました。

一方、数年前シャルリエブドが預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を掲載した際は、
西側の政府関係者の一部がこの侮辱行為に対して慎重に反応を示し、
またほか一部は公然とこの行為を批判し、それを表現の自由ではなく、
むしろ表現の自由に反しているとしました。


しかし、今回は西側政府は明らかに表現の自由の名のもとに、
イスラムの神聖に対する冒涜を支持しています。



イギリスのキャメロン首相は、
アメリカのCBSチャンネルのインタビューで、次のように語りました。


「私は、自由社会では、ほかの宗教の信徒に対して、侮辱的に対応する権利があると考えている」



フランスのオランド大統領も、シャルリエブドの侮辱行為に抗議する
各国のイスラム教徒のデモに反応し、次のように語りました。


「彼らは、フランスが表現の自由を遵守していることを理解していない」



西側の政府が人権、自由、民主主義といった
多くの概念を異なった形で解釈しているように、西側における表現の自由も、
法律関係の書物や西側の政治思想にあるのとは違った意味で解釈されています。



表現の自由の支持にまつわる西側諸国の政府の主張には、
矛盾が非常に多く見られ、シャルリ・エブドによる
今回の侮辱行為を擁護する彼らの主張は、皮肉に近いものです。



(3)

シャルリ・エブドの経歴はまさに、
表現の自由を擁護する上でのフランス政府の主張の矛盾を示すものです。



シャルリ・エブドは、1960年から1961年に発行された
『アラキリ』に代わる週刊紙として発行されました。


この週刊紙は国民の価値観を貶めたことから、
フランス政府によって発禁処分とされた後、
1966年に再び発行され、1970年にシャルル・ドゴール将軍の死後、
彼を侮辱したことで、フランス内務省から発行停止処分とされました。


しかし、1980年代、昔からいた社員が
ドゴール将軍に対する皮肉を暗に示した「シャルリ・エブド」という名前で再開しました。



しかし発行部数が大変少なく、その内容の質が低いため
人々の批判を受けていたことから、半ば発行休止状態となっていましたが、
シャルリエブドで働いていた人々に新たなグループが加わり、
1992年にシャルリエブドが発刊となりました。


興味深いのは、現在のシャルリエブドの社員でさえも、
言論の自由や宗教の侮辱の自由という主張を信じていないことです。


シャルリエブドは2009年、
当時のサルコジ大統領の息子の風刺画を描いたとして、シネ氏を解雇しました。


彼は最近のテロ攻撃の後、シャルリエブドについて次のように語っています。




「私はシャルリエブドではない。
 私は、以前は風刺画家としてシャルリエブドのために仕事をしていた。
 2009年、金のためにユダヤ教に改宗した
 サルコジ大統領の息子の風刺画を書き、解雇された。
 シャルリエブドは私に謝罪を求めたが、私は受け入れなかった。
 シャルリエブドはユダヤ教を侮辱したとして、私を解雇した」


(4)

ヨーロッパのシオニストロビーは、フランスで最大の影響力を持っています。

このため、フランスではシオニストに対する批判は全てユダヤ排斥と解釈され、
司法機関がすぐに批判者を訴追するほどです。


フランスの多くの思想家は、ただホロコーストや、
パレスチナ被占領地で行っている犯罪を隠すために行われている、
この事件に関するシオニズム神話に関して疑問を呈するだけで、
訴追されることになるのです。



こうした哲学者でもっとも重要な人物には、
ホロコーストを否認したロジェ・ガロディを挙げることができます。



学校などの公的な場所における、イスラム教徒の女性のベール着用禁止も、
フランスにおける法的自由の侵害の一つです。


フランスでは、イスラム教徒の女性は
宗教信仰に基づいて自分の衣服を選ぶことができないのです。

一方、シャルリエブドの侮辱は、表現の自由に基づいて正当化されています。



(5)

もっとも、パリのテロ事件以前にも、
ヨーロッパで発生している事件は、イスラム排斥の激化の方向に進んでおり、
これはヨーロッパでのこの陰謀における、新たな側面を物語っています。


パリのテロ事件は、この方向性で評価することができます。



たとえば、昨年10月からは、
ドイツで「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」、
通称ペギーダという組織が立ち上げられました。


ペギーダはドイツ東部のザクセン州の州都ドレスデンで設立され、
そのメンバーは毎週月曜、イスラムとイスラム教徒に反対するデモを行っています。



ドレスデンは、2009年に起きた悲惨な事件を思い起こさせる場所です。


この事件は、ドイツ在住のエジプト人医師シェルビニ氏が2009年7月1日、
裁判所に対して、近所に住むアレックス・W容疑者の人種差別的な侮辱行為を告訴し、
法廷が開かれた際、W容疑者はシェルビニ氏を刃物で18回も刺して、殺害しました。



このとき、シェルビニ氏は妊娠3ヶ月でした。

彼女の夫はシェルビニ氏を助けようとしましたが、
興味深いことに、警察は彼女の夫を守るのではなく、彼に対して発砲しました。


ペギーダは500人のメンバーとともにイスラム排斥行為を開始し、
ここ最近行われた抗議デモで、その数は1万8千人に達しています。


ドイツ政府の関係者はペギーダの抗議運動の継続に懸念を示し、
イスラム排斥に反対するデモに参加することを表明しています。



この運動の活動は、ドイツだけではありません。ペギーダの支持者はデンマークで、
「コペンハーゲンで最初の抗議デモを行う」と表明しています。


(6)

過去においては、イスラムを排斥する人々は
イスラム教を冒涜する出版物や映画、イスラム教施設の攻撃により、
自分の存在を示そうとしていましたが、現在、彼らは街頭に出て、
人種差別やイスラム排斥を行う理由を明らかな形で提示しています。


しかし、ヨーロッパではそうした事件はあまり見られませんでした。


西側の政府関係者が、シャルリエブドによるイスラムの神聖の冒涜を支持したことで、
西側のイスラム排斥主義者はさらに大胆になり、
さらに組織化された形でイスラム排斥という目的を追求するようになっています。



ISISやアルカイダのようなテロ組織の行為や、イスラムを名目とした彼らの行為は
実際のところ、ペギーダのようなイスラム排斥組織を強化しています。



西側政府は、表面的にはイスラム排斥行為に反対していますが、
実際にはこの排斥行為を合法化するとともに、
西側の政策はイスラム排斥団体を強化するものです。




もし、イスラム排斥者がこのような形で排斥行為を続けようとした場合、
これはヨーロッパのイスラム教徒の生活を厳しいものにするだけでなく、
ヨーロッパにおけるイスラム教徒人口の多さや、
西側のイスラム諸国との関係に注目すると、
ヨーロッパ諸国の安全や利益にも損害を及ぼすことになるのです。

http://japanese.irib.ir/programs/
%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%83%85
%E5%8B%A2/item/51611-%E8%A5%BF%E5%81%
B4%E3%81%AE%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%A
A%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%8E%92%E6%96%A5


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(その2へ続く)

抗議者を弾圧する日本警察・海上保安庁

2015-02-15 00:47:47 | 軍拡
安倍政権の叫ぶ積極的平和主義とやらの正体を確かめるには、
沖縄の基地反対運動に対する警察や政府の言動をみるといい。

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沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設で、
警察や海上保安庁の暴力的な警備行動によって
新基地建設に抗議する市民らにけが人が出ている問題について、
在沖縄海兵隊の報道部次長が「ばかばかしい」と発言していたことが分かり、
怒りが広がっています。


沖縄の日本復帰前と同じような占領者意識丸出しです。


耐え難い米軍基地の重圧の強化に必死で反対する人々をどこまで見下し、侮蔑するのか。
決して見過ごせない許し難い暴言です。



「現実直視しない妄言」


英字紙ジャパン・タイムス9日付(電子版)によると、
問題の報道部次長は、新基地建設に抗議する人々を、
反則を受けたように芝居するプロのサッカー選手に例え、
「けがをさせられたように見せかけようとしているが、
実際に見るとばかばかしい(laughable)」と述べたといいます。

さらに、「彼ら自身の選択で道路に横たわり、
動く車両につかまって引きずられておいて、平和的な抗議で
けがをさせられたと主張している」とも述べました。


あぜんとする発言です。

現地をつぶさに取材する地元紙は
「抗議活動が続く辺野古の現場では、海保や警察の過剰な警備行動により、
高齢者や女性を含む市民らに多くのけが人が出ていることは紛れもない事実」
(琉球新報12日付)と指摘します。

「発言は、米軍に都合の悪い現実を直視しようとしない、暴言かつ妄言」(同)です。



ジャパン・タイムスの記事によると、
報道部次長はのちに「(発言は)辺野古のことではない」
と釈明したといいますが、弁明の余地はなく、
撤回すべきです。



日本政府は今、辺野古沖の海で、立ち入り禁止を示すフロート(浮具)などを
固定するため、巨大なコンクリートブロックを次々に海中に投下しています。


そのために貴重なサンゴが無残に傷つけられている深刻な実態が、
新基地建設に反対する「ヘリ基地反対協議会」の潜水調査で明らかになっています。

多様性あふれる辺野古の海の生態系の破壊を一刻も早く食い止めたいというのが、
現地で監視・抗議活動に取り組む人々の切実な思いです。



安倍晋三首相は国会での施政方針演説(12日)で、
辺野古の新基地建設に関し

「日米両国の強固な信頼関係の下に、
 裏付けのない言葉ではなく実際の行動で、
 沖縄の基地負担の軽減に取り組んでいく」と述べました。



ところが、首相が取っている「実際の行動」はどうか。

昨年の沖縄県知事選や総選挙で示された「新基地ノー」の県民の声に一切耳を貸さず、
1本から2本に増える滑走路、巨大な強襲揚陸艦も接岸できる岸壁、
広大な弾薬搭載エリアなどを持った海兵隊の一大出撃拠点づくりを進めています。

基地負担をさらに増大させる民意無視の暴走です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-14/2015021401_05_1.html

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米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、
12日に海上保安庁などに過剰な警備について抗議する
名護市議会の議員ら6人が11日午前、船上から作業現場を事前視察した。


議員たちが「暴力的で過剰な警備は許さない」と呼び掛けながら、
臨時制限区域を示す油防止膜(オイルフェンス)内を航行していたところ、
海上保安官が船を一時拘束した。

議員たちは取材陣と同じ船に乗っていた。
船が拘束される際、海上保安官が男性船長(29)
のライフジャケットの胸ぐらをつかみ、緊迫した。

船には定員の13人が乗っていたが
3、4人の海上保安官が乗り込み、一時定員オーバーとなった。

海保のゴムボートで船をオイルフェンス外にえい航した。

同議会軍事基地等対策特別委員会の大城敬人(よしたみ)委員長は
「暴力的な警備をしていることが分かった。明日の要請の場で抗議したい」と話した。

午後にはオイルフェンス内でカヌーに乗って抗議していた市民3人が一時拘束された。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238781-storytopic-3.html
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米軍基地建設のための作業が強行されている沖縄県名護市辺野古で、
海上保安庁などの抗議する県民らに対する暴力まがいの行為がやまない。


警備の名の下で、人々に危害を加えるのは許されない。



米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設のため、
防衛省沖縄防衛局が海底調査再開に向けた作業を再開した辺野古沖では連日、
カヌーの抗議団が繰り出し、作業を監視している。

海保はその行動を制するように、カヌーを転覆させたり、
潮の流れの速い外洋に引っ張っていって放り出したりした。


命綱のパドルを取り上げて海に放り投げた、とカヌー隊は訴える。


抗議団の訴えに海保は「やっていない」と否定した。
しかし、女性カメラマンの抗議船に乗り込み、
女性に馬乗りになった写真が先月二十三日、
地元の琉球新報に掲載されて
安全確保のための適切な警備」と説明を変えた。



基地予定地に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前でも、
作業車両を止めようとする県民らが警官らともみ合いになり、けが人が続出。

翁長雄志(おながたけし)県知事が県警と海保に対し、
抗議する県民の安全に配慮してと申し入れた。


翁長氏は、二〇一三年十二月の仲井真弘多前知事による埋め立て「承認」に
法的瑕疵(かし)がなかったかどうかを検証する有識者の
「第三者委員会」を今月発足させた。結果公表は七月以降になる見通しだ。


翁長氏は瑕疵の有無にかかわらず、辺野古に新基地は造らせないと明言する。

しかし、検証が遅れる分だけ、
基地建設に向けた既成事実が積み上げられてしまいかねない。それが県民の心配だ。
今もブイなどを固定するコンクリートが湾内のサンゴ礁を傷つけている。検証を急いでほしい。


辺野古沖に新たな基地を建設する「県内移設」。
それを拒む沖縄県民の意思は選挙結果でも示されて強固になった。

安倍内閣は県民の思いに配慮し、せめて、第三者委が検証を終えるまでは作業を中止すべきだ。


米軍キャンプ・シュワブのゲート前には今、県外からも
大勢が駆けつけ抗議の声を上げている。カンパも寄せられている。

辺野古での闘いはこうした県外の支援にも支えられている。


県内の基地機能を集約し、
耐用年数二百年ともいわれる
新たな施設が造られれば、
沖縄は半永久的に基地の島となってしまう


沖縄の基地の問題を沖縄の人々だけに任せず、日本全体の問題として考えていくべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015021202000173.html
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このように米軍の言うがままに先兵となって、
現地の抗議団体を取り締まっているのが日本の行政機関だ。




私が新米から反米に転じたのは、沖縄基地問題に対するアメリカの冷酷な態度だった。
(同時に、これを契機に私はオバマに対して疑いの目を向けるようになった)



アメリカの軍事・外交部門と日本の行政機関が協力して沖縄を治めている。


沖縄の基地問題は単に軍事的な問題ではない。それは真の民主化の問題なのだ。

アメリカの押しつける民主化(アメリカ化)ではなく、
本来の現地の人間が主権を所持する真の民主化。

その権利をめぐる戦いが沖縄基地運動なのだと私は思う。