その1、その2の続き。
2回に分けて欧米のイスラモフィビアを非難するイラン元首の言葉を載せた。
ここからは、軽い感想だ。
ハー・メネイー師は、メディアやネット、街角での扇動に流されず、
まずコーランを読んでほしいと呼びかけている。
これは一見、どうということのないメッセージだが、
欧米、および日本や韓国などの属国の言論状況を見れば、かなり重いものだ。
というのは、少なくとも日本で言えば、
中東研究者が歪んだ中東・イスラム認識を促している事実が存在するからだ。
保守派の研究者で言えば、池内恵氏や宮田律氏がその典型だが、
左派にも酒井啓子氏や内藤正典氏のような無自覚の支援者がいる。
両者はともに「国を憎んで人を恨まず」というスタンスを持つ。
後者に関して言えば、アラブの春やシリアの内戦において、
反政府グループの動きを「民主化の表れ」として絶賛していた連中である。
アラブの春は、実際には、現地の反体制派を欧米諸国が訓練・経済支援し、
政権あるいは国家を転覆させるといったいつもの欧米による間接侵略作戦に過ぎなかった。
実際、アメリカやイギリスの支援を受けて樹立した新政権は、
あっという間に腐敗し、別の過激派の台頭、内戦の激化がどの地域にも見られる。
特にアルカイダが主導し、NATOの空爆によって、
文字通り壊滅したリビアでは、現在、混戦状態にある。
正直、シリアより状態は芳しくない印象を受ける。
日本の中東研究者に多く見られることだが、
「良いムスリムもいる」と言う一方で、
中東諸国へ対する誹謗中傷には同調する傾向がある。
ヨーロッパでのイスラモフォビアには断固反対の姿勢をとりつつも、
シリア内戦において、反政府軍を支持していた内藤正典氏はその典型だ。
「 私は、軍事介入による紛争解決には反対です。
軍事介入をすれば、アサド政権側は、
市民の中に戦闘員を紛れ込ませますから、
市民の犠牲も増えます。
しかし、ことここに至っては、
強力な軍事介入によってアサド政権側の軍事拠点を
無力化する以外に方策はありません。」
上の言葉はテレビで彼が述べた言葉だが、未だに強烈である。
イスラム国が日本でも有名になるのは、この1年後の話だが、
要するに、内藤氏はイスラム国を理屈の上では支持していたことになる。
彼のような研究者は、いくらでもいて、
ムスリムは善人だが、今のA国は独裁国家だというスタンスを取り、
結果的に欧米の空爆や工作に対してゴーサインを送っている。
(リビア空爆に対して強烈な非難をした人間がいない。
少なくともテレビや雑誌に出た研究者の中では)
かつての東欧やソ連に対する専門家の姿勢を思い出す。
「冷戦終結をもって、資本主義の勝利と早合点すべきではない。
だが、東欧やソ連は独裁国家で~(うんぬんかんぬん)」
このような欧米諸国の内政干渉を正当化させ、
国内の市民団体を弱体化させるような言説を
いわゆる左翼は盛んに広め、結果的に自分で自分の首を絞め、今に至る。
東欧崩壊、冷戦終結直後は、すさまじいスピードで
現地の資本が収奪され、国内で格差が拡大する時期だった。
一言でいえば、プチ植民地として欧米に搾取され、
その結果、政治的経済的混乱が起き、ユーゴスラビアにおいては
内戦が勃発、これまたNATOの介入によりジェノサイドが起きたのである。
本来なら、これらについて徹底的に非難し、
自身らと違う政治体系を持つ国家を民主化を口実に破壊する動きに抵抗するはず。
ところが、彼らがこの間にやったことは、
いかに東欧やソ連の共産主義国家がろくでもない国だったかを
しつっこく主張することだった。今では東欧やソ連の崩壊は
西側の工作、少なくとも支援に大きくよるものだったことが判明しているが、
彼らは故意か無自覚化は知らないが、これらの収奪行為を美化してしまったのである。
スターリン主義や全体主義、独裁といった言葉をもって。
さて、中東に対する学者の見解をざっと見ると、
まさにこのパターンに入っており、ムスリムは悪くないが、
イラク(あるいはリビア、エジプト、シリア)はとんでもない反人権の
独裁国家であり、そこでの反対運動は民主化運動の萌芽なのだと主張している。
これが大きな間違いなのはアラブの春の結果を見れば一目瞭然だし、
シリアでイスラム国が台頭したのをもってしても実証できるが、
あいも変わらず、独裁だの弾圧といった言葉をもって、
特定の国を悪魔化し、その崩壊を民主化の一歩とみなしている。
こういう状況で、まず自分で調べることが何よりも求められるだろう。
ポイントは、日本の視点で語られていない言説を読むこと。これに限る。
例えば、サウジアラビアがとてつもない「独裁」国家であることは、
向こうのニュースを読めば、簡単にわかることだが、
なぜか学者は、この件について取り上げようとしない。
これは日本の国益に反する言葉を言わないからである。
石油の輸入先第1位がサウジアラビアだからである。
学者というと、世間から外れた仙人のような暮らしをしているように
思われるかもしれないが、権威のある人ほど、案外、俗っぽい。
悪い意味で空気が読める。
そうだからこそ、まずは1次の資料、言うなれば、
アメリカと敵対する国からのニュースに目を通し、
相対的に事件を眺めていくことが必要なのだ。私はそう思う。
2回に分けて欧米のイスラモフィビアを非難するイラン元首の言葉を載せた。
ここからは、軽い感想だ。
ハー・メネイー師は、メディアやネット、街角での扇動に流されず、
まずコーランを読んでほしいと呼びかけている。
これは一見、どうということのないメッセージだが、
欧米、および日本や韓国などの属国の言論状況を見れば、かなり重いものだ。
というのは、少なくとも日本で言えば、
中東研究者が歪んだ中東・イスラム認識を促している事実が存在するからだ。
保守派の研究者で言えば、池内恵氏や宮田律氏がその典型だが、
左派にも酒井啓子氏や内藤正典氏のような無自覚の支援者がいる。
両者はともに「国を憎んで人を恨まず」というスタンスを持つ。
後者に関して言えば、アラブの春やシリアの内戦において、
反政府グループの動きを「民主化の表れ」として絶賛していた連中である。
アラブの春は、実際には、現地の反体制派を欧米諸国が訓練・経済支援し、
政権あるいは国家を転覆させるといったいつもの欧米による間接侵略作戦に過ぎなかった。
実際、アメリカやイギリスの支援を受けて樹立した新政権は、
あっという間に腐敗し、別の過激派の台頭、内戦の激化がどの地域にも見られる。
特にアルカイダが主導し、NATOの空爆によって、
文字通り壊滅したリビアでは、現在、混戦状態にある。
正直、シリアより状態は芳しくない印象を受ける。
日本の中東研究者に多く見られることだが、
「良いムスリムもいる」と言う一方で、
中東諸国へ対する誹謗中傷には同調する傾向がある。
ヨーロッパでのイスラモフォビアには断固反対の姿勢をとりつつも、
シリア内戦において、反政府軍を支持していた内藤正典氏はその典型だ。
「 私は、軍事介入による紛争解決には反対です。
軍事介入をすれば、アサド政権側は、
市民の中に戦闘員を紛れ込ませますから、
市民の犠牲も増えます。
しかし、ことここに至っては、
強力な軍事介入によってアサド政権側の軍事拠点を
無力化する以外に方策はありません。」
上の言葉はテレビで彼が述べた言葉だが、未だに強烈である。
イスラム国が日本でも有名になるのは、この1年後の話だが、
要するに、内藤氏はイスラム国を理屈の上では支持していたことになる。
彼のような研究者は、いくらでもいて、
ムスリムは善人だが、今のA国は独裁国家だというスタンスを取り、
結果的に欧米の空爆や工作に対してゴーサインを送っている。
(リビア空爆に対して強烈な非難をした人間がいない。
少なくともテレビや雑誌に出た研究者の中では)
かつての東欧やソ連に対する専門家の姿勢を思い出す。
「冷戦終結をもって、資本主義の勝利と早合点すべきではない。
だが、東欧やソ連は独裁国家で~(うんぬんかんぬん)」
このような欧米諸国の内政干渉を正当化させ、
国内の市民団体を弱体化させるような言説を
いわゆる左翼は盛んに広め、結果的に自分で自分の首を絞め、今に至る。
東欧崩壊、冷戦終結直後は、すさまじいスピードで
現地の資本が収奪され、国内で格差が拡大する時期だった。
一言でいえば、プチ植民地として欧米に搾取され、
その結果、政治的経済的混乱が起き、ユーゴスラビアにおいては
内戦が勃発、これまたNATOの介入によりジェノサイドが起きたのである。
本来なら、これらについて徹底的に非難し、
自身らと違う政治体系を持つ国家を民主化を口実に破壊する動きに抵抗するはず。
ところが、彼らがこの間にやったことは、
いかに東欧やソ連の共産主義国家がろくでもない国だったかを
しつっこく主張することだった。今では東欧やソ連の崩壊は
西側の工作、少なくとも支援に大きくよるものだったことが判明しているが、
彼らは故意か無自覚化は知らないが、これらの収奪行為を美化してしまったのである。
スターリン主義や全体主義、独裁といった言葉をもって。
さて、中東に対する学者の見解をざっと見ると、
まさにこのパターンに入っており、ムスリムは悪くないが、
イラク(あるいはリビア、エジプト、シリア)はとんでもない反人権の
独裁国家であり、そこでの反対運動は民主化運動の萌芽なのだと主張している。
これが大きな間違いなのはアラブの春の結果を見れば一目瞭然だし、
シリアでイスラム国が台頭したのをもってしても実証できるが、
あいも変わらず、独裁だの弾圧といった言葉をもって、
特定の国を悪魔化し、その崩壊を民主化の一歩とみなしている。
こういう状況で、まず自分で調べることが何よりも求められるだろう。
ポイントは、日本の視点で語られていない言説を読むこと。これに限る。
例えば、サウジアラビアがとてつもない「独裁」国家であることは、
向こうのニュースを読めば、簡単にわかることだが、
なぜか学者は、この件について取り上げようとしない。
これは日本の国益に反する言葉を言わないからである。
石油の輸入先第1位がサウジアラビアだからである。
学者というと、世間から外れた仙人のような暮らしをしているように
思われるかもしれないが、権威のある人ほど、案外、俗っぽい。
悪い意味で空気が読める。
そうだからこそ、まずは1次の資料、言うなれば、
アメリカと敵対する国からのニュースに目を通し、
相対的に事件を眺めていくことが必要なのだ。私はそう思う。