‘Tis Nature's Voice~それは自然の声~Ⅱ

みらくる・あっこの気ままブログ

コロナ禍でアンサンブル・シュシュ第50回コンサートでした⑪

2021-03-27 01:25:38 | My Consert
今日はオリンピックの聖火ランナーが、福島を出発しました。10年前の東日本大震災で落ち込んでいる時に、2011年のFIFA女子ワールドカップドイツ大会で優勝し、日本を随分勇気づけてくれた「なでしこジャパン」のメンバーによってスタートしました。オピンピックは間違いなく行うということですね。


さてアンサンブル・シュシュ第50回コンサートのラスト・プログラムは、テレマンの「新パリ・カルテット第6番」でした。知る人ぞ知る名曲です。私もこの曲が好きで好きで、よい演奏はないかとCDを探しまくった過去が。
というのは今では「パリカル」と言えば、新パリカルの全6曲になるのですが、少し前まではパリカルは2ヴァージョンあったのです。
テレマンのカルテットというだけで、私の中でこの曲だけが独り歩きしていた、というのは「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」のフランス・バロックのDVDの中の最後に何故か、このテレマンのパリカル第6番の最終楽章が、フランスの何処かの公園でゲリラ・ライブのような形で行われ、それがめちゃくちゃカッコよく、しかも何て哀愁漂う素敵な曲!という印象なのです。古楽ファンには同じようなことを言う人が少なくありません。そのイル・ジャルディーノのCDは出ていないのです。


曲はパリ・カルテットということは解ったのですが、まずただの「パリカル」だけでCDを取り寄せると、この曲は入っていませんでした。でもそれもなかなかいい感じなのです。やはり全6曲あり、フラウト・トラヴェルソとヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバまたはチェロの旋律楽器と通奏低音による編成です。テレマンはドイツ人で、ドイツで活躍していましたが、トラヴェルソを入れることで、フランス風の香りがするようなカルテットを作ったのだな、と理解しました。
それでも気が済まないので、またよく調べると「新しいパリ・カルテット」というのが出てきました。これに入ってるかもしれないと思い、取り寄せて聴いて聴いて、なんと6番目の曲の最後の最後に出てきたではありませんか😭。とても長い旅路でやっと辿り着いた感がありましたが、パリカルを計12曲全部聴いたことになり、いや~、どれをとっても渋くていい曲ばかり。親しみやすくもあり、楽章ごとでは長くもなく、それぞれの楽器の特色を活かし、楽器の重ね方や対話など、テレマンの職人技に通も唸ったのだろうし、演奏する方も楽しいだろうなーと思われる、よく出来た曲集なのです。

G.Ph.Telemann :Nouveaux Quartet No.6 E minor TWV43:e4


古い方のパリカルは「ハンブルク・カルテット」とも言われ、新とは分けられている、1730年に作曲された今では「Quadori」と言われているそうです。
テレマンは当時バッハよりもずっと世界的に名が知れ渡っていた、売れっ子作曲家でしたので、パリの名演奏家達が「Quadori」を知って、1737年にテレマンをパリに招待したと言われ、そのために書き下ろしたのが「新しいパリ四重奏曲集」でした。玄人の演奏家を唸らせる、技巧的にも難しいのがまた楽しいということで、テレマンの名声はフランスにも行き渡ったようです。
アンサンブル・シュシュは、ある程度の技術を持ったアマチュア集団ですので、今回の50回記念に相応しい曲と言えましょう。
(あとも少し続きます、ゆっくりで長くてすみません)
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コロナ禍でアンサンブル・シュシュ第50回コンサートでした⑩

2021-03-21 07:28:21 | My Consert
東京都、他3県も緊急事態宣言が明けることになりました。
普通に風邪も流行ってるし、檜花粉も飛び出して、何が何だかわからないけど、くしゃみや咳が出るという人も多いのでは…。目がかゆかったら間違いなく花粉症です。目も触りたくなったら、消毒か手洗いをしてからにしましょう。


さてアンサンブル・シュシュには、急に新しく笛のメンバーがふえて(ダジャレみたい)、とても可愛らしく爽やかな笛の三重奏が聴けました。
シックハルトという(またまた初めて聴く作曲家だよ~)、後期バロック時代ドイツ生まれのフルート、オーボエ奏者として北ヨーロッパを転々と働いていた音楽家だそうです。リコーダーも上手かったようで、30冊ほどの曲集をだしているそうです。きっとリコーダーを吹く人にとっては、有名な作曲家なのでしょう。このソナタヘ長調Op22-1を聴いただけで、笛の特性をよく捉えた響きで、なんともハモりが気持ちよさそうな、小鳥さんみたいなイメージがする明るい曲で、出だしから心をつかまれました🐤🐤🐤。


左からチェンバロの岡本さん、リコーダーの大谷さん、配島さん、フルートの立石さんです。

J.C.Schickhardt:Sonata F major Op22-1
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コロナ禍でアンサンブル・シュシュ第50回コンサートでした⑨

2021-03-17 23:32:19 | My Consert
あちらこちらでソメイヨシノの開花宣言が聞かれます。うちの近くでもちらほら咲いてきていますが、異常な早さですね。
東京都と周囲3県も緊急事態宣言が解除されるようです。もうダラダラやっていても仕方ないでしょう。
変異株も主にかかっているのは、若年層だそうで、治りも早いようです。


さてもう一曲、モンテヴェルディの宗教ソロ曲「踊れ喜べ シオンの娘よ」も歌わせていただきました。
こちらは1627年に出版された「カルヴィの宗教作品集第4巻」に入っていて、単独で取り上げられることの多いソロ曲です。


題名のように、喜びに踊るようなペルフェクトゥム(3拍子)で始まり、リトルネッロに続いて2拍子で「見よ、救世主が現れるのを…」が音階やトレモロを駆使して語られます。
また3拍子のリトルネッロ、2拍子の語り、3拍子~4拍子のJubilate、天が喜びの声をあげ、3拍子で地も喜びの声をあげるは、低い声になります。そして2拍子で半音階、ティラータなどで主がエルサレムをあがなわれた、と歌われます。
そしてまた3拍子の最初のテーマが出てきて、最後は4拍子でたたみかけるように、アレルヤが一人エコーの形で歌われます。3拍子と2拍子が交互に現れる、これもまたスリリングな器楽との掛け合いです。


通奏低音はそれぞれの特徴を出しながら、よく練習もしましたので、息の合ったアンサンブルに仕上がりました。
オルガンは4フィートと高い音なので、通底というよりも、カウンター・メロディーを演奏しています。自由に作れる所が、バロック時代の通奏低音の魅力でもあります。

C.モンテヴェルディ「踊れ喜べ シオンの娘よ」 Claudio Monteverdi " Exulta filia Sion "
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コロナ禍でアンサンブル・シュシュ第50回コンサートでした⑧

2021-03-07 16:07:03 | My Consert
なんか時間が無くて、ブログが超遅れてしまっています('◇')ゞ。
大阪は兵庫、京都とともに3月からやっと緊急事態が解除されました。
ワクチンはあまり足りていない様子。非常勤の勤務医や街医者の方には、全く通知もないそうです。


ペストでヨーロッパの人口の3分の1が減ったそうで、とくに貿易港で貨物船の中にいたネズミによって、媒介されたようですね。17世紀ベネツィアでペストが流行ったのは当然で、随分音楽家も亡くなったようですが、クラウディオ・モンテヴェルディはペストにかかったという話は聞きませんし、76歳まで長生きしてベネツィアのサン・マルコ寺院の音楽総監督として大活躍しましたから、後世の私たちにとってもラッキーだったのですね。


40歳代でベネツィアのサン・マルコ寺院に迎えられてから書いた、イタリア語やラテン語による宗教曲を晩年に集大成したものが、「倫理的・宗教的な森」といわれる曲集です。その中から有名なソロと通奏低音によるモテット「主を讃えよ」を演奏しました。

モンテヴェルディ(1567-1643)は、ルネッサンス期からバロック期に時代をまたいで生きたので、作風も初期のものはルネッサンスのポリフォニー様式で書かれており、それを第1作法(prima pratica)といい、バロック期に入り通奏低音と歌もしくは旋律楽器によるモノディー(メロディーがあって、低音と数字が書かれていて和音楽器は和音をつけて弾く)というスタイルが生まれてからは、第2作法(seconda pratica)で作曲するようになってきます。


「主を讃えよ」はまさに第2作法の曲で、しかも宗教曲といってもとても楽しい音楽作りがされています。
通奏低音は和音楽器なら、チェンバロ一台でもリュート属一本でも伴奏が可能で、何の楽器にするかは時の状況により自由です。今回はアンサンブル・シュシュの大所帯ならではの、ヴィオラ・ダ・ガンバ、オルガン、チェンバロ、テオルボによる贅沢な通奏低音で歌わせてただきました。

でもどんな楽器との組み合わせでもいいような、歌の方にも通底の方にも、歌詞に合った多彩な表現が施されています。歌詞は詩編150編より取られていますが「その力の現れる大空」という所では歌のロングトーンに、低音が下降しながら魅力ある動きで幅広さを表現します。たくさんの楽器が登場し、それぞれの楽器の音の表現もバスの動きや、声の様々な動きで表現され、踊りが出てくると、当時大流行したチャッコーナに変わっていきます。小さなシンバルの音を声楽のリバットゥータ・ディ・ゴーラ(喉で同音を細かく刻む)で表現されていたり、声楽のテクニックも聴きどころです。最後に「生きとし生きるもの全ては主を讃えよ」という歌詞でたっぷりと声を伸ばしたり、ティラータ(上行音階の装飾)やカスカータ(下降音階の装飾)、アッチェント(符点音符)やリバットゥータ・ディ・ゴーラ、一人エコーなど、あらゆる声楽のテクニックが出てきて、本当にエキサイティングな歌です。

C.モンテヴェルディ「主を讃えよ」 Claudio Monteverdi " Laudate Dominum " <倫理的宗教的な森・ Selva Morale et Spirituale>

左から、ヴィオラ・ダ・ガンバの上田さん、チェンバロの岡本さん、ソプラノの私笹山晶子、テオルボの久保田さん、奥が手ふいごオルガンの黒田さんです。
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