箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

森で生き返る・・・!

2020-08-26 | *編集・夏/6月

森で生き返る・・・!

 今日は暑い一日です・・・ と 言ってもまだ梅雨らしくもなくこれからが

本番のようですね。

私は暑がりの寒がり屋ですから大変です・・・。

汗をかきつつ六箇山から 「ささゆりコース」 を経て 「山ノ神コース」 を

下りてきて 「桜広場の展望台」で一休みをしました。

ここから滝道西の山道を下りると箕面の駅まで15分ぐらいです。

 

展望台とは言うものの、回りの樹木が生長しすぎて遠望する事は

出来ません。

この場所へ来るといつも思い出すことがあるのです。

今日は私の印象に残っているお話を一つさせてください。

伝え聞いた話ですから、予めご了解ください。

 

もう何年も前のことです・・・

私は 「箕面観光ボランテイアガイド」 の講習を受けていて、この日は先輩と

共に何回目かの実習日でした。

(事情でガイド登録はしませんでしたが・・・)

帰り道にこの展望台で休憩となり、その時 同じ研修の同輩の方から 

この場所での体験 を お聞きした話なのです。

 

     *  先日、私がここで休憩をしようと思って立ち寄った時、先に

一人の年配の方がおられて声をかけましたら・・・ 

と、 同輩は話し始められたのです。

以下はそのときの再現話しです・・・・

 

 

・   この辺はよく歩かれているんですか?  

     *   ええ!  私は高槻からですが、毎週末になるとどこかの

          山を歩いています・・・

          でも、この場所は特別な場所でして・・・ 

それから話がはずみ、おじさんはこんな話をされたそうです。

 

* 「 私は3年前に経営していた会社を、相手の不渡りで倒産させてしまい、

 多くの人々に大きな迷惑をかけてしまいました・・・

 経済的にはどん底に陥り、家族にも苦しい思いもさせました。

 とりわけ長い間苦労ばかりかけてきた妻には・・・

 やっとこれから子供たちも独立したので老後2人でゆっくりと・・・と 

 思っていた矢先でした。

 もともと心臓の悪かった妻は、それらの心労がたたり1年前に

 亡くなりました。

 自分も後を追って死にたい・・・ と、あちこち死に場所を探してさまよい

 歩いていた時、終点の箕面駅に着き、どこをどう歩いたのか、この場所に

 来ていました。

 ここに長い間座っていました・・・

 そのうちゴロンと横になり、いつの間にか眠っていました。

 

 もう何日も寝ていなかったのに・・・

 さわやかな風、鳥のさえずり、静かな森に子守唄のような温かい空気・・・

 ふっと何かの気配で目が覚めたとき目の前に一匹のサルがいてびっくり! 

 それまで身近で猿など見たこと無いので恐怖の方が先でした。

 でもその猿は何をするでもなく、遠くを見たり、私を見たりして静かに

 寄り添ってくれているようでした。

 

 手すりには丁度、二羽の小鳥がとまって私の方を見ていました。

 遠くではウグイスが鳴き、風が涼しさを運んでくれています。

 樹木の緑が心を静めてくれています・・・ ここはどこ? 

 もう閻魔大王の入り口か?  違う!

 

 眠ってしまったのだが・・・なんだか心が安らいでいる・・・

 寂しいのに・・・そんな心も少し薄らいでいる・・・

 なんと口で言ったらいいのか?

 今までに無い心が癒されている感じがする・・・。

 

 すると急に涙が出てきて・・・なぜか横にいるお猿さんに・・・

 かあさん!  ありがとう・・・  大丈夫だよ!  

 オレはもう一度やってみるよ・・・

 

 やっと腰をあげ、背伸びをして思いっきり森の新鮮な空気を吸い込むと、

 何か新しい命をもらったような気がしました。

 もう一度生きてみようか?・・・ いや、生きよう・・・! と、決心した瞬間

 でした。

 

 あの日からもう一年が経ちました・・・

 この場所は私のこころの故郷です。

 あの時のお猿さんは、妻が励ましに来てくれたんだと今は確信しています。

 あれから介護の仕事を見つけて今は毎日頑張っています。

 そして休日にはこうして森を歩いています・・・妻と一緒にね! 」

 

そう 言って幸せそうに奥さんの写真を同輩に見せてくれたそうです。

 

 良かった! 

私は同輩からその話を聞きながらグッとくるものがありました・・・

ここを通るたびに、私にとっても忘れられない印象の深い場所となり、今日も

思い出してしまいました。

 

先日、あの富士山の青木ケ原樹海で、毎年沢山の方が自殺をされると言う

TV報道を見ました。

しかし、いったんはあの森の中に入っていったものの 森の精気 にふれて

思いとどまり、生き返り、新たな命を見出した方もまた多くいるのです。

森は人間の心を丸ごと包み込んでくれるカウンセラーでもあるんですね。

 

今日は少し重い話でしんみりしてしまいましたね・・・! 

でも、箕面の森 の 精気の中で生き返った一人の人間の、ドラマチックな

できごとには、心打つものがありました。

 それにしても かあさん! と呼ばれたお猿さんもビックリしたでしょうね ?

’13 6・3
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