読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その12】第141回〜第155回

2023-02-13 19:48:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。300回を越えるそのレギュラー回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、約3ヶ月のブランクがございましたが、久しぶりに12回目をお届けしたいと思います。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第141回から第155回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しております。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。

(141)ドラム缶ができるまで

スチール製(一般的な容量200リットルのやつ)とファイバー(木材の粉から作られたクラフト紙製)のドラム缶、それぞれの製造過程が紹介されています。スチールドラム缶ならではの胴体の出っ張り(輪帯)は、中から機械で押し広げてつけるんだねえ(「ビーディング」と呼ばれる工程)。輪帯には強度を保つとともに、タイヤのように転がりやすくする働きもあるのだとか。落下テストや水圧テストなど、さまざまな検査が入念に行われているところにも感心いたしました。

(142)たいこ(長胴太鼓)ができるまで

実に見どころが多く面白い、大型の長胴太鼓の製造過程です。
推定樹齢800年、直径3メートル、長さ4メートルもの原木を切り出していく過程からして、実に引きこまれるものがございました。特に圧巻だったのは、内側をくり抜いて円筒状にする「胴ぐり」のところ。両側からくり抜かれた木材の芯が、フォークリフトで押し出されるところでは、見ていて思わず声が出ました。「革ばり」のところで、張った皮を伸ばすために作業員4人が皮の上をぴょんぴょん跳ねている場面は、なんかユーモラスな光景で笑えました。

(143)さきイカができるまで

お酒の良き友、さきイカの製造過程。茹でて味つけしたあと、乾燥させて焼いたスルメイカの胴体部分を、回転するツメ(万が一巻き込まれでもしたらかなり痛そう)で引き裂いて、それをさらに乾燥させることで、あの独特の食感が生まれるんですねえ。・・・裂く前のこんがりと焼いただけのイカも十分うまそうだったけど(笑)。

(144)バウムクーヘンができるまで

見どころはなんといっても、バウムクーヘンならではの年輪模様が生み出されていく過程であります(「バウムクーヘン」という名前も、ドイツ語で「木の菓子」という意味)。円筒形に並べられ、回転する金属製のめん棒につけられた生地が炉の中で焼かれていき、それが少しずつ太くなっていくさまを、食い入るように見入ってしまいました。見ていると甘い香りが伝わってくるようで、なんだか無性にバウムクーヘンが食べたくなってくるのう。

(145)かりんとうができるまで

洋菓子バウムクーヘンのお次は、和風菓子であるかりんとうのできるまで。とはいえ、生地の段階ではパンとほとんど変わらない感じがいたしました(イーストを入れて発酵させてるし)。揚げは一回だけでなく、まずは表面だけをサッと揚げ、次の釜で表面に色がつくように揚げ、そして3つめの釜で芯までカラッと揚げるという具合に、三段階に分けて揚げていってるんだねえ。

(146)瓦(かわら)ができるまで

空気が入って、焼いた時に割れてしまうのを防ぐために、原料の粘土を2段階に分けてしっかりと練っているのがよくわかりました。瓦に水玉の模様をつけるとき、網に塗った釉薬を内側から空気を不規則に吹き付け、全部違う模様にしているのが面白いですねえ。焼くときには、台車の上に瓦をズラッと直立させてやっていて、よく倒れないもんだなあと妙なところに感心。

(147)こんにゃくができるまで

通常の板こんにゃくを中心に、玉こんにゃくやしらたきの作り方を紹介。原料となるこんにゃく芋は寒さや霜に弱いということで、冬季は畑から温室に移して保管したりして、3年かけて収穫するとか。しらたきの元となる白こんにゃくが、細い穴から押し出されるところはそれこそ白い滝のようで、なかなか絵になりますねえ。

(148)消防ホースができるまで

ポリエステル繊維の内側に、ウレタンによるコーティングを施して作られる消防ホース。放射状に張り巡らせたポリエステル繊維の糸を、中心部で織り上げていく自動織り機の映像は、なかなか美しくて目を見張りました。織っているときには熱が発生するので、風で冷却しながら織り上げるとか。ウレタンをコーティングされ、裏返しの状態になっているホースを、機械で圧力をかけて水とともに押し出してひっくり返すところも面白かったな。押し出されるとき「ヒュルルルルル〜」という感じの音が鳴ったりしてて。

(149)塩ができるまで

おなじみ「伯方の塩」の製造過程。原料となる海水を濾過して釜で煮詰め、水分を抜かれた塩を自然乾燥させるための簀の子に使われているのが、竹。金属だとすぐに錆びたり、木だとすぐ傷んでしまうのに対して、竹は丈夫な上に水はけが良いからだそうな。なるほど。そうやって4〜5日かけてゆっくりと乾燥させることで、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分がバランスよく残るのだとか。

(150)たわしができるまで

スポンジたわしに亀の子たわし、金たわし、そしてトイレ用たわしといった、さまざまなタイプのたわしの製造工程が紹介されています。スポンジたわしのもととなるウレタンフォームが形成される実験のプロセス(ポリオールやイソシアネート、水などを混ぜて化学反応させることによって炭酸ガスが発生し、固まりながらふくらんでいく)が興味深かったですね。その一方で、手作り感漂う亀の子たわしの製造風景もよかったねえ。

(151)まんじゅうができるまで

福岡県の銘菓として知られるひよこ型まんじゅう「ひよ子」の製造過程であります。中身のあんこを生地で包んで押し出していく「包あん機」の仕組みや、ひよこ型に成形されたまんじゅうの向きを、製造ラインに合わせて後ろや前に向けたり横向きにしたりする工夫に感心いたしました。その一方で、余分な粉を払うブラシの絶妙な動きや、熱したニクロム線でひよこの目を焼きつける機械の名がズバリ「目付け機」だったのには、思わず笑いを誘われましたな。

(152)ブリキロボットができるまで

ゼンマイ仕掛けで動く、昭和レトロ感たっぷりのブリキロボットの製造過程。表面の塗装に使われる塗料は粘り気のあるものを使うことで、成形の時に表面が伸び縮みしても色がひび割れないようにしている・・・という、細かい工夫がいいですねえ。歯の数が違う2つの歯車と電池式モーターを用いての、ロボットのギミックを詳しく解説した後半部分も、なかなか勉強になります。

(153)冷凍ぎょうざができるまで

「大阪王将」ブランドの冷凍ぎょうざの製造工程。丸く打ち抜いた生地の中に具を乗せ、それをつぶすことなく、きれいにヒダをつけながら1分間に170個のぎょうざを包むまでの工程をこなす「成形機」が優れモノでした。でも、なによりも目を見張らされたのは、冷凍ぎょうざを入れる箱をものすごい速さで組み立てる人たちの驚異的な手技!機械もスゴいけど、人間もなかなかスゴいねえ。

(154)将棋盤ができるまで

撮影場所はなんと、わが宮崎県の照葉樹林の里・綾町。宮崎産のカヤの木は夏と冬の気温差により、くっきりした美しい木目がつくのだとか。そういえばたしかに、綾町には将棋盤などの木を用いた工芸品の製造販売所がいくつかあったなあ、ということを思い起こしました。
表面をていねいにカンナがけするところから始まり、第三者の助言を許さない(口無し)という意味から、くちなしの実をかたどって作られる脚の彫刻工程、そして盤面にマス目を入れていくところなど、手仕事の醍醐味を存分に味わうことができます。とりわけ、日本刀でマス目にうるしを盛る「太刀盛り」のところではBGMも消され、張り詰めるような緊張感がじんじんと伝わってまいります。

(155)コーンフレークができるまで

個人的には、朝食というよりチョコフレークのベースとして馴染みのある、コーンフレークの製造工程であります。砕いたコーンに圧力と蒸気を加えて炊き上げ、それを乾燥させた上でローラーでプレスし焼き上げることで、あの独特の食感が生まれるんですねえ。焼き上がったフレークがラインを流れるときのサラサラした音が、なんか耳に心地いいですねえ。

これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。

【随時更新】「『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。」 全記事リンク集&内容もくじ

2023-02-13 19:46:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。その全317回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという「『THE  MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。」と題する続きもの記事を、2021年の12月から随時まとめてアップしていっております。
これまでは新しい記事をアップするたび、末尾にはそれまでアップした同タイトルの記事のリンクをまとめて貼るようにしておりました。しかし、回が重なることで当然、貼りつけるリンクの数も増えていくわけで、いささか煩雑な感じがしてまいりました。また、それぞれの記事にどういった内容の回が紹介されているのかがわからないと、ご覧になってくださる皆さまに対してもちょっと、不親切ではないかと思われてきました。
そこで、これまでアップしてきた『THE  MAKING』の紹介記事のリンクをひとつにまとめた上で、それぞれの記事にどういった内容の回が含まれているのかを、一覧として示すためのページを新たに設けることにいたしました。それが、こちらの記事というわけなのであります。今後、新たな紹介記事をアップした時には、そのリンクと内容一覧を追加した上で、このページも更新していくことにしたいと思います。
今後アップする『THE  MAKING』の紹介記事の末尾には、このページのリンクのみを貼ることにしたいと思います。関心を持っていただいた皆さまにおかれましては、このページに示したそれぞれの記事の内容一覧を「もくじ」にしていただき、興味ある回を視聴するためにご活用していただければ幸甚であります。


  (1)1万円札ができるまで(欠番)
  (2)マヨネーズのできるまで
  (3)一眼レフカメラのできるまで
  (4)清涼飲料のできるまで 〜ミルクティー〜
  (5)ホッチキスのできるまで(欠番)
  (6)鉛筆のできるまで(欠番)
  (7)段ボール箱のできるまで
  (8)板ガラス・鏡ができるまで
  (9)アルミなべのできるまで
  (10)雑誌ができるまで

     (11)レンズ付フィルムのリサイクル
  (12)口紅ができるまで
  (13)ピアノができるまで
  (14)くつ下ができるまで
  (15)発泡スチロールトレーのリサイクル
  (16)アルミ缶のリサイクル
  (17)自動車ができるまで
  (18)時計ができるまで
  (19)ミシンができるまで
  (20)セロハンテープのできるまで

      (21)万年筆ができるまで
  (22)ぬいぐるみができるまで
  (23)ランドセルができるまで
  (24)蛍光ランプができるまで
  (25)歯ブラシ・歯ミガキができるまで
  (26)トランペットができるまで
  (27)石けんができるまで
  (28)スニーカーができるまで
  (29)オルゴールができるまで
  (30)ストッキングができるまで

      (31)ティッシュペーパーができるまで
  (32)お菓子ができるまで(欠番)
  (33)コンビニエンスのお弁当ができるまで
  (34)缶詰ができるまで
  (35)おもちゃができるまで
  (36)自転車ができるまで
  (37)麺ができるまで
  (38)Tシャツができるまで
  (39)原子力発電所ができるまで(欠番)
  (40)パイができるまで

      (41)シャンプー・リンスができるまで
  (42)羽子板ができるまで
  (43)レトルト食品ができるまで
  (44)食品サンプルができるまで
  (45)消火器ができるまで
  (46)ペットボトル リサイクル
  (47)カップめんができるまで
  (48)墨ができるまで
  (49)ファスナーができるまで(欠番)
  (50)ハイテク野菜ができるまで(欠番)

      (51)乾電池ができるまで(欠番)
  (52)蚊取り線香ができるまで
  (53)新500円貨幣ができるまで(欠番)
  (54)化粧品ができるまで
  (55)ポテトチップができるまで
  (56)信号灯器ができるまで
  (57)ストローができるまで
  (58)ばね(自動車用)ができるまで
  (59)ブラインドができるまで(欠番)
  (60)スプーンとフォークができるまで
  (61)使い捨てマスクができるまで
  (62)コンタクトレンズができるまで
  (63)スチールボールができるまで
  (64)輪ゴムができるまで
  (65)フォークギターができるまで

      (66)チョコレート菓子ができるまで(欠番)
  (67)バットができるまで
  (68)ろうそくができるまで(欠番)
  (69)ハサミができるまで
  (70)救急バンソウコウができるまで
  (71)人工芝ができるまで
  (72)柿の種ができるまで(欠番)
  (73)耐火レンガができるまで
  (74)かまぼこができるまで
  (75)茶わんができるまで
  (76)ハーモニカができるまで
  (77)琴ができるまで
  (78)七輪ができるまで
  (79)判子(ハンコ)ができるまで
  (80)草刈機ができるまで

  (81)鍵盤ハーモニカができるまで
  (82)グミキャンディーができるまで
  (83)釣竿ができるまで
  (84)卓球ラケットができるまで
  (85)メガネフレームができるまで
  (86)野球グラブができるまで
  (87)手袋ができるまで
  (88)ボウリングの球ができるまで
  (89)金属バットができるまで
  (90)硬式野球ボールができるまで
  (91)しょう油ができるまで
  (92)プラモデルができるまで
  (93)電球ができるまで
  (94)スピーカができるまで(欠番)
  (95)ビデオテープができるまで

  (96)パン粉ができるまで
  (97)魔法瓶ができるまで
  (98)パスタができるまで
  (99)割りばしができるまで
  (100)レコードができるまで
  (101)マッチができるまで
  (102)リコーダーができるまで
  (103)かつお節ができるまで
  (104)ワイングラスができるまで
  (105)そろばんができるまで
  (106)かい中電灯ができるまで
  (107)紙コップができるまで
  (108)とび箱ができるまで
  (109)粒ガムができるまで(欠番)
  (110)毛布ができるまで

  (111)手のべそうめんができるまで
  (112)プチケーキができるまで
  (113)おもちができるまで
  (114)スティック菓子ができるまで
  (115)みかんの缶詰ができるまで
  (116)缶コーヒーができるまで
  (117)地球儀ができるまで
  (118)ボールペンができるまで
  (119)マシュマロができるまで(欠番)
  (120)清涼菓子ができるまで
  (121)バレーボールができるまで(欠番)
  (122)ガラスびんができるまで
  (123)ノートができるまで
  (124)ローラチェーンができるまで(欠番)
  (125)便器ができるまで

  (126)絹糸ができるまで
  (127)ジーンズができるまで
  (128)(牛乳パックのリサイクル)トイレットペーパーができるまで
  (129)自転車タイヤができるまで
  (130)ピンポン球ができるまで
  (131)たまごパックができるまで
  (132)ふりかけができるまで
  (133)ドレッシングができるまで
  (134)自動車用ホイールができるまで
  (135)石油ファンヒーターができるまで
  (136)トウフができるまで
  (137)グラスビーズができるまで(欠番)
  (138)冷凍たこ焼きができるまで
  (139)消しゴムができるまで
  (140)下水道管ができるまで

  (141)ドラム缶ができるまで
  (142)たいこ(長胴太鼓)ができるまで
  (143)さきイカができるまで
  (144)バウムクーヘンができるまで
  (145)かりんとうができるまで
  (146)瓦(かわら)ができるまで
  (147)こんにゃくができるまで
  (148)消防ホースができるまで
  (149)塩ができるまで
  (150)たわしができるまで
  (151)まんじゅうができるまで
  (152)ブリキロボットができるまで
  (153)冷凍ぎょうざができるまで
  (154)将棋盤ができるまで
  (155)コーンフレークができるまで

地域にお祭りがあることのありがたみと尊さをあらためて噛み締めた、3年ぶりの生目神社大祭

2023-02-11 19:25:00 | 宮崎のお噂
その名前から「目の神様」として親しまれている、宮崎市郊外の生目神社。2月4日から6日までの3日間にわたって、毎年この時期に開催されている縁日大祭が行われました。わたしは初日の4日に、散歩がてら出かけてまいりました。
昨年と一昨年はコロナ莫迦騒ぎの影響で中止となり、今年は3年ぶりの開催。まずまずの天候のもと、多くの人で賑わっておりました。

本殿の前には、参拝に並ぶ人たちの長い列ができておりました。その列に並び、コロナ莫迦騒ぎが一日も早く終わるよう、神様にお祈り申し上げました(思えば年明けの初詣のときにも、おんなじことをお願いしたんだったよなあ・・・)。
参拝を済ませたあと、参道にずらっと立ち並ぶ露店を見てまわりました。



露店のほうも、家族連れを中心にたくさんの人たちで大賑わい。たこ焼きや焼きそば、串焼き、唐揚げ、クレープ、フルーツあめ、焼とうもろこしなどなど、美味しそうな食べもののお店はもちろん、金魚すくいや射的ゲームといったお店が、お祭り気分を盛り上げてくれていました。そんな中で、子どもたちのグループが思い思いに食べものを買い求めては、それを道端で楽しそうに頬張ったりしております。いい光景だねえ。
オジサンのわたしも子どもたちに負けず、しっかりと買い食いを楽しみました。まずはフライドポテト(詰め放題で400円、ってやつですね)。まあ、屋台ならではのチープなフライドポテトではありますが、お腹が空いていたこともあって美味しかったのなんの。


そして、中のチーズがびよ〜んと伸びるチーズハットグ。コレもすっかり、お祭りの屋台ではおなじみの食べものとなりましたねえ。けっこうボリュームもあって、お腹いっぱいになりました。



お腹もいっぱいになったところで、おみやげを買って帰りました。ひとつは、地元商工会の出店で売られていた、手づくりのドーナツ。


そしてもう2つは、たこ焼きと中津からあげ。これらは晩酌の良きおともになってくれました。タコよりも生地の割合が圧倒的に多い(笑)たこ焼きもまた、屋台の食べものって感じがしていいんですねえ。中津からあげもしっかり味が染みていて、おかげでビールがぐいぐい進みました。




露店で買って食べた美味しいものとともに嬉しかったのは、かわいい犬さんを見かけたこと。かわいくてとてもおとなしかったのですが、そのカラダの大きかったこと。ちょっとした仔馬くらいの大きさはあったでしょうか。

その大きさに驚いて、思わず手にしていたiPadで写真を撮ろうとしたところ、おそらくはご近所にお住まいとおぼしき飼い主さんが、こうおっしゃいました。
「あ、写真ですか?どうぞどうぞ!きょうは特別に(撮影料は)2000円ってことで(笑)」
わはは、こりゃ一本取られたわい、とアタマ掻きつつ、撮影料はサービスしてもらった上で(笑)、タダで撮影させていただきました(飼い主さん、ご厚意感謝申し上げます!)。
こういう楽しいふれあいの一幕もまた、お祭りがあってこそでありましょう。

この3年間は、「感染拡大防止」という「大義名分」のもとで、こういったお祭りやイベントのほとんどが中止を余儀なくされました。そのことによって、露店で買い食いを楽しんだり、お祭りを通して人びとが交流する機会もまた、ことごとく奪い去られてしまったのです。それぞれの地域社会が蒙った損失の大きさ(経済的なことはもちろん、人びとの精神的な面においても)は、測り知れないものがあることでしょう。
しかし、すでに3年もの月日が過ぎる中で、新型コロナ(っていうか、3年も経ってるというのに、いつまで「新型」などと言い続けるんでしょうか?)は当初のような「恐るべき未知の感染症」ではなくなり、数多くの有益な知見が積み重ねられていることでしょう。5月からはようやく、感染症法における「新型」コロナの分類も「2類」から「5類」に引き下げられます(あまりにも遅すぎるのですが・・・)。恐怖煽りによって引き起こされるパニックに振り回され、社会と人心を壊すような愚を、もうこれ以上続けている場合ではないでしょう。
これからは、お祭りやイベントを心から楽しむことができる日常のいとなみを、毅然とした決意のもとで取り戻さなくてはならないと、心の底から思うのです。

3年ぶりとなった生目神社の大祭は、地域にお祭りがあるということのありがたみと尊さを、あらためて噛み締めさせてくれたのでした。

驚きの個人博物館「天領日田洋酒博物館」と、館長の高嶋甲子郎さんの魅力に取り憑かれた、4度目の日田訪問

2023-02-05 21:01:00 | 旅のお噂
少し前のお話で恐縮なのですが・・・1月7日から9日までの3連休を使って、大分県の別府と日田へ出かけておりました。
ここ10何年にわたって毎年のように行っている別府と、今回が4回目の訪問になる日田。大好きな2つの街で街歩きと温泉、そして美味しい食べものとお酒をたっぷりと満喫してまいりました。
昨年の旅と行き先がおなじということもあり、今回の旅の詳しいお話は割愛することにいたしました。ですが、今回訪ねた中で一番の思い出、そして最大の収穫となった場所についてだけ、記しておくことにいたします。日田にある「天領日田洋酒博物館」であります。

(博物館の公式ホームページはこちら(↓)。館内の展示品やウイスキーの紹介などなど、すでに多数の動画がアップされているYouTubeチャンネルも必見であります)

【公式】天領日田洋酒博物館

大分県日田市にある天領日田洋酒博物館(ウィスキー博物館) オーナー高嶋甲子郎が13歳から 約40年を費やしてコレクションした 洋酒やそのノベルティーグッズなど、3万点以...

【公式】天領日田洋酒博物館 – 大分県日田市にある天領日田洋酒博物館(ウィスキー博物館) オーナー高嶋甲子郎が13歳から 約40年を費やしてコレクションした 洋酒やそのノベルティーグッズなど、3万点以上を展示する洋酒博物館。館内にバーやショップも併設。

 
オーナーである高嶋甲子郎さんが、43年かけて収集した洋酒に関するありとあらゆる物品3万点以上を展示する、日本はもとより世界的にも稀有な個人博物館です。
この博物館の存在はしばらく前から知っていて、5年前に日田を訪れたときにも立ち寄ろうとしたのですが、結婚式の二次会のために貸し切りとなっていて入ることができませんでした。昨年の旅でもなんとなく入りそびれてしまい、今回ようやくの訪問とあいなりました。
少々緊張しつつドアを押して中に入ると、中年の男性が愛想よく出迎えてくださいました。館長である高嶋さん、その人でありました。まずは高嶋さんのご説明とともに、主だった展示品を見て回り、そのあとじっくりと館内を見学いたしました。
(館内は撮影自由ということでしたので、以下に挿入する画像はたくさん撮りまくった中の一部です)

ここの目玉となる展示品は、なんといってもNHKの連続テレビ小説『マッサン』のモデルになったニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏が設計・製作した蒸溜釜の実物(!)。ニッカが日田の工場を引き払ったおり、高嶋さんが粘り強く交渉を重ねた末に譲ってもらったとか。
蒸溜釜とともに、竹鶴氏みずからの手になる釜の設計図などを記したノートの複製や、竹鶴氏と麗しきリタ夫人のお写真も、当時のボトルなどとともに展示されておりました。


蒸溜釜の実物とともに驚かされたのが、禁酒法時代のアメリカで熟成されたウイスキーの現物です。

禁酒法時代といえば、あのアル・カポネとエリオット・ネス率いる〝アンタッチャブル〟との激闘が繰り広げられていた時代。しばらく前にもブライアン・デ・パルマ監督の映画『アンタッチャブル』を観直していたこともあって、あの時代に醸されていたウイスキー、それも中身の入った現物のボトルが目の前にあるということに、軽いコーフンを覚えましたねえ。

太平洋戦争のおり、「皇軍慰問品」として支給されたという「日の出ウヰスキー」の箱。金属不足だった時代ということもあり、留金の部分には革が使われているとのこと。こちらも、時代を物語る貴重な一品であります。

さまざまなカタチをしたボトルやミニボトルの数々にも、目を奪われました。

このクラシックカーのリアルなミニチュアもウイスキーのボトル。後部のスペアタイアのところがキャップになっております。

マリリン・モンローとエルヴィス・プレスリーをかたどったボトル。首のところがキャップになっているプレスリーのに対して、モンローのはオトコどものスケベ心を刺激する趣向として(笑)、下のほうにキャップがつけられております。

ギネス世界記録に認定されているという「世界最小のボトル」。比較の対象のない上の画像ではわかりにくいのですが、人間の指先とさほど変わらないくらいの小ささ。それでもちゃんと中身が入ってるのが見事であります。

宝石で有名なティファニーと、シーグラム社とがコラボしたボトル。デザインのおしゃれさが、いかにもティファニーという感じがしますねえ。

ヨーロッパ最古のリキュール醸造所という、オランダの「ボルス」のボトルの数々。動物をかたどったガラス製のボトルは実にかわいらしく、また芸術的でありました。

サックスやピアノなど、ジャズバンドが使う楽器にウイスキーのミニボトルを組み込んだ「JAZZ SET」。これもまた、実に凝ったつくりがため息ものでありました。

展示されているミニボトルの半端ない数にも圧倒されました。高嶋さんいわく、「展示していないものも含めると3万本以上はありますかねえ」とのこと。すごい!


かつてサントリーが出していた伝説のPR誌『洋酒天国』と、柳原良平さんのイラストがキュートな『洋酒マメ天国』。後者は、サントリー宣伝部に属していた山口瞳さんや開高健さんをはじめ、伊丹十三さんや永六輔さんなどといった錚々たる面々が執筆に参加していたというシリーズで、全36巻がコンプリートで揃っているとか。またまたすごい!!

1960年代、酒屋さんの配達に活躍していたという富士重工業(現SUBARU)のスクーター「ラビット」の現物までありました。ただし側面に記されている「高嶋酒店」は実在したお店の名前ではなく、館長である高嶋さんにひっかけてのオリジナルとのこと。

このほかにも、酒造メーカーのノベルティグッズや広告、コースターや栓抜きなどの用具類などなどなどなどが所狭しと展示されていて、もうひたすら圧倒されました。気がつくと1時間ほど経っておりましたが、ひとつひとつ丁寧に見ていったら1日がかりになりそうなくらい、膨大な量のコレクションでした。洋酒と酒文化に関心のある向きには、まことに興味の尽きない博物館であるといえましょう。
ちなみに、展示品のなかでとりわけ気に入ったのがコチラ(↓)。ウイスキーを抱えた2匹の木彫りのクマさんが可愛くっていいねえ。


質量ともに圧倒的な展示品の数々もさることながら、オーナーである高嶋さんがまた、実に魅力的で最高でありました。
展示品をユーモアたっぷりに説明する口調の面白さ、気さくでサービス精神に溢れたお人柄、そしてお酒に対する熱量と愛、そのすべてに惹きつけられました。例の「マッサン」の蒸溜釜のところでは「どうぞどんどん触っちゃってください!ご利益ものですから」などと勧めてくださった挙句、わたしをその前に立たせて記念撮影までしてくださいました。おまけに、バッテリーが切れかけていたiPadの充電のために、電源コンセントまでお貸しいただいたり(本当にありがとうございました)。
なんと13歳の頃から、洋酒関連のコレクションを始めたという高嶋さん。しきりに「もうアホですわ」などと自嘲めいておっしゃってましたが、こうやって自分が「好き」だと思える一つのことにとことんこだわり、徹底することが、大きな価値を生み出す原動力となるのだ・・・ということを実感させられました。
そんな高嶋さんからは、会った人のほとんどを虜にするような、人を惹きつける磁力やオーラがじんじんと感じられました。それはリスクに怯え、ちまちまとした世間体とやらを気にするばかりのヒトたちからは感じられないものであるように思いました。
そんな高嶋さんに惹きつけられた方の一人が、現在も連載中の『クッキングパパ』(講談社)で知られる、福岡県在住の漫画家・うえやまとちさん。これまでに5回、洋酒博物館を訪れたといううえやまさんは、『クッキングパパ』の作中にも2回にわたり、博物館と高嶋さんを取り上げたといいますから、そうとう博物館と高嶋さんの魅力に惹かれたことが窺えます。

(↑天領日田洋酒博物館を取り上げたエピソード2編を収録した『クッキングパパ』単行本127巻。高嶋さんも〝タカさん〟というキャラクターとして登場しております)

まことに楽しく陽気なお人柄の高嶋さん。しかし、その陰でしんどい逆境も経験なさっているということを、博物館の公式ホームページにもリンクが貼られているこちらの記事で知りました。↓
39年かけて集めた約3万点の洋酒コレクションを博物館に。ウイスキーに人生を捧げた男の「夢の城」 - メシ通 | ホットペッパーグルメ
この高嶋さんへのインタビュー記事によれば、2016年4月の熊本地震の時には、貴重な展示品の一部が被害を受けた上、入館する観光客の減少にも苦しめられたといいます。同じ年の7月には、経営していた会社やお店、さらには洋酒博物館の姉妹施設であったビールミュージアムが、火事により全焼してしまうという苦難に見舞われます。そして、火事から1年後の2017年7月には、九州北部豪雨によってまたも観光客の激減に直面させられることに・・・。そんな逆境つづきの中で多くの人びとから支えられ、その経験と感謝の思いを財産とすることが、今の自分のパワーの源となっていると、高嶋さんはこの記事の中で語っておられます。
人を惹きつけてやまない高嶋さんの楽しさと人間力は、逆境によって磨かれ、逆境を乗り越えることで醸し出されたものなんだなあ・・・ということを、深く納得させられたのでありました。

「夜はバーもやってますから、よかったらどうぞ!」ということで、宿泊した日田温泉の宿「亀山亭ホテル」さんでの夕食のあと、ふたたび洋酒博物館に足を運び、併設されているバーにお邪魔いたしました。博物館の館長からバーのマスターになった高嶋さんと、それを補佐するバーテンダーさんが出迎えてくださいました。




日田杉の一本板で作られた、長さ12メートルものカウンターの上、そしてカウンターの背後にも、ウイスキーをメインにお酒のボトルがズラリ。そんな居心地のいい空間で飲む、ハイボールやウイスキーの水割りの美味しかったこと!
ここでは高嶋さんのほかに、地元の焼肉店「五葉苑」の社長をやっておられる方との会話で愉快に過ごすことができました。この社長さんもまた、高嶋さんといい勝負の面白さと人間的魅力、そして熱量をお持ちの方で、やはり魅力ある人のもとには魅力ある人が引き寄せられるんだなあ、ということを感じましたねえ。
おかげさまで、深まる日田の夜を楽しく過ごすことができた上に、たっぷりと元気をいただくことができました。やっぱり夜も来てよかったなあ。

実は今回の訪問で、しばし日田訪問はお休みにするつもりでおりました。しかしながら、「天領日田洋酒博物館」と館長である高嶋さんの魅力に取り憑かれてしまったことで、また日田に行きたいという思いがふつふつと湧いてまいりました。そうそう、「五葉苑」の社長さんからも、ちょっとした〝宿題〟を与えられておりますので、その意味でもまた日田に行かなければならないのであります。
ぜひまた、「天領日田洋酒博物館」と高嶋さん(そして「五葉苑」の社長さん)に再会すべく、日田に足を運びたいと思います!