1年前にも開催した、年末年始の個人的映画祭「閑古堂の年またぎ映画祭」、今年もやることにいたしました。
前回は、SFものや怪獣ものといった特定のジャンルに偏っておりましたが、今回はジャンルを問わず、映画の醍醐味を味わえる大作や名作、そして元気と勇気が湧いてくるような作品をチョイスしていきたいと思っております。
オープニングはハデな「お祭り映画」からスタートしたいということで、まずは『タワーリング・インフェルノ』を。1970年代に流行した、オールスター・キャストと大仕掛けによるディザスター(災害)パニック映画の大ヒット作であり、決定版といえる映画であります。
前回は、SFものや怪獣ものといった特定のジャンルに偏っておりましたが、今回はジャンルを問わず、映画の醍醐味を味わえる大作や名作、そして元気と勇気が湧いてくるような作品をチョイスしていきたいと思っております。
オープニングはハデな「お祭り映画」からスタートしたいということで、まずは『タワーリング・インフェルノ』を。1970年代に流行した、オールスター・キャストと大仕掛けによるディザスター(災害)パニック映画の大ヒット作であり、決定版といえる映画であります。
年またぎ映画祭1本目『タワーリング・インフェルノ』The Towering Inferno(1974年 アメリカ)
監督=ジョン・ギラーミン
製作・アクション場面監督=アーウィン・アレン
脚本=スターリング・シリファント
原作=リチャード・マーティン・スターン『そびえたつ地獄』、トーマス・N・スコーティア&フランク・M・ロビンソン『タワーリング・インフェルノ』
撮影=フレッド・コーネカンプ、ジョゼフ・バイロック
音楽=ジョン・ウィリアムズ
出演=スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア、スーザン・ブレイクリー、リチャード・チェンバレン、ジェニファー・ジョーンズ、O・J・シンプソン、ロバート・ヴォーン、ロバート・ワグナー
Blu-ray発売元=ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
サンフランシスコの新名所として、鳴り物入りで建設された138階建ての超高層ビル「グラスタワー」。その竣工式が最上階で行われているとき、電気系統の異常により81階の物置室から出火。炎は徐々にビルの上階へと燃え広がっていき、華やかだった竣工式の会場はたちまち、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していく。切迫していく状況の中で、ビルの設計者であるダグ(ポール・ニューマン)と、駆けつけた消防隊のチーフ、オハラハン(スティーブ・マックイーン)は協力して、人々の避難誘導と消火にあたっていく・・・。
ハリウッドのメジャー映画会社である20世紀フォックスとワーナー・ブラザースが、それぞれ別の小説をもとに進めていたビル火災映画の企画を統合させ、共同で製作・配給にあたったのが本作でした。『タイタニック』(1997年)以降、メジャー映画会社が共同で製作・配給にあたることが多くなっておりますが、この当時にはかなり異例のことであり、そのこと自体がちょっとした話題となりました。
製作にあたったのは、『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)などでパニック映画のヒットメイカーとして鳴らした大物プロデューサー、アーウィン・アレン。本作ではアクション場面の演出も兼任しております。メインとなるドラマ部分の監督は、リメイク版『キングコング』(1976年)も手がけたジョン・ギラーミン。
製作にあたったのは、『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)などでパニック映画のヒットメイカーとして鳴らした大物プロデューサー、アーウィン・アレン。本作ではアクション場面の演出も兼任しております。メインとなるドラマ部分の監督は、リメイク版『キングコング』(1976年)も手がけたジョン・ギラーミン。
ヒーロー性を遺憾なく発揮するスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンをはじめ、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステアなどといった、豪華キャストの共演に魅了されます。登場人物が多いものの、それぞれのキャラクターの描き分けがしっかりなされているところも見事です。
とりわけ、消防チーフ役を快演したマックイーンの好漢ぶりにはあらためてシビれましたねえ。本作は、人命を救うために危険な任務に赴く、消防士たちへの讃歌にもなっていて、そこもまたよかったと思います。
そして何よりも圧巻なのが、超高層ビルのミニチュア(といっても20メートルを超える巨大さ!)を駆使した特撮と、火だるまになったり大量の水に押し流されたりといった危険なスタントによる、スペクタクルな見せ場の数々であります。それらが醸し出すスリルと迫力は、CG全盛の現在では得られない、リアルな驚きと興奮を覚える素晴らしいものでした。
いろいろな意味で「お祭り映画」と呼ぶにふさわしい、娯楽大作映画の傑作であります。
年またぎ映画祭2本目『ダイ・ハード』Die Hard(1988年 アメリカ)
監督=ジョン・マクティアナン
製作=ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルバー
製作総指揮=チャールズ・ゴードン
脚本=ジェブ・スチュアート、スティーブン・E・デ・スーザ
原作=ロデリック・ソープ
撮影=ヤン・デ・ボン
音楽=マイケル・ケイメン
出演=ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、アレクサンダー・ゴドノフ、ボニー・べデリア、レジナルド・ヴェルジョンソン
Blu-ray発売元=20世紀フォックス ホームエンターテイメント
1本目の『タワーリング・インフェルノ』同様、高層ビルが舞台ということで、2本目は『ダイ・ハード』をチョイス。己の運の悪さを嘆きつつ、大車輪の活躍を繰り広げる主人公を好演したブルース・ウィリスが一躍大スターとなった、もはや説明不要の80年代アクション映画を代表する一本です。監督はアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『プレデター』(1987年)で知られるアクション派のジョン・マクティアナン。撮影はのちに『スピード』(1994年)で監督業に進出したヤン・デ・ボン。
すでに何度も観てきた作品ですが、久しぶりに観てもやっぱり面白かった!ハラハラさせられる見せ場のつるべ打ちはもちろん、高層ビル内をうまく活かした巧みな作劇と、練られたセリフのやりとりが実に良くできていて、あらためて唸らされました。主演のブルース・ウィリスはもちろん、冷酷なテロリストのリーダーを演じた名優アラン・リックマンや、主人公をサポートする人情味ある警官役のレジナルド・ヴェルジョンソンも素晴らしいですねえ。
今年、失語症を公表して俳優業から引退することになった主演のブルース・ウィリスには、本当にお疲れ様でしたと言いたいです。
年またぎ映画祭3本目『雨に唄えば』Singin’ in the Rain(1952年アメリカ)
今年、失語症を公表して俳優業から引退することになった主演のブルース・ウィリスには、本当にお疲れ様でしたと言いたいです。
年またぎ映画祭3本目『雨に唄えば』Singin’ in the Rain(1952年アメリカ)
監督=ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
製作=アーサー・フリード
脚本=アドルフ・グリーン、ベティ・コムデン
撮影=ハロルド・ロッソン
音楽=ナシオ・ハーブ・ブラウン、レニー・ヘイトン
出演=ジーン・ケリー、ドナルド・オコーナー、デビー・レイノルズ、ジーン・ヘイゲン
Blu-ray発売元=ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
かつて隆盛を誇ったMGMミュージカル映画の中でも、特に名作として有名で、今もなお多くの人に愛されている作品です。監督は主演のジーン・ケリーと、オードリー・ヘプバーンの『パリの恋人』(1957年)や『シャレード』(1963年)でも知られるスタンリー・ドーネンが共同で手がけています。
かくも有名な作品でありながら、実は恥ずかしながら今回初めて観たのですが(大汗)、これほど楽しくて明るく、小粋な映画をなんでもっと早く観ておかなかったのか、激しく後悔するくらいに魅了されました。歌も踊りも笑いも、すべてがもう最高!
主演のジーン・ケリーが雨の中で表題曲を歌い踊る場面もさることながら、共演のドナルド・オコナーとデビー・レイノルズと3人で歌う「グッドモーニング」の場面も、高揚感に溢れていて最高でした。また、サイレント(無声映画)からトーキー(発声映画)へと移り変わる、ハリウッド映画史の転機を知る上でも興味深い一本でした。
これからもまた何度でも観たいと思わせてくれる、まさしく名作と呼ばれるにふさわしい作品です。
主演のジーン・ケリーが雨の中で表題曲を歌い踊る場面もさることながら、共演のドナルド・オコナーとデビー・レイノルズと3人で歌う「グッドモーニング」の場面も、高揚感に溢れていて最高でした。また、サイレント(無声映画)からトーキー(発声映画)へと移り変わる、ハリウッド映画史の転機を知る上でも興味深い一本でした。
これからもまた何度でも観たいと思わせてくれる、まさしく名作と呼ばれるにふさわしい作品です。
余談ながら、なぜ『ダイ・ハード』の次に『雨に唄えば』を選んだかというと、前者の作中に後者の表題曲「Singin’ in the Rain」が使われていたから。この曲を作中に使った映画では、キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』(1971年)も名高いのですが、年末年始に観るにはいささかヘビー過ぎるように思えたので(笑)、そちらはまた別の機会に。