‘Tis Nature's Voice~それは自然の声~Ⅱ

みらくる・あっこの気ままブログ

シルバー・ウィーク、人が動き出した感①濱田芳通さんのセミナーへ

2020-09-22 21:49:55 | Music
新型コロナの感染のなかなか収まらない中、安倍首相の突然の辞任で、”令和おじさん”こと菅官房長官が首相になるという、シルバーウイーク前に大きな動きがありました。
9月に入ってからも猛暑日が続きましたが、台風の後に急に秋が訪れ雨も続きましたが、四連休は過ごしやすい秋晴れに恵まれ、色んな規制も解除されていき、Go To トラベルなどで観光地へも多くの人の動きがあったようです

19日、久々に豊中の「ノワアコルデ音楽アートサロン」で、コルネット、リコーダー奏者の濱田芳通さんによる、リコーダー・セミナーがあり、私はリコーダーは吹かないのですが、濱田さんの講座を聞いてみたいと思い、聴講を申し込みました。


多くのコンサートが中止になっていましたので、ノワアコルデでも久々に人が集まる講習会だったそうです。


過去に自分のコンサートや公開レッスンなど、しょっちゅう来ていましたが、私も久々に懐かしの場所に来れた感じです。チェンバロは変わっていました。


定員は20名でキャンセル待ちもあったようで、椅子は一個空けて座るように、オーナーの平井悦子さんの絵が貼られていました。


最初は濱田さんのイタリア初期バロックの奏法などの講義から。リコーダーやヴァイオリンの旋律楽器は、歌よりもずっと音数が多いのですが、4つの8分音符を吹くのにも、イタリア的な演奏はイタリア語のイントネーションから来る、イタリア人気質と関係すると、決して4つの音を均等には演奏しない、生き生きとした表現が出来る法則のようなものを教わりました。歌の場合もたくさんのディミニューション、装飾がありますので、大いに参考になります。


リコーダーの人達によるアンサンブル指導は、ダウランド、プレトリウス、シュメルツァーなど、色んな国のものが取り上げられていました。参加者の方たち、これだけいても誰一人知った人がいなくて、リコーダー人口って結構多いんだな~、みんなグループ組んでる仲間なのかな~?と思っていましたが、ほぼ皆さん知らない同士だったそう。個人レッスンも聴けましたが、初期バロックを吹く人や、ファン・エイクなど技巧的な曲を持って来られていました。


お昼ご飯は、どこかお店に入ろうと思い、珈琲の美味しそうな古い喫茶店に入りました。やはりコロナ対策で、アクリル板がテーブルに設置されていて、穴から食事を入れられるのは初めてで、ちょっと可笑しかったです🍛☕。食べ終わった食器は何故か普通に持って行かれました(^-^;。

この日チェンバロを担当していた吉竹百合子さんとは、モンテヴェルディの「Vespro」以来の再開で、凄くチェンバロが上手いと思いました。


マスクで写真はやっぱり変なので、マスクを外して撮り直し。左から吉竹さん、濱田先生、私笹山晶子です。


リコーダーの皆さんで集合写真を撮られるのに、聴講生の私までちゃっかり入ってしまいました。
(今回のお世話進行係りの織田優子さんに送っていただいた写真です)


濱田さんの著書やCDなど。本は完売になりました。


新型コロナ騒動以来、車に乗っていてもテレビばかり気になって観ていましたが、久々に音楽を聴きながら帰ろうと「アントネッロ」のCDを購入。自分を取り返さねば…
腰痛で寝込んでいてから初めてコンサートに来て、癒されたのもここ「ノワアコルデ」でしたが、コロナ渦で鬱々としている時、またノワへ来て、濱田芳通さんの楽しすぎる講座と、情熱溢れる演奏も聴けて、凄く癒されました🐤🍀。


懐かしの「gigi」のケーキ店、お店が狭いため一人ずつしか入れません。




敬老の日の仲間入りをしたがっている、初老の夫に「敬老の日・ロールケーキ」と、猫クッキーを買ってかえりました
行きも帰りも高速道路は混んでいたので、やはりそれだけ人が動いていると察しました。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幻の楽器、アルペジョーネを聴きました🎶。

2018-05-26 00:30:48 | Music
丁度一か月前になりますが、4月25日兵庫県芸術文化センターで、幻の楽器と言われる、アルペジョーネの演奏会がありました。


クリストフ・コワン氏による、アルペジョーネの日本初上陸のコンサートだったようです。

アルペジョーネと言えば、シューベルトが書いた超有名なソナタで知られていますが、アルペジョーネという楽器のために書かれながらも、アルペジョーネが非常に短期間で消滅してしまったために、現代では、いやもっと昔から普通に、チェロヴィオラで弾かれる音楽です。
古楽器、ピリオド楽器(その曲が書かれた時代の楽器)が流行る昨今であっても、アルペジョーネを作ったり、弾いたりする人達が非常に少ないと思われます。というのは、アルペジョーネの曲というのが、ほぼシューベルトの一曲くらいしか、知られていないからです。
プログラムも他の曲はチェロを弾かれていました。

それを生で初めて見て、耳にしたわけですが、大きさは本当にチェロとヴィオラの間くらいで、モダン・チェロのようなエンドピンはありません。床から浮かせて全く足で挟んで弾くスタイルでした。
エンドピンというのは、チェロの下から出ている金属製の細い棒で、モダン・チェロは、それを床に突き刺さして固定します。

余談ではありますが、私も少しチェロをかじったことがあり、エンドピンを固定さすのに、床に穴があいていないか、まず探すという作業をしたり、かまぼこの板の片方の端に釘を打って、もう片方の端に穴を空けてエンドピンを挿し、釘とエンドピンを紐に引っ掛けて、固定して弾くということをしていて、先生にいつもかまぼこの板、かまぼこの板と言われていた記憶があります。舞台に適度な穴がないと、ツルっと滑ってしまったりしました。今はエンドピンを固定する便利なゴム製のものがあり、大理石の床でも滑らない、床に傷をつけないものを見たことがあります。エンドピンの話しが長すぎました(^-^;。

そしてアルペジョーネの形がまずギターにそっくりで、フレットもついていて、まさにチェロとギターを合体させたような楽器だったのです。ですから別名チェロ・ギターと言われたりします。
音色はヴィオラ・ダ・ガンバに似てると思いました。その日の弓の持ち方が、はっきりとした記憶が無いのですが、ひょっとしたらガンバ弓の持ち方だったかもしれません。記憶違いだと申し訳ありません。
チェロで弾くには高すぎる、ヴィオラで弾くには低すぎる音があるそうで、その辺も本物のアルペジョーネで弾くのが、しっくりするのかもしれませんね。


ピアノは勿論フォルテピアノで、パリ在住の日本人、金子陽子氏でした。写真の金子さん自身のフォルテピアノで、鍵盤数は88鍵ではなく、少し少ないようでした。
ベートーヴェンと共にピアノは鍵盤数が増えましたので、ベートーヴェン・ピアノ・ソナタは中期くらいまでしか弾けませんと、おっしゃっていました。
アルペジョーネの音はもちろん繊細な音量で、それに比べてもはるかに小さな音量で、ヴァイオリン・ソナタや、ピアノ三重奏曲でも、ピアノに支配されてる感が無く、弦楽器がよく響いて聴こえました。とても沢山の音がピアノにはあるのですが、決してやかましくなく、ハーモニーの支えや曲想の盛り上げの軸になっているようでした。
鍵盤の上下の幅も小さいそうで、全てがで出来ていて、ハンマーが今のピアノに比べると、はるかに小さいので、知らないピアノ奏者が力を入れて弾くと、楽器が壊れるそうです。


使用楽器の年代と作者
コワンさんは、スイスのバーゼルなどで、ヴィオラ・ダ・ガンバとバロック・チェロを教えていると書いてあり、フレットがついていたことから、ガンバが弾けたら、アルペジョーネも弾けるのですか?という間の抜けた質問をしてしまったのですが、真剣に「ウ~ン、それは非常に難しい。」とおっしゃっていました。よくギターがひけたらガンバもテオルボも弾けると、音楽仲間から聞くからなのですが、アルペジョーネはチェロの方が近いのかな?よく判りませんが、マニアの方達のサイトが詳しいです。

http://edyclassic.com/661/


左から私、笹山晶子、金子陽子さん、クリストフ・コワンさん、ヴァイオリンのジェローム・アコカさんです。


まだ聴いたことがないのが、この沢山の共鳴弦の張られた、ハイドンがこの楽器のために100曲以上作曲してるという、バリトンという楽器です!
今はこのくらいの低音楽器と言えばチェロですが、様々な種類の楽器が出ては消え、出ては消えしていたのですね。

バッハの無伴奏チェロ組曲が、ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ(肩チェロ)と言われる、ヴィオラをさらに大きくしたような楽器で、ヴァイオリンのように弾くチェロで、簡単に弾けてしまうといいますから、バッハはスパラで弾いて、チェロ組曲を作曲した説も大きいですよね。
チェロをヴァイオリン弾きする、という現代では想像もつかない楽器が、楽器の進化の過程で存在していたのです。

語学的に言うと、アルペジオは分散和音のことで、ハーモニーをつけれる楽器(ハープなど)に付けられる、オーネというイタリア語の大きいを意味する言葉が後ろについてるので、大きなアルペジオが出来る楽器となるでしょうか。となるとやはりギターをチェロのように弓で弾く、ギターの親戚なのでしょうか?
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょー可愛い鍵盤楽器、クラヴィシンバルム。

2018-02-28 23:14:32 | Music
先日アンサンブル・シュシュの選曲会があり、新しく入団されたYさんが、チェンバロの前身楽器、クラヴィシンバルムという、とても可愛い鍵盤楽器を持ってこられました。




支える足は無く、机などの台に置いて演奏します。


3つの可愛いローズもついています




中世のチェンバロで、西洋絵画に出て来る、奏楽天使が弾いているような感じで、小さいけれども音は良く響きます。(久保田楽器)
シュシュの久保田さんとは、別の楽器職人さんです。



 奥のチェンバロやアイリッシュ・ハープと比べても、こんな大きさです。でもこの楽器と是非合奏したい(*^_^*)




そして、広げられたキルトのカバーの上に乗り、早速寝床にしている、灰色にゃんこのキナコ様
キナコ様の子守歌を奏でる、お世話係達であります



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アンサンブル・シュシュ第46回定例演奏会は”汐ノ宮ルシエール”で。

2018-02-02 12:12:36 | Music
1月28日
今回私は諸事情により、お休みさせていただきましたが、アンサンブル・シュシュ第46回定演が、新しく建築された久保田邸で行われました。


念願のこだわりマイホームを建てた久保田夫妻。サロンコンサートが出来る広さのフロアーで、”汐ノ宮ルシエール”という名前も付きました。
いつもの自泉会館の抽選に外れたためですが、スケジュールがいっぱいのメンバーにとって、日にちを変えるのは難しく、せっかくいいお家が出来たのだから、そこですることになったそうです。




サロンコンサートをするには、充分なスペースがあり、たくさんの楽器を並べても、悠々40名くらいのお客さんが入って、ゆったりしています。


最近ずっと寒く、この日も雪が降ってきて、それが窓から見えていい感じ。本物の薪で火を焚く暖炉もあり、けっこう暖かい。

  






ブロークン・コンソートでは、チェンバロ奏者が打楽器を担当。スペインのビウエラ(右)と、ルネッサンス・ギター(左)を説明する山本さん。


バロック・ヴァイオリンの上田さんと針谷さんによる、ルクレールの2台のヴァイオリンのためのソナタ。


スカルラッティ、ヴァッセナールのリコーダー・ソナタ。リコーダー・財前さん、ヴィオラ・ダ・ガンバ・久保田さん、チェンバロ・黒田さん。


モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ、ヴァイオリン・立花さん、ピアノ・高橋さん。


ヘンデルのトリオ・ソナタ、バロックオーボエ・長尾さん、バロックヴァイオリン・針谷さん、ヴォラダガンバ・上田さん、チェンバロ・岡本さん。


テレマンのトリオ・ソナタ、リコーダー・財前さん、トレブルガンバ・久保田さん、バスガンバ・山本さん、チェンバロ・岡本さん。


ドゥミラックの中世風小組曲、コストの”慰め”、オーボエ・長尾さん、モダンギター・山本さん。


J.S.バッハのトリオ・ソナタ”音楽の捧げもの”より、バロックフルート・植田さん、バロックヴァイオリン・上田さん、バロックチェロ・吉田さん、チェンバロ・岡本さん。
今回は後期バロックが多いな。

       
休憩時間に、いつの間にか中に入ってたらしい、猫のキナコちゃん。暖炉の主でもあり、大勢の人が居るのに慣れている。広い工房も出来ていて凄いな~、でも懐かしい。借りていたチェンバロは、広い窓から搬出。


打ち上げでは暖炉でピザを焼いたり、根菜を蒸し焼きにしたものもいただきました


練習用チェンバロは、山本さん手作りで「音楽は喜びをもたらし、悲しみを癒す」というようなラテン語が書かれています。


着物で行ったので記念撮影。暖炉のスモークの匂いがついてしまいましたが( ;∀;)、とても楽しかった(*^-^*)🎶。

次回第47回目は、今年の11月11日(日)岸和田・自泉会館です。
とついているし、1mmぐらいヴェルサイユ宮殿に近づいたかな~?  





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

🌹フランスで愛されたスペイン・バロックギター音楽~ル・ポエム・アルモニーク~🌹

2017-05-27 20:56:24 | Music
5月24日
兵庫県芸小ホールでの、フランスの古楽グループ”ル・ポエム・アルモニーク”のコンサートへ行きました。


私は3回目のリピーターですが、今回アンサンブル・シュシュのメンバーの何人かも一緒に行き、ソプラノ、バロック・ギター、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロック・ヴァイオリン、ヴィオローネ、パーカッションという賑やかな編成に、最前列で堪能しました。


17世紀のパリで流行したスペイン音楽という内容で、歌は全てスペイン語、ソプラノ(クレール・ルフィリアートル)。ディデクターのヴァンサン・デュメストル氏の、バロック・ギター1本が和音楽器でした。
でもヴィオラ・ダ・ガンバルカ・ペレス氏は、半分はガンバをギターのように持ち、ギターのように弾いていて、かなり分散和音で補っていました。その代わりにヴィオローネ(エリーズ・クリスティアンズ)が、しっかりと低音を支えていました。
シュシュの楽器職人、久保田夏男氏は、ペレスさんにギターも弾くのですか?と質問したところ、ギターは今ディメストル氏に習っているところなのだそうです。私もギター弾きについて質問したのですが、もともとヴィオラ・ダ・ガンバは、フレットがついたギターの仲間なので…というような答えが返ってきたと思います。

フランス・パリで何故、スペイン語の歌なのか?今回のプログラム曲が沢山入っている、同グループの「ルイス・デ・ブリセーニョ・17世紀パリのスペイン音楽」というCDがあるのですが、そのルイス・デ・ブリセーニョという、スペイン人ギタリストで作曲家が、フランスではどちらかというと、リュートよりも蔑まされていたギターをメジャーにしたというのです。ルイ13世のお妃がスペイン人であり、ルイ14世はフランスとスペインのハーフなのだそうで、舞踏にも力を入れていたことから、スペインの音楽が宮廷でもてはやされた時代があったようです。
CDには物凄く詳しい日本語解説がついていましたが、スペイン式ギターや、バッテンテとう叩きつけるような奏法など、おそらくステージでそのように弾かれていたのだろうな~と、カッコイイ弾き方を思い出しています

どの曲も印象的な濃い曲で、休憩無しの1時間半ほど、器楽陣のテクニカルな演奏と、クレールさんのスパニッシュ的な声と歌い方で、ダンス音楽や恋の歌を楽しみました。クレールさんも、フランスとスペインのハーフだとおっしゃっていたような…。あまり語学は堪能ではないので、はっきりと言葉が解るわけではありません(^-^;。
スペイン語の詳しい人は、発音がフランスなまりだったとおっしゃっていましたが、それはハーフだからなのか、フランスの宮廷でフランス人歌手が歌っていたから、古楽的にフランス風発音でわざと歌われていたのかもしれません。


サインをしてもらうとこが、なんかバラバラになってしまいましたが、クープラン「ルソン・ド・テネブレ」のCDもあり、これは常識的に、ラテン語の歌詞をフランス読みで歌われます。


パーカッション(ペレ・オリヴェ)も面白く、鈴を足で踏んで鳴らしながら、タンブリンやカスタネットを鳴らすなど、色んなテクニックも目の前で見れて、とても良かったです。ヴァイオリンも結構昔は俗的な楽器だったので、ジプシーのような賑やかな音楽に合っていました。バロック・ヴァイオリン(フィオナ・プパール)

    
薔薇の季節、アンコールに作者不詳の「薔薇の花咲く」という曲が、印象的でした。クレールさんも、薔薇のようなピンクのショールでした。なんかディメストルさんそっくりな、可愛い少年がいるんですけど…。息子さんだそうで、まるで絵画に出て来るエンジェルさんのようでした

有名なギター、リュート奏者のTさんも来てらして、私が今最もハマっている”ひこにゃん”動画で、「ひこにゃんバロック・ギターに挑戦」では、ひこにゃんは全く打ち合わせ無しで、ギターに合わせて身体を動かしたそうです。ひこにゃん、鉄琴も弾くから、ひこにゃんの中に入ってる人って、音楽が出来る人ですかね~?って訊いたら、「ひこにゃんの中に、人はいません」と言われました。やっぱり…(='ω'=)🎵。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いずみホール・シューベルト三大歌曲集第2弾は、ピリオド楽器による「冬の旅」でした。

2017-01-16 09:30:01 | Music
この冬一番の大寒波が、日本列島を包んでいます。近畿でも大阪は殆ど雪は積もっていません

1月13日
大阪・いずみホールシューベルト集シリーズの三大歌曲の一つ、「冬の旅」ユリアン・プレガルディエン(テノール)&鈴木優人(フォルテピアノ)による演奏でした。




同ホールが所蔵するという、1820年代のナネッテ・シュトライヤーというピアニストでもあった女性が制作したものだそうです。


鈴木優人さんは、このシリーズが始まる前にもプレ・イベントで、この楽器による歌曲や連弾のコンサートで、音色を聴かせてくれました。
シューベルト時代のピアノということで、実際はこういう音でシューベルトやベートーヴェンは作曲をし、演奏していたという、核心に迫るコンサートです。

歌い手は、クリストフ・プレガルディエンの息子さんのユリアン・プレガルディエン。お二人とも優れた遺伝子を継いでおられる、という先入観は確かにありますが、そういうことは払拭されるくらい、一音入魂の感動的な演奏でした

第1曲「おやすみ」のテンポは速めで、若者の悔しさを感じる。第1声の”Fremd”のFの音から、美声で力強くキマッっている。
電光掲示板に詩が写しだされていきますが、その一言一言が説得力のある歌い方で、まるで演劇を見ているようです。ドイツ語がネイティブの方なので、感情を乗せてゆくのに、自然な演技がつくのでしょうか。とにかく解り易い、美声を聴かせるよりも、ドラマを語るのに、様々な声を使い分け、時には音を伸ばし、絶妙な空間も創る。例えはおかしいかもしれませんが、今日本で流行りの”落語”を観ているようで、それに美しい音楽がついていて、フォルテピアノの音が、色彩画のように場面を映し出す。目の前にシーンが完璧に見えてくる演奏でした。

ユリアンの32~3歳という若さも、ちょうど「冬の旅」の主人公くらいの年齢ということもあり、よけいにリアルさがありました。
「菩提樹」では、直立不動、木のように真っ直ぐ立って、懐かしい想い出を語るのです。「春の夢」は、つかの間の幻のようなフォルテピアノの儚げで優しい音。そして目が覚めて「孤独」であることが、いかに絶望的なことか、まだ嵐に吹かれている時の方が良かったと、前半が締めくくられました。
シューベルトは12曲を書いて、次の12曲が書かれるまで、8ヶ月間あったということですが、ステージの上で、ピアノに向かってうなだれて、この人本当に立ち直れるのだろうか~?と客席から心配するほどの演技( ゚Д゚)。

そしてまた後半12曲に向かって歩みます。「宿屋」(死んでお墓に入ること)で休みたいのに、そこからもまだ早いと追い出され、「ライエルマン・辻音楽師」に出会って、苦しくとも生きていかなければならないと悟ります。ライヤーの空虚5度(ドローン)の音が、なんともギシギシと古めいた感じは、フォルテピアノの音を聴いて、なるほど~!これはやはりシューベルト時代のピアノの音がぴったり!現代の洗練されたピアノの音では無理だ、と思った人も多かったようです。

フォルテピアノの魅力もふんだんに発揮されていて、やはり音量がそんなにない分、無駄に声を張っていることもなく、極弱な声まで出せる、ppp~fffまでより表現力に幅が出るという利点があります。随所に効果的に入れられる装飾変奏も、古楽を勉強している奏者ならではの、粋な演奏でもありました

この楽器で演奏出来るピアニストも歌手もとても幸せなことだと思いますが、多くの場合はモダン・ピアノになりますので、ケースバイケースで、モダンのピアニストさんも、より良い演奏をするために、たいへん工夫をされているのです。
私は一般のピアノ初心者の子供達のレッスンをおもにしていますが、住宅事情などから3分の2くらいは電気ピアノというのが、今の日本の現状です。それでも音楽を学びたい、楽しみたいという気持ちが、一番大切だと思っています

とにかく一曲一曲が感動的な「冬の旅」で、最新の演奏だと思いましたが、「冬の旅」という音楽は、ある若者の失恋物語というだけでなく、人生と重なる音楽だということも、改めて感じました。
多くの人は、それぞれの環境で、それぞれの苦しみや試練と闘って生きています。幸せなことばかりではありません。苦しみの中でもがき、どうすれば気が済むのだろう、どうすれば幸せになれるのだろうと悩んでいます。
ちょっと怖いことを言いますよ。「人間って、自分が幸せだと思っている人は、ほとんどいないんですよ」ということを聞いたことがあります。無理矢理、幸せだと自分に思い込ませていることが多いと思います(^-^;。


どうして宗教があるのか?やはり何かにすがって、守られているという安心感がないと、人間って弱いものなのです。
芸術はそういうことも教えてくれるし、音楽は束の間、苦しみを忘れさせてくれます。
シューベルトは死に病と闘い、短い生涯で永遠に受け継がれるであろう、芸術を残しました。シューベルトに励まされ、その生きた証に触れ、一曲一曲に人生の場面を共感する。「冬の旅」「人生の旅」でもあります。

サイン会にて。残念ながらこの二人の組み合わせによるCDはまだ出ていないのです。


三大歌曲のセット券で、シューベルト歌曲を堪能。新たなる最高の演奏も聴けて、優人さん、ユリアンさんと感動の記念写真です


是非是非フォルテピアノによる演奏、また聴かせてくださいね





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いずみホール・シューベルト・シリーズ三大歌曲「白鳥の歌」

2016-11-29 23:35:33 | Music
11月23日
いずみホールが主催する、シューベルト・シリーズの三大歌曲集は「白鳥の歌」から始まりました。




現代シューベルトの歌曲の演奏は様々な形をとられています。フォルテピアノによる演奏、モダン・ピアノの演奏、モダン・ピアノにバロック唱法など。「冬の旅」ではテノールやバリトンの他にも、女声が歌うこともありますし、「水車小屋」ではギターと歌われることも多いですね。
出演者の都合かもしれませんが、今回のいずみホールの場合、歌曲集は最後の「白鳥の歌」から始まり、バリトンとピアノによるものでした。

前半はソプラノ佐々木典子さん、ピアノ千葉かほるさんによる、女性用歌曲の代表的なものが演奏されました。
ミニヨンの歌まで、一気に歌われましたが、有節歌曲の「水の上で歌う」「アヴェ・マリア」など、全て暗譜で歌われたのは凄いな~と思いました。この2曲は歌詞を覚えるだけでも大変だし、「アヴェ・マリア」は特に3番まで歌うのは、一曲でもしんどいと私は体感して知っているので、さすがだな~と思いました。声はリリック・ソプラノで、しっとりとした熟練の歌唱でした。

「竪琴弾きの歌Ⅰ」からは、バリトン三原剛さんと、ピアノ小坂圭太さんが登場。シューベルトの歌曲によく登場する、孤独な老人の歌を、深い声で表現されました。ソプラノとの二重唱「光と愛」を挟み、後半は「白鳥の歌」へ。
「水の上で歌う」が白鳥のように小舟が水の上を滑っていく…、という詩なので、とても関連づけられているのです。

普段テノールを聴いているので、「愛の使い」のピアノのが一瞬低いな~と感じましたが、歌が始まると三原さんの柔らかな美声に、全く払拭されました。
レルシュタープの詩の「別れ」が終わると、一度舞台そでへ戻られ、「アトラス」からはハイネの詩になり、けっこうドロドロした詩の内容に、一緒に聴きに行った方は、ハイネというとロマンティックな印象を持っていたけど、こんな激しい詩があるとは…と驚かれていました。
確かに、レルシュタープの端正な知識人という感じとは違う、本当の詩人で、心の闇などを吐露している詩が多い。そんなハイネの詩を、とてもドラマティックに歌いあげておられ、バリトンならではの深みと迫力の歌唱でした。

「影法師」の絶望的な気持ちのあとで、最後に収められている、ザイドル詩の「鳩の便り」は、とても飛び跳ねてるようなピアノで始まり、歌もとても明るく軽やかに歌われました。詩人によって、大きく歌い分けていたという印象を持ちました。
そして、その「鳩の便り」で~鳩は”憧れ”といいます~という歌詞に、シューベルトの全てが言い表されているような気がして、いつも涙が出てしまいます。「白鳥の歌」で始まるのも、なるほどとうなずけるのでした

NHKが録画していましたので、TV放送があるようです

白いクリスマス飾りが綺麗でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

🎃エンリコ・オノフリ~メランコリア賛~、やはり強烈でした🎃。

2016-10-31 10:36:04 | Music
Happy Halloween

10月30日
兵庫県芸術文化センター小ホールで、憧れのヴァイオリニスト、エンリコ・オノフリのコンサートを聴きました。
2nd.ヴァイオリン・杉田せつ子、チェンバロ・リッカルド・ドーニ


イル・ジャルディーノ・アルモニコ時代から、一度は生で聴いてみたかったオノフリさんでした。今はグループからは離れてソロや自分のグループ活動をしてらっしゃるようです。
プログラムは初期バロックからヴィヴァルディのイタリアンで、最初と最後に師弟Duoで2挺のヴァイオリン曲が置かれ、中はオノフリさんの全くのソロでした。通奏低音はチェンバロのみの編成。

ヴァイオリンの発展国イタリアのヴァイオリン曲は山のようにある。特に初期バロック時代は、重奏も歌付きも宝の山といっていいくらいあるみたいですが、オノフリさんはイタリアン・バロック・ヴァイオリンの第一人者。イル・ジャルディーノ・アルモニコのファンだという人は、私の周りにはいっぱいいますが、当然オノフリさんのヴァイオリンというのが含まれるのです。
リーダーのジョヴァンニ・アントニーニ(笛全般)は、ベルリンフィルに客演指揮者で招かれるなど、イル・ジャルディーノはどうなってんの?という感じではありますが、古楽ブームの火付け役ともなった、オノフリさんのヴァイオリンの力がやはり大きかったんだな~と、改めて感じる演奏でありました。

重奏が楽しいイタリア初期のヴァイオリンですが、杉田せつ子さんとの師弟コンビは、さすがに音楽の作り方も、歌い方も息がピッタリでとても綺麗でした
ヴィヴァルディ”ラ・フォリア”は、イル・ジャルディーノのCDでよく聴いていますが、断然今が良い!生演奏というのもありますが、すご~く進化していて、もっと素晴らしい工夫がいっぱい、美しくエキサイティングなフォリアでした

オノフリさんのソロは、たっぷりたっぷり、私はヴァイオリンは弾けませんが、超カンタービレから、爆発的な超絶技巧まで、美しいと驚きで満たされました
フォンターナソナタ第2番は、唯一長調の曲だったかな?綺麗だな~と思いましたが、一緒に聴いていたヴァイオリニストのKさんが、今練習してるけど、こんな長い前置きのようなものは、楽譜には無いと言うのです。やはりオノフリさん自作の長~いディミニューションから始まったのです(*'▽')。面白いですね~、曲の最後によく来るデミニューションも、長い、凄い、カッコいいですね~

  チェンバロは、いつも芸文に置いてあるのと違い、黒と金の和柄が描かれたもので、あちらから持って来られたそうです。サイン会にて手前から杉田さん、オノフリさん、ドーニさん。チェンバロのリッカルドさんは、今イル・ジャルディーノ・アルモノコのメンバーだそうです。


ハロウィンらしいかなと思って「悪魔のトリル」を買っていましたが、アンコールにドソロでバッハシャコンヌを弾かれて、聴いたことのないような衝撃的な演奏だったので、最新CDのバッハ「無伴奏ヴァイオリン集」も購入しました(@_@)。


激しい演奏とは全く違う、超穏やかなエンリコさんと。深いブルーの瞳は優しさに溢れていました








ついでに、ハロウィン飾りもしてみた" Mio Giardino"。優しいお花で溢れています。


黒猫のハッピーくんも忘れずに(=^・^=)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

華麗なバッハ・プログラム、トン・コープマン&アムステルダム・バロック管弦楽団

2016-10-04 13:34:20 | Music
10月1日
住吉大社にお参りをしてから、大阪城の横くらいにある「いずみホール」へ向かいました。
地道を走っても近いはずなのですが、スマホ先生はすぐに高速道路へ乗せようとする。阿倍野あたりは渋滞するので、それを避けるにはスマホ先生に、少し頼らなければいけない。家から同ホールまでは、高速で行くと簡単なのですが、住吉から大阪城まで高速に乗るのは、ちょっと…。で少し遅れてしまったのですが、コンサートも5分遅れていて助かったー!一曲目に間に合いました(^-^)v。


バルコニー席だったので、階段を駆け上り必死でたどり着く。
この席からはトン・コープマンの弾く姿も、指揮をする表情も全部見えて、チェンバロのOさんといい席やね~!と盛り上がる!


普段、本当に最少編成のバロック・アンサンブルをしてる上に、大編成モダン・オケも聴きつけないので、この人数はかなりの迫力で聴こえました。
バッハは後期バロックだし、宮廷勤め時代の作品なので、特に華やかな管弦楽のプログラム。(バッハは勤め先によって、書く曲が違う。教会に勤めてる時は、カンタータなどの宗教曲ばかり書いていました。音楽家も勤め人という認識だった時代ですね。)

こんなに有名な人と団体が、いずみホールに初出演というのが信じられませんが、分かっていながらも、トン・コーップマンのハイ・テンションな弾き振りは、見ていて楽しいし、解りやすくて、音楽が面白いと感じられます。

管弦楽組曲はトランペットが入っての、祝典的な音楽。シンメトリーにシンフォニアブランデンブルク協奏曲が置かれていて、オーボエ、ヴァイオリン、リコーダーなどが、ソロとして入る様々な組み合わせが楽しかったです。秋の紅葉の季節になると、無性にバッハの管弦楽曲を聴きたくなるのですが、色とりどりの楽器の音色で、一足早く華やかな秋を感じられたました

弦楽合奏で出来ている、ブランデンブルク協奏曲第3番 BWV1048 Adagio では、普通の短いヴァイオリン・ソロの代わりに、けっこう長いチェンバロのみで、トン・コープマンのソロ演奏も、しっとりと美しく印象的でした

終曲の Overture No.4 は、オーボエも3本になり、より華やかに。チェンバロもグリッサンドが入るなど、左手の通奏低音に加え、右手の煌びやかなディミニューションが冴えわたる、トン・コープマンの名人芸が披露されましたMenuetイネガル(8分音符にゆるい付点をつける奏法)をかけていて、とても優雅な雰囲気が醸し出されていました



   
サイン会は長蛇の列でしたが、一人一人に疲れも見せず、丁寧に接してくれるトンさんです。チェンバロ奏者のOさんは、調律法を質問したら、「私はいつもヴェルクマイスターです。ヴェルクマイスターが好きです。」とおっしゃっていたそうです。私は歌なので、基本固定された、チェンバロやオルガンの音に合わせて音をとるので、お任せというか、まだまだ勉強不足です…(^-^;。
お爺さんに見えるにしては、きびきびした感じなので、私は失礼ながら、お歳を伺ってしまいました。70代だそうです、まだまだお若いのですね。住吉さんで五大力の石を拾ったせいか、とてもパワーを与えられました
主催公演のポスターが、液晶画面で映されてる看板があり、一つのポスターが出てくるまで、5分待たないといけませんが、Mark&Tillが出てくるのを待って、写真を撮ってもらいました






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いずみホールのシューベルティアーデ、始まりました♪

2016-09-08 14:24:49 | Music
ブログがかなり遅れています(^-^;。
8月25日
大阪・いずみホールシューベルト集全7公演のプレイベントとして、鈴木優人さんと堀朋平さんらによる、シューベルト時代のフォルテピアノを使っての演奏会やお話しがありました。






ソプラノ・松井亜希さん、テノール・松原友さん、連弾のフォルテピアノ・重岡麻衣さんで、オール30代の、これからのクラシック界をになっていくだろう、若い方達ばかりの公演でした。

シューベルト愛がすごくて、本も出版された音楽学者の堀さんによるナビゲートで、シューベルトの作品には友人達が深く関わっていることや、作品の成り立ちの深い解釈と共に、シューベルト時代のウィーンのフォルテピアノの、音色や特質や音楽的分析を鈴木さんが弾きながら実践していくというものでした。
有名な曲から初めて聴くような曲もありましたが、どれもシューベルトを語るには重要な曲でした。

800席の広いホールには、かなり小さな音量のフォルテピアノ、歌手の方達は美声で軽めの声ですが、やはり歌が入るとピアノの音がちょっと消されてしまう面もありました。
松井さんは歌うごとにだんだんと繊細な表現になってきて、シューベルトの希望と、届かぬ憧れへのはかなさを、よく表現されていました。
連弾も有名なものでしたが、モダン・ピアノで聴くと、ちょっとうるさいなと思うような部分も、随分聴きやすいなと感じました。


足ペダルが5本ついていて、音色を楽しむウィーン式フォルテピアノ


掘さんのお話しが、かなり興味深かったので本を購入。少し読み始めましたが、ものすごい研究量です。
やはりシューベルトが自立して友人達の影響によって、作曲が高められていったというだけでなく、歌曲の詩であるドイツ語の意味、調性の持つ意味、歴史的なことまで、本当に深く書かれており、曲ごとに付箋を付けておきたいくらいです。
「水の上に歌う」の二羽の白鳥の話しから始まりますが、三大歌曲の第1弾めが、女声の歌と歌曲集「白鳥の歌」から始まるので、意味深いことだと新たに知りました。


私は今のところ、三大歌曲の通し券を購入しているのですが、本を読んでいたら、けっこう全部のコンサートも興味が沸いてきました。
昔、シンフォニカー・オーケストラ(現・大阪交響楽団)で、本名徹次さん指揮で、シューベルトの交響曲全曲演奏会が同ホールであり、それも全部聴いて、プラス最後の「ミサ曲第6番」には、なんと合唱団に入れてもらい、参加してしまったという思い出が…(;^ω^)。


掘朋平さん(左)と鈴木優人さん(右)と。お父様の同じ演目の演奏を、松陰チャペルと、このいずみホールで聴いたこともあります
ユリアン・プレガルディエンとの「冬の旅」もとても楽しみにしています!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする