TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

ウツの治療

2012年02月13日 | インポート
12日のNHKスペシャルは、ウツの最新治療の紹介であった。
1か月でまるで別人に…などという、NHKらしからぬ副題に魅かれて見た。

ウツ病を扱った書籍は多い。
その中に、この病気の増加は、製薬会社の陰謀であるとする説がある。
苦労して良い薬を開発できれば、是非とも試したくなるのが、人情というものである。
それで熱心に医師に売り込む。
医師の方も、目の前に苦しんでいる患者がいれば、そして手持ちの薬の効用が期待できそうとあれば、
処方してみたくなる、というのも、自然な流れである。
一方には、こころの病そのものに対する抵抗感が薄れ、例え無意識にせよ、
「疾病利得」を得ようと、ウツと診断されたがる人々がいるとあれば、話は簡単。
ここに、需要と供給はマッチする。
皮肉なことに、いい薬ができればできるほど、ウツ病患者は増えるのだそうだ。

今回、番組では、ウツを客観的に診断する機械が紹介されていた。
これが一般化されれば、誤診を防げるばかりでなく、いわゆる、自称ウツ、なんちゃってウツ、
新薬お試し版ウツだのが減るだろう。
もしかして、若い人に増えてきた新型ウツそのものが激減するのではないだろうか。

1か月でまるで別人になったという治療法については、ドリルで脳天に穴を開けて、
電極を通すという方法や、外側から電磁を当てる方法があるという。
いずれも、薬に頼らないというか、薬が効かない場合の治療方法ということだ。

こういう治療法が開発されたり、脳の血流を調べることができたり、
感情を司る脳の部分が解明されたりしてくると、こころ、こころと言ったって、
所詮は脳神経の電気刺激反応であるということがわかる。
わかっているものの、そう簡単に割り切ってしまうのも何だか味気ない。
番組の締めくくりに紹介されていたのは、言葉による治療、つまりカウンセリングである。
ここに、脳という物質ではなく、こころというものの存在を見るような気がするのである。


コメント
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