読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その7】第66回〜第80回

2022-06-13 22:29:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。その全317回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は7回目をお届けいたします。

シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第66回から第80回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。


(66)チョコレート菓子ができるまで(欠番)

(67)バットができるまで

撮影場所は、日本有数のバットの産地とされる富山県の福光町。プロ野球の選手が使う、特注の木製硬式バット(注文表と思われるFAXには「金本」「元木」「谷」といった、撮影当時に活躍していた大物選手の名が)の製造における、職人さんたちによる丁寧な手仕事に見入ってしまいました。バットを削りながら、左手を使って握りの感触を確かめたりしていて。途中で挿入される、職人さんの手のひらのアップもいいねぇ。

(68)ろうそくができるまで(欠番)

(69)ハサミができるまで

名刀の産地である、岐阜県関市の工場でのハサミ製造の工程です。生産ライン自体は、ロボットを含む機械が多用されてはいるものの、ひとつひとつを確実に仕上げていくその工程は思いのほかていねいでした。そして、最後の仕上げと調整で、かつての刀匠の技を受け継いだ職人さんたちの手と目がしっかりと活かされておりました。

(70)救急バンソウコウができるまで

粘着剤を均一に塗るために、まずは「工程紙」という紙に粘着剤を塗って、そこから不織布に移し替えたり、梱包した段ボール箱ごと機械の中に入れて、殺菌ガスで6時間かけて化膿性の菌などを滅菌したり・・・といった工程が興味深かったです。ちなみに、不織布に粘着剤が着きやすくするためになされる放電処理の名称は「コロナ放電処理」だそうで(笑)。

(71)人工芝ができるまで

一見地味な物件ですが、細かく切り込みを入れて柔らかく加工した「ヤーン」と呼ばれる人工芝を縫い込んだ上で先端をカットするなど、いかにも芝っぽく加工するための工夫にはけっこう感心させられました。縫い合わされて巨大なじゅうたんのようになった人工芝シートを、これまた巨大な機械で樹脂加工するくだりはなかなか迫力がありました。

(72)柿の種ができるまで(欠番)

(73)耐火レンガができるまで

鉄を作る溶鉱炉などで使われている、ふだん馴染みのない物件ではありますが、コンピュータ制御のプレスマシンによって用途に応じたおよそ1000種類もの形状に成形される・・・というテロップの説明にびっくり。どんなラインナップなのか、ちょっと見てみたい気がいたしますねえ。レンガの焼成に使われる燃料は、排ガスの影響を低減するためにLPGガスを使用しているのだとか。

(74)かまぼこができるまで

かまぼこの名産地である富山県での製造風景。職人さんがひとつひとつ型に詰めていく手作りかまぼこから、白い生地と赤い生地を渦巻き状に仕上げたもの、昆布巻きかまぼこや焼きかまぼこ・・・とどれも美味しそう。魚などの木型に生地を入れて成形し、細かな装飾を施して作られていく、結婚式等に用いられる「細工かまぼこ」の製造過程は、見ているだけで楽しくなってきますねえ。

(75)茶わんができるまで

美濃焼で知られる、岐阜県多治見市などにおける茶わんの製造工程。といっても、ここで取り上げられているのは量産型茶わんの製造現場ですが、石膏でできた型の上に据えられた磁器土を成型していく自動ロクロ機や、茶わんの内側に模様を写すシリコンゴム印刷機などの動きが面白かったですねえ。量産型とはいえ、焼成するのは1日がかりと、思いのほか長い時間を要するということもわかりました。もっと大事に使わなくちゃいかんなあ。

(76)ハーモニカができるまで

「ブルースハープ」とも呼ばれる「テンホールズ」(10穴ハーモニカ)の製造過程です。空気で振動して音を出すリード(弁)部分の細かな製造工程(微妙な厚みを調整したり、適正な周波数を確認したり、一本一本ていねいに溶接したり・・・)が見ものでした。そのリードが正常な音を出すかを検査するところは、賑やかな音色が響いていてなんだか楽しい感じがいたしましたねえ。

(77)琴ができるまで

広島県福山市の伝統工芸楽器「福山琴」の製造現場。原材となる木材選びから製材、乾燥までの段階で、まず約1年かかるというのにまず驚かされました。
なんといっても見どころは、至るところで光る職人さんたちの技。何度もカンナをかけて、板が隙間なく合わさるように細かく調節したり、コテを使って表面にきれいな焼き色をつけて磨くことで木目を際立たせたり、装飾品を丹念に取りつけての仕上げ作業・・・と、ひとつひとつの見事な仕事ぶりに見入ってしまいました。裏面の一部に模様を彫ることで音響効果が増すということを、これで初めて知りました。

(78)七輪ができるまで

どこか郷愁を誘う道具である七輪の製造過程です。撮影場所は、原料となる珪藻土が豊富に産出されるという石川県の珠洲市。崩れやすい珪藻土の岩盤に「鉄砲ノミ」という道具で切り込みを入れ、そこにくさびを打ち込んできれいなブロック状に切り出す技が見事。また、風をうまく通して燃焼効率を高める工夫がなされていることもよくわかりました。構造はシンプルだけど、奥の深い道具なんだねえ。

(79)判子(ハンコ)ができるまで

ハンコの生産高が全国の半分を占めるという、山梨県の六郷町が撮影地。左文字(裏返しに見た文字)を、設計図も下書きもなしに書き入れたり、その文字を太さや彫る深さを慎重に見極めながら細かく彫り込んでいったりする、熟練した職人技のすごさに驚嘆いたしました。あえてフチの線を一部削ることで、古さを感じさせるようにするというのも面白かったですねえ。
ハンコ不要の動きも見られる昨今ではありますが、これらの熟練の技はどうにかして残していってほしい・・・そう思わずにはいられませんでした。

(80)草刈機ができるまで

エンジンとハンドルのついたパイプの先でノコギリが回る、軽量で簡易な草刈機の製造工程。外見はシンプルだけど、エンジンやその動きを先端に伝えるパイプ、そしてノコギリを動かすギアの内部構造はそれなりにフクザツだったりいたします。ご丁寧にも、おしまいに草刈機の安全な使用法の解説(エンジンは安全のために地上に据えて始動させる、など)までついております。


これまでの回は以下のとおりです。↓


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