時事解説「ディストピア」

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イスラム国とISIS

2015-02-10 00:14:48 | リビア・ウクライナ・南米・中東
すでに「イスラム国」という呼称は、
イスラム諸国からイスラム教やムスリムの印象を悪くするため、
ISISという言葉を使用すべきだという批判がされていた。


日本では「イスラム国」と便宜的に言われているのだが、
この呼称をめぐって、ネット上では議論が起きているらしい。


本当にイスラム国をISILと呼ぶ必要があるのか!? 呼称問題を考える


リテラは、イスラム国=ムスリムというイメージを
防ぐ努力をしなければならないと断った上で、
単純に言葉を置き換えたら済む問題なのだろうか」と疑問を投げかけている。


別記事には、次のような意見を示している。


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そもそも、イスラム国登場前から、ムスリムは攻撃され、迫害されていた。

とくに9.11後のアメリカでは、
イスラム教徒に対する偏見はたびたび問題になってきた。


先日の、シャルリ襲撃事件後のフランスでも、
ムスリムたちは自分たちへの偏見が助長されることを恐れていた。


欧米だけではない。

日本でも、
イスラム諸国にまつわる事件が起きるたびに、
イスラム教徒が偏見の目にさらされてきた。



公安が国内のイスラム教徒の個人情報を流出させた事件は、2010年のことだ。

イスラム国が成立する何年もまえに、イスラム教徒というだけで、
テロリスト予備軍と見るような捜査方法が日本でもすでにまかりとおっていたのだ。



イスラム国がイスラム教を代表しているわけではない、のは当たり前だ。

しかし、問題の本質は
イスラム国と関係ないのにイスラム教徒が攻撃されることではない。


イスラム教であるという属性のみを理由に、
イスラム教徒が攻撃されることがおかしいのだ。



あるイスラム教徒が犯罪を犯したからといって、ほかのイスラム教徒を攻撃する。
あるイラン人が犯罪を犯した、ある韓国人、ある日本人が犯罪を犯したとして、
すべてのイラン人すべての韓国人、すべての日本人を、攻撃する。

それらはただの差別だ。


「一部の悪い人のせいで、関係ない人が差別される」とよくいうが、
 その差別は「一部の悪い人のせい」ではない。

一部の行為をその属性だからといってほかの人間に当てはめること自体が差別だ。

「一部の悪い人がいるから」「イスラム国という呼称があるから」と
あたかも差別に理由があるかのような言説にくみしない。


もともと自分たちがもっているイスラムに対する差別意識を、
「イスラム国」という呼称のせいだと転化し、隠蔽すべきでない。


http://lite-ra.com/2015/02/post-850.html
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実は、全体的には、結構おかしな記事だったりする。


例えば、「正式な国ではないのに国扱いして良いのか」という批判に対して

ひどいことをしているから「国」でないというわけではない。
「国」と認められているところだって、
とてつもなくひどいことをしているケースはいくらでもある。
イスラム国と同じように民衆を虐げているシリアのアサド政権だって、
北朝鮮だって「国」だ。


と答えている。

これなど、「なぜテロリストを支援するアメリカやサウジアラビアではなく、
連日、欧米&属国メディアによって悪役に仕立て上げられている
シリアや北朝鮮のように侵略を受ける寸前の弱国をテロと同一視するのか」

「そうやってシリアや北朝鮮をテロ国家扱いすることが、
 結果的にNATOの空爆を支持することになると気付かないのか」

「加えて、ISISが反シリア政府軍としてアメリカ、サウジが
 経済的軍事的支援をしていたことをしってなお、シリアを悪魔化するか」

といった感想が浮かんできてしまう。

とてつもない非道いことをしているのはNATOやEUだ。

イラクやリビア、そしてウクライナの惨状を知らないのか。
その辺を指摘できないあたりが、この雑誌の限界だと思えてならない。

とはいえ、問題の本質は、自分たちの中にある差別意識を、
事件を利用して正当化する行為にあるという指摘は、全くもってそのとおりだと思う。