箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

猿の大家族!

2021-07-18 | *編集・夏/7月

猿の大家族!

 今日は箕面駅前から滝道を歩き、落合橋の先から右に折れ、姫岩から

地獄谷へ入りました。

梅雨の谷間の晴れ模様です。

見上げるとこの周りにはモミジの大木が沢山あり、新緑から濃い緑になって

きた葉に太陽が反射してキラキラときれいに輝いています。

横の渓流もいつもより水量が多く、岩に当たる水しぶきの音が気持ちのいい

リズムとなって森に響いています。

 

いったん箕面ドライブウエイに出ると、すぐ前の山道から再び地獄谷を上り

ます。

山道沿いにはシャガ(胡蝶花)が群生していて清楚な白い花が美しい。

しばらくしてこもれびの森へ向かう尾根道と谷道の分岐にでるので、今日は

尾根道へ向かいます。

左へ曲がったところで急に上のほうから ヒュー という鳴き声! 

見上げるとケヤキの大木の上に一匹の猿がいました。

見張り役か? 

仲間に合図を送ったのかな?   人間が来るぞ・・・! とかね?

 

以前、ババタレ坂で同じような光景で上を見上げたら突然水滴が降って

きた・・・

とっさに避けたがどうやら猿が私におしっこをかけたようだった。

近づくな!

そんな警告だと分かったのはその少し先で40-50匹の猿の群れが山のほう

へ移動中だったのです。

私は足止めをされて彼らが山のほうへ去っていくのを待っていた事があり

ました。

 

今日は何か・・・?

そのまま木の上の猿は静かなので、私は尾根道を上っていきました。

狭い山道から尾根に出ると周辺の山々が見渡せて気持ちがいい・・・

咲き遅れたモチツツジのピンクの花が一輪だけ咲いている。

ここは他に比べて松の木が多い・・・しかし、マツクイムシにやられたのか

枯れ木も目立ちます。

 

いろんな低い木々が茂る雑木林にやってきた時、前方の木の切り株の上に

大きな猿が座ってこっちを見ていました。

私は歩をゆるめてゆっくりと上ります。 堂々としたボス猿の様相です。

目を合わさないようにして横を通るとあちこちに猿達がいてこっちを伺って

いる。  どうやら猿の群れの中に入ってきてしまったようだ。

 

私の前を歩いている猿の下には小さな赤ちゃん猿がしっかりつかまってい

たり、逆に歩いている猿のお尻に乗っかっている小猿がいたり、小さな小猿

同士がじゃれあって遊んでいたり・・・視界に入るだけで20匹以上だ。

 

その時だった、突然ギャーギャーとすごい声で何匹かの若い猿達? が 

ケンカか? 遊びか? 分からないが騒々しく騒ぎ始めた。

あちこちで樹木の小枝がしなったりはねたりしている。

何事・・・!  自分の体が硬直してくるのが分かる。

でもしばらくして静かになった。   ホッ! とする!

 

周りの猿達は何も無かったかのように我関せず・・・いつもの事といった

感じ。

さっきのボス猿はというと・・・役目が終わったのか?  

切り株の回りにいつの間にか数匹のメス猿? が 取り巻き、寝そべる

ボス猿を囲んでかいがいしく毛つくろいをしている。

穏やかなものだ・・・

私は覚悟を決めてそこへ座り込んだ。

 

ゆっくりと回りを見渡すとまだまだ驚くほどの数の猿がいる・・・

私を受け入れたのだろうか?  

みんなは私を無視したかのように思い思いに行動している。

あの枯れ木の松の樹皮をバリバリ剥がして中の虫を食べているもの、

小枝の木の実をしきりにつまんでいるもの、

お母さん猿のオッパイを放さない小猿、

その横では眠っている子猿を抱いて自分もうつらうつらして半分寝ている

親猿もいる・・・

人間生活と同じような構図に苦笑する。

老年猿がたまに私の方をチラリと見るぐらいで、他は全く私を警戒していな

い様子です。

 

私も最初は恐かったが、そのうち慣れてきて、自分もこの猿達の家族か? 

なんて事は感じないけど、心は穏やかになって彼らを眺めていました。

すると急にまた・・・

今度は何か悪さをしたのか?   

体の大きな猿が、若い一匹の猿をすごい勢いで追いかけ始めた・・・

若い猿はキーキーといいながら逃げ回っている。

どうやら何か怒りをかう事をやったようだ。

賑やかな騒動があっても、あの親子猿は相変わらず私の前でウトウト居眠り

をしている。

子供猿は遊びに夢中だ。

 

私はその時なぜか信州・安曇野の田舎から大阪へ引っ越してきた子供の

ころの事を思い出していた。

その頃の大阪・下町の長屋での風情を思い出して急に懐かしいものを感じた

からだが・・・  隣近所はみんな仲間で家族のようだった・・・

子供の悪さへの注意もみんなでしていたし、喜びも、楽しさも、哀しみも、

怒りも、みんなで共有していたし、防犯や防災などもみなで助け合っていた。

温かい人情が下町全体にあって安心して生活していたように思う。

私はそんな古きよき時代の人間生活の縮図を垣間見ているような気がして

眺めていました。

 

 

まもなく私はゆっくりと腰をあげてこもれびの森へ向かいました。

振り向くとあのボス猿は恍惚気分でまだ寝そべっていました。

それにしても私の人生 一度でいいから・・・ あのような恍惚のハーレムに

浸ってみたいものだ・・・ なんて!   うらやましく思うのでありました。

 次の世では猿に生まれてこようかな !?

’13 7・8

 

 

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