TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

オリンピック

2018年08月21日 | インポート
 夏のオリンピックの東京開催が決まって以来、すべてがこの祭典と関連付けて回り始めた。
温泉を表すピクトグラフを外国人にもわかりやすく変更しようと候補にあがった図柄は、
まるで、人が釜茹でになっているかのようだ。
 日本文化を知ってもらういい機会なのに、そこまで媚びるとはね、
などと私はこの盛り上がりについていけない。
おいてけぼりをくったようでそれもおもしろくない。
 が、そういう私にも、心に残る場面がある。二十年近く前、
冬季オリンピック長野大会のスキージャンプである。
 私は昼休みに、職場近くのスーパーの電化製品売場にいた。
ちょうど団体戦が放送される時間帯だった。テレビの大画面には、横殴りの雪が映っている。
その中をついて三人目の原田選手が飛ぶ。
自動計測不可能なほどの飛距離をたたきだす。その前のオリンピックでは、彼の飛距離が伸びず、足を引っ張ったと聞いていた。
続いて船木選手が飛ぶ。着地の瞬間、メダル獲得がわかったのか、彼が雪の上に仰向けに倒れこむ。
「やったー」の声がこちらまで聞こえてきそうだ。
飛び跳ね抱き合う四人のメンバー。『泣き虫原田』のくしゃくしゃにゆがんだ顔――。
 ま、開会式ぐらいは見るかもね、などと距離を置きながらも、
あんな展開に立ち会える瞬間が再びあるかもしれない。
そういえば、船木選手が当時としては珍しく、眉を描いていて話題になったなんてことまで今も覚えている。  
期待しないぶん、余韻は大きいのだ。




コメント
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