読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

【わしだって絵本を読む】『まゆげちゃん』 まゆげが作り出す表情の豊かさを楽しめる絵本

2013-06-18 22:05:07 | 本のお噂

『まゆげちゃん』真珠まりこ作・絵、講談社、2012年


読む本は基本的にノンフィクションばかりという「ノンフィクション男子」(笑)なわたくしですが、ここにきて絵本への興味が再燃してきた今日この頃であります。
そこで、月に一度くらい、これはという気になる絵本を読んで、このブログにて感想文など綴っていこうかな、と思います。
とは申しましても、決してこの分野に詳しいワケでもありませんゆえ、なにを読んだらいいのか、手探り状態でやっていくことになるかと存じますが•••。

第1回に取り上げるのは『まゆげちゃん』。ものを大切にする生活の知恵を楽しく伝える『もったいないばあさん』シリーズ(講談社)などでおなじみの絵本作家、真珠まりこさんの作品です。

太くて大きい「まゆげちゃん」をもつおとうさん。おとうさんが怒ったり、泣いたり、びっくりしたりするたびに、「まゆげちゃん」もそれに合わせた表情を見せます。両方の「まゆげちゃん」をぶつけたりすることもできるのを見ていた「ぼく」は、それをマネてみようと頑張ってみるのですが•••。

どどーんと太い線で描かれた「まゆげちゃん」によって変化していく、おとうさんの表情一つ一つが、実に豊かで面白いものでした。
そんな表情の変化を楽しみながら、まゆげが人間の表情にもたらす役割の大きさを感じることができました。
実のところ、いつもの生活の中で、まゆげを意識することなど、あまりありませんでした。ふだん、オノレのつまらないカオをじっくり見たりすることもありませんから、別段まゆげの手入れをするわけでもありませんし、人さまのカオを見るときにも、まゆげを意識して見ることはありませんでした。
でも、まゆげがあることで、人間の喜怒哀楽というものはより豊かに現れてくるのだなあ、ということが、楽しみながら理解できたのであります。

そして、まゆげを自在に動かすおとうさんを「かっこいい」という、息子の「ぼく」との気持ちの触れ合いにも、ちょっと心温まるものを感じて、読後感も良いものとなりました。
これはぜひとも、父と子で楽しんでいただきたい絵本であります。
•••そうか、これはおととい(16日の日曜日)の「父の日」に合わせて読んで紹介すりゃよかったなあ。しくじったなあ。でも、父の日であろうとなかろうと楽しめる絵本なので、ぜひとも手に取って見ていただきたいと思います。


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