風の森・・・ 鳥のお墓?
私はこの日 滝道に入り、一の橋から西側の山道に入り、
桜広場にでて一休みをしていました。
春たけなわの気候ですから、今日は新緑を求めて桜谷から
ささゆりコースを抜けて、六箇山の方までゆっくりと歩いてみよう
か・・・ と、出かけてきました。
とても良いお天気です。
エドヒガン桜はすでに散ってしまいましたが、今は八重桜が
満開です。
異常気象のお陰? か、4月下旬まで桜が楽しめるのも
めずらしい事です。
家の近くの桜ヶ丘では今、八重桜と新緑のイチョウの新芽とが
一緒にみる事ができますよ・・・
桜展望台から一休みして立ち上がったときです・・・
後ろに細い獣道があることを見つけました・・・
どこへ続いているのかな?
お天気のせいなのか・・・? また好奇心がわいてきました。
ちょっと寄り道していこうかな・・・ と、その藪の中に入って
いきました。
そんなに厳しい道ではありませんが、こうして道なき道に入って
いくのも久しぶりのことです。
年がいも無く、もう無茶はしない・・・ と、宣言したのは4年前の
事ですが、今日は何か心引かれるものがあり・・・
すぐ引き返すつもりで雑木林の中に入っていきました。
獣道はやがて尾根を目指しているようです。
このあたりには夜にはどんな動物がいるのでしょうか?
やがて岩場に出ました。
4年前の迷い時と違って、少しは方向性を磨いているつもり
なので、どのあたりにいるのかは大体分かっています・・・?。
やがて急に視界が開け尾根に出ました。
南側に大阪平野が一望できます。 180度見渡せます・・・
こんなに見晴らしのよいところはありません。 すごいです!
きれいだな~ と、しばし見とれていました。
近くにはミツバツツジが満開です。
樹木の新芽が太陽を浴びて生き生きとしています。
遠くではウグイスが ”ほー ほけきょ” と 鳴いています。
小鳥がいっぱい飛び交っています。
小岩に腰をおろして静かに目を閉じると風の音、それを受けて
ささやく葉の音、鳥の鳴き声・・・ 目を開けると新緑の若葉・・・
希望の景色です。
今日は予定を変更し、この森の尾根で浸ることにしました・・・
最高の気分です。
山の上からというより、天国から眺めているようです。
気持ちの良い、穏やかな春の森です。
先ほど回りを見渡して、いいな~ と 感激して至福の一時に
浸っていた時・・・
東の方に少し気になったところがあります。
あれは なんだろう?
なにか自然的ではないようなのですが・・・?
気になると元来、気の小さな恐がりですから、ますます気になって
きました・・・
振り返ってしっかりと目を凝らして見ました。
それは松の木の下にありました。
不自然に岩が積み重ねてあります。
こんな誰も来そうに無い所にも人が入ってきたのかな ?
重い腰をあげて探検? にいきました。
小岩が10個ほど積み重ねられ、その周りに手作りのお宮があって
、小さな写真がありました。
よく見ると鳥です・・・ オームのようですが・・・?
鳥のお墓だ!
それにしてもこのオーム? は、家庭で飼われていて、随分と
可愛がられていたんだろうな・・・
きっと、永年家族と共に過ごし愛されてきたんだろうな・・・と、
窺い知れました。
私も思い出すことがあります・・・
子供のころ、初めて自分で飼った十姉妹の小鳥 6羽の事です。
自分で作った鳥小屋の中で、横にはヒナから返ってまだ数日の
赤ちゃんも 3羽いましたが・・・
隣家から出火した火事はアッというまに自宅を全焼させ、勿論
あの鳥小屋まで小鳥達と共に跡形も無く焼けてしまったのです。
私は自宅がなくなった事より、可愛がっていた小鳥達の事の方が
可哀想で・・・ 悲しくて・・・
50余年経った今でも思い出すと涙が出てきます・・・。
可愛い生き物を失う事は、本当に悲しくて、辛いことですね。
言葉でなくとも、心と心が通い合うものがあっただけに、余計に
いとおしく、悲しいものです。 よく分かります・・・。
この オーム? も・・・
家族のみんなが悲しみの中、鳥の仲間達のいるこの森の尾根で
永久の眠りにつかせてあげよう・・・ と、ここへ連れてきて
あげたにちがいない・・・
そう思うと、思わず私は帽子をとり、両手を合わせたのでした。
あの時の、私の十姉妹の小鳥の親子たちを思い出してね・・・
それにしてもこんなに良い場所をよく見つけたものです・・・
ここにお墓を作ってもらったオーム? は、本当に家族みんなから
愛された愛鳥だったんだな・・・ と、しみじみと羨ましくなりました。
いつの日にか、私も天に昇った後で、時々こんな所へ降りてきて、
一休みしていきたいものです。 (笑)
遠くで鳴いていたウグイスが近くにきたようで、きれいな美声を
聞かせてくれました。
いいな~!
身も心もほのぼのとした温かさの中で、あらためて私の至福の
一時を過ごす事ができました。
私のお墓もこんな所がいいんだけどな・・・!
07-4・19 (完)