TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

お役所仕事

2010年08月06日 | インポート
 窓口にお見えになった女性客。
さっきから、ずいぶんとご不満の様子。
「そういうところが、お役所仕事なのよねええ」と、
しきりに、いきまいている。
 融通がきかないところがか?
 それとも、貴女のいいなりになってくれないところがか?
細かい事情はわからないが、いずれにせよ、
そういうセリフを聞くたびに、言ってやりたくなる。
「そりゃそうです。ここはお役所なんですから」と。


 さて、9月から、「県庁版フレックスタイム」が導入されることになった。
初めて知ったのだが、労働基準法上のいわゆる、「フレックスタイム」というのは、
地方公務員には認められていないのだとか。
 しかし一カ月単位ごとに勤務形態を決める「変形労働時間制」というのは、
認められているらしい。
一体このふたつがどう違うのか、よくわからないのだが……
一カ月単位で変更可能なら、状況に応じた対応ができるから良しということなのか。

 ともかく、この制度が導入されれば、現行の午前8時半から午後5時15分までの通常勤務に加え、
早出の午前7時、7時半、8時出勤と、遅出の午前9時、9時半、10時出勤の6パターンが用意されるらしい。
もちろんそれに合わせて、退庁時間もずれるわけである。

 この制度を利用するには、育児や介護といった理由は特に必要ないのだそうだ。
しかし、実際、出先機関のように、窓口業務があるところでは、この制度を利用したいと申し出るのは、むずかしいだろう。
朝の7時台に、窓口に来る客はほとんどいない。
早出の職員は、客に煩わされずに、サクサクと自分の業務を進めることができる。
その分、通常の時間帯に出勤している職員に負担がかかることは必須。
 それがわかっていて、敢えて、このフレックスタイムを利用したいと言えるかどうか……。

 加えて、県庁には、タイムカードというものが存在しない。
仮に、朝の7時出勤を選んだ場合。その時刻に出勤したことを誰がそれを証明するのか。
上司か?
上司だとすると、例えば、早出と遅出の職員が入り混じった部署の場合。
彼らの出勤時刻と退庁時刻を管理する(見張る)ために、上司は、
最大で朝の7時から夜の6時45分まで職場にいなければならないことになる。

 もうひとつオマケを言うと、冷暖房は、経費削減のために、通常時間帯の
8時15分から5時15分までの間しか、稼働させないそうだ。
 つまり、この制度を利用した場合、通常枠からはみ出した時間帯には、
夏場なら、汗をかきかき熱中症の危機にさらされながら、
冬場は、オーバーを着込み風邪をひかないようにしながら、
仕事をしなくてはならないということである。

 何だかこれでは、表向き、誰でもこの制度を利用してもいいですよ~と言いつつも、
利用するなと言っているようなもの。
 実際現場で起こる事情が、全く考慮されていない。

 これではお客さんじゃなくても、声高に言いたくなる。
ったく、こういうとこがお役所仕事なのよね!


コメント
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