問題のガバナー。低速のシャッタースピードを調整する部分。1/30秒より長いシャッタースピードで、シャッター幕の後幕をこのガバナーで作り出した時間遅らせて走らせます。シャッター幕は、先幕と後幕に分かれて、名前の通り、先幕が走り出して、設定された時間後に後幕を走らせることでスリットを作っています。
ちなみに、Nikon Fのシャッター幕は、布製ではなく、純チタン(F3の資料には純度99パーセント以上とあるのですが、同じ素材でしょう。)です。しかも表面には強度を増すためにディンプルパターンを施してあります。
状態は写真の通り。砂等がオイルを吸ったのでしょう。さび付いている部分もあります。ガバナーを外して、洗浄して注油します。湿気が多い環境での長い保管も油切れを引き起こします。
もうひとつの問題のミラーボックス。手前のピンボケしている棒状のものがミラー駆動ばねです。ミラーボックスを外して手動で動かしてみると、だいぶひっかかりがありました。
レリーズボタンを押すと、まず、このミラーボックスにあるミラーレリーズかぎが外れ、ミラーアップがこのばねの力によって始まります。そして、ミラーアップが終わるとミラーボックスにあるレリーズピンがシャッターの先幕をスタートさせ、次に後ろ幕がスタートし、シャッターが閉じ、後幕が到着するとミラーが降下する・・・と一瞬の一連の流れをこれらの歯車やリンクで作っています。すごいですね。レンズとの絞りの連動もありますね。カメラが精密機器であることを感じさせてくれます。