日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

賃金上昇があってもそれ以上の物価上昇はあるだろう

2024年04月06日 17時37分31秒 | 日々雑感
 植田日銀総裁が3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除の決定をした。これに伴いイールドカーブ・コントロール(YCC)に基づく金融政策は中止したとのことだ。YCCの内容をよく理解していないが、これを基に債券の金利水準と返還期間の関係を比較検討しながら国債の金利をある一定の枠内に置くように管理するのだそうだ。

 金利と景気は密接に関わっており、これまでの日銀のゼロ金利政策は金利をほぼ零、あるいはマイナスに設定することにより金を借りやすくして景気を良くしようとした政策であったが、一般的に、消費が活発に行われて景気が良い時期は資金需要が高まるため金利が上昇し、一方、モノが売れず企業が経済活動を抑制する時期は資金需要が低くなり、金利は低下する傾向にあるのだそうだ。ゼロ金利状態は景気が悪くて自然になる場合と景気を良くしようとして人為的に設定する場合の両方があるのだから、経済はややっこしい。

 マイナス金利政策の解除による利上げの為日米の金利格差が和らぎ円安に歯止めがかかるとの期待もあったが、日銀総裁は記者会見で「当面、緩和的な金融環境が継続する」と強調した為、急激な金融引き締めを警戒していた市場に安心感が広がり、逆に円売りが勢いを増す結果を招き円安が進んだ。

 27日、外国為替市場で円安の動きが加速し、対ドルの円相場は一時、2022年10月につけた1ドル=152円を更に下回り、1990年7月以来、約34年ぶりの安値を更新してしまった。 国内投資家は、「低金利が当面維持される」との日本銀行の説明を概ね素直に受け入れてしまった。日銀総裁はそのように説明しても、実際には警戒感から円安が止まると期待していたのではないかと推察するが、どうであろうか。

 米国では歴史的な物価上昇を抑制するため米連邦準備制度理事会(FRB)が急ピッチで利上げをした結果、日米の金利差が拡大し、これが円安・ドル高の要因になった。しかし、日本ではなかなかデフレ状態から抜け出せなかったが、最近諸物価の上昇があり、日銀の目標2%を越えているが、賃上げの伴わない物価上昇は一時的な現象として金融緩和解除に二の足を踏んでいた。今年の春闘でこれまでにない大手企業の賃上げが実現されようやく日銀は解除に踏み切った。中小企業の賃上げはよく知らないが、全体として見た場合、賃上げ率は物価上昇率を上回ったであろうか。恐らく相変わらず物価上昇率の方が上であろう。

 異次元金融緩和により日本はGDPの2.6倍の借金を抱える国となった。10年前この緩和を始めた当初インフレが発生すると危惧していたが幸いなことに発生しなかった。なぜインフレにならなかったのであろうか。国がばらまいた金は企業を潤したが、一般庶民には関係が無かった為ではないだろうか。しかし、インフレになる下地は十分にある。今後賃金上昇が続いたとしても、それ以上の物価上昇は確実にあると思われる。2024.04.06(犬賀 大好ー997)

ETF購入後の後始末

2024年04月03日 18時48分49秒 | 日々雑感
 植田日銀総裁が先月3月19日の金融政策決定会合でこれまでの異次元金融緩和政策の終了を決定した。それに伴い2010年に開始した不動産投資信託(J-REIT)と、上場投資信託(ETF)の買い入れも終了したが、これら処置はこの日突然ではなく前々から徐々に進めていたようだ。

 2023年4月より日銀総裁に就任した植田氏はマクロ経済学などを得意とする経済学者だそうで経済のプロだ。自民党の安倍元首相と黒田前総裁が2013年4月から始めた大規模な異次元金融緩和政策は10年経過しその悪影響が顕在化し、この政策の停止が植田新総裁の下でいつどのような形で行われるか注目の的であった。その終了は経済に大きな影響を及ぼすと懸念され、新総裁は就任以来停止ではなく継続を示唆してきた。これは停止の影響の大きさを懸念していたのだろうが、筆者はこの優柔不断な態度にイライラしていたが、前々からその終了を軟着陸すべく気を使っていたのであろう。日銀によるJ-REIT購入は2022年6月の12億円が最後で、その後一度も実施していないようだ。ETF購入額も2023年は計2103億円と、異次元緩和の開始以降で最も少なかったそうだ。

 そもそもETFとは、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託で、誰でも参加でき、日銀は直接購入するのではなく運用会社を介して購入する仕組みになっているようでETFが保有する株式の企業への議決権はないとのことだ。その意味で企業活動に対する国の関与は無いと言うことらしい。

 異次元緩和の導入以降10年足らずで日銀の保有残高は国内ETF市場全体の約8割を占め、国内株式市場の約7%相当にまで膨張したそうだ。株式市場を通じて経済をてこ入れしようとし、これまで日銀は約37兆円のETFを買い入れており、時価は2024年1月末時点で約67兆円と推計され、含み益は約30兆円と巨額で、この額を鵜吞みにすれば国は大儲けしたことになる。

 アベノミクスの効果としてよく株高を宣伝しているが、ETFによる下支えの影響はそれなりにあったのであろう。すなわち日銀が株式を購入すれば政府がその安全性を保証していることにもなり、株高への誘導にもなるだろうから。日銀の株式の保有は企業の経営にも影響する懸念があるが、企業への決議権はETFの運用会社にあり日銀の関与の心配は無いとのことだが、運用会社は当然国からの委託であろうので、この言い訳は余り当てにならない。企業側は国の保護を当てにして企業努力を怠り、世界の潮流から取り残された懸念が残る。

 ETFの含み益は30兆円とのことであるが、これはあくまでも帳簿上の額で、買い手がn無ければ只の紙屑だ。到底同額で現金化することは無理だろう。経済通も、日銀が購入済みのETFやREITを今後どうするかについては、「放出する時が大変だ。急激にやってもらうと株式市場がめちゃくちゃになる」と懸念を示し、「徐々に解消していく方向で進めるのが良いのではないか」と述べたそうだ。アベノミクスにはこの類の話が多い。
2024.04.03(犬賀 大好ー996)


受験戦争が経済を発展させる側面があるが

2024年03月31日 15時46分34秒 | 日々雑感
 SNSの発展と共にクリエータなる人物が活躍する等、学歴不要の社会が徐々に広がりつつあると思うが、学歴が物言う社会は依然として存在し続ける。その為親は子供の内から少しでも良い学校に入れ少しでも良い企業に就職させようと受験戦争に参加させる。学歴が重視される企業は概して大企業や官庁であり、組織が大きいため人事が平準化され学歴が評価の重要な要素として残るからである。

 金のある親を持つ子供は早くから家庭教師や塾に通うことが出来るため、受験戦争に有利となるが、それでも入学試験は公平な基準の下に実施される公平な競争である。世の中いろいろな競争があるが、受験戦争ほど公平な競争は無く誰でも参加できる。

 経済発展の急な国では、貧しい若者は貧しさから抜け出すために受験戦争に勝とうと必死に勉強するが、逆にこの競争が経済を発展させる原動力になるのだ。社会の階級が固定化され、貧富の差が固定化され、競争する場が無くなると、社会の活力が無くなるだろう。経済発展の急速な国では、良い大学に入り、良い会社に就職し、高い収入や安定した生活を手に入るのが人生の目標となっている。

 受験戦争は小学校の入学前からあるが、本番は大学の入試試験である。それぞれの大学には独自の選考基準があるが、その選考の対象となるためには国の統一テストに受からなくてはならない。日本では共通テスト、中国では高考(ガオカオ)、韓国では通称スヌンと呼ばれる大学修学能力試験、そしてインドではJEEと称する全国共通テストがある。全国的に統一された共通テストにより、各大学は今まで実施が難しかった独自の小論文や面接を導入する余裕ができる非常に有用な選考システムとのことであるが、このことが受験戦争を一層厳しくしている側面があるのではないだろうか。欧米の国では統一テストの話を聞いたことがないが、その違いは何処から来るのだろうか。

 中国では都会に生まれ、親の代から金銭や人脈に恵まれている人は最初から勝者である一方、そうでない人や農村の若者はこの階層を超えることは至難の業である。しかし、難関の大学に合格すれば階層の壁を越えられる可能性があるため、必死で勉強するのだ。

 インドではカースト制度の影響もある。カースト差別は憲法で禁止されているとは言え、インド社会には今も強く残っており、特に農村部では被差別カーストが世襲の職業以外に就くのは難しいのが現状であり、都市部でのIT業界なら、職業カーストの枠を乗り越えて才覚と努力で社会的な成功と高給を手にするチャンスがあるそうだ。

 日本でも受験戦争が激しいと言っても中国やインド程では無いだろう。この競争が人間としてみた場合健全に作用するかは別問題であるが、経済的な面では競争の激しさが経済発展に繋がると思える。

 今現在中国は経済が不況で難関大学を卒業できても就職は希望通りにならない若者が増えており、インドでも激しい人口増があり若者の就職難が深刻な社会問題となっているそうだ。中国やインドの若者が日本に押し寄せた場合、日本の大学の真価が問われることになるだろう。
2024.03.31(犬賀 大好ー995)


学歴を必要としない社会はどこまで拡がるか

2024年03月27日 09時53分19秒 | 日々雑感
 少子化時代で誰でも進学できる環境になっていると思われるが、少しでも良い学校に入れ、少しでも良い企業に就職させたいと考える親も多く、受験戦争は一向に収まらない。一方では不登校の生徒も増え社会問題化している。不登校の原因として、勉強についていけない等があるが、勉強についていけない訳でもなく、友人とトラブルなどがあった訳ではないのに、なぜか学校に行きたくないと言う子どもも結構いるようで、学校の先生方も対応に苦慮していると聞いたことがある。また、少子化で子供を大切に扱う風潮が強く、これを反映してか、最近、無理をしてまで学校に行かないくていいという親も増え、ポジティブな理由で不登校になる生徒も増えているようだ。

 このようにして不登校となった学生の受け皿の一つとしてフリースクールや通信制の学校がある。フリースクールとは 一般に、不登校の子供に対し学習活動等の支援を行っている民間の施設を言い、その規模や活動内容は多種多様であり、独自な教育方針の下にされているようだ。通信制の学校ではレポート作成を中心に自宅で学習をし、最低限の登校日数で卒業出来るのだそうで、本人のやる気さえあれば、通学しなくともそれなりの知識や技術は身につくと思われる。

 これらの学校は不登校の学生の増加と共に今後もっとも増えていると思われる。ただし無気力が理由で不登校になっている学生に何かやる気を期待するのは土台無理な気もするが、何か本人にやりたいことがあるが今の学校の授業に合わなくて不登校になっている学生にとっては、これらの組織は大いに役に立ちそうである。

 最近はやりのクリエーターなる人物は、芸術、デザイン、音楽、映像、文学など、多岐にわたる分野で活動している。自身の視点や感性を活かし、既存の枠組みを超えた常識にとらわれない作品やサービスを創出する。文科省の統括する義務教育では同質の人間を育てることに重点が置かれているので、常識にとらわれない人間の育成には適している。

 またユーチューバーもクリエーターの一種かも知れない。その中にはインフルエンサーと呼ばれる数百万人のチャンネル登録者を持つ者も存在し、多くの視聴者の興味を引きつけ、楽しませてくれる憧れの存在ともなっており、当然学歴は無用だ。

 最近多様性とかインクルージョンなる言葉が使われ、個人の違いを認め合い、尊重し合う社会の実現が叫ばれているが、概して学歴を重視する社会は組織で動く社会であり、業務を遂行するのに効率が良いため、簡単には無くならないであろう。

 一方、クリエーター等の新しい仕事が増えており、学歴不要の社会も増えつつある。最近注目される生成AIなる人工知能がどちらに有利に働くか分からないが、世の中は急激に変化しつつあることは間違いない。
2024.03.26(犬賀 大好ー994) 

中国経済の立て直しのための融和外交は一時的な姿勢に過ぎない

2024年03月23日 10時21分34秒 | 日々雑感
 中国のGDPは1990年以降約25年間10%前後の高い成長率を誇ってきたが、2020年にはコロナ禍で2.2%と急落した。その後経済の立て直しを急ぎ、今年の中国の国会にあたる全人代では去年と同じ5%前後の高い経済成長率を目標としたが、若者の失業率増加、デフレの兆しなど失速する中国経済の厳しい実態は、かつて日本が経験した、バブル経済崩壊後と同様になりそうだ。

 中でもGDPの4分の1を占めると言う不動産市場は泥沼状態の不況に陥っている。主要都市の多くで、住宅価格の下落に歯止めがかからない状態となっており、中国の不動産大手・恒大集団が香港の裁判所から会社を清算するよう命じられているが、中国本土ではそこまで至っていないが不振に喘いでいることは間違いないだろう。加えて、不安定な経済状況を反映し若年層を中心に就職難が加速し、去年6月には若者の失業率が21.3%と過去最悪を更新したそうだ。

 中国経済の苦境の原因の一つは消費の低迷だそうだ。中国の国内事情はかっての日本同じデフレ状況になっており、賃金は上がらず国民の購買力が減っている。それが景気に悪循環をもたらしているのだそうだ。北京では、激安ファストフード店が連日にぎわいを見せているそうだ。

 日本のデフレ脱却は赤字国債の発行による経済への刺激策であるが、その結果国の借金は1千兆円を越しGDP比で約260%となってしまい、最近デフレ脱却となりそうな情勢とはなっているが厖大な負の遺産に今後苦しむことになるだろう。中国の債務残高は公式には約77%としているが、“地方政府の隠れ債務”があると言われており、それを足すとおそらく数年後には150%と程度になる見込みだそうだ。それでも日本よりマシな気がするが、そんな表に出ていない債務が経済の足を引っ張っている状況にあり、経済の立て直しは容易ではなさそうだ。

 更に中国は厖大な人口のため1970年代から30年以上一人っ子政策を取ったが、最近その影響で子どもの数が非常に減っており、2022年末時点で、中国にとって61年ぶりの人口減少になった。世界一の人口大国である中国は初の人口マイナス成長を迎え、人口増による景気促進効果の人口ボーナスはなくなりつつあり、これも経済低迷の原因だそうだ。

 また、中国はこれまで外国資本を積極的に導入し経済を盛り上げてきたが、今は海外の企業が習近平政権の締めつけ政策により“撤退”とは言わないまでも“様子を見る感じ”になっており、これも経済低迷の原因となっているのだそうだ。

 中国政府はこれまで国内の混乱を外部に敵を作ることにより国内を纏める戦略を取っていたが、経済浮上のため最近は習近平国家主席は中国の外交を融和的な方向へ変えつつあるのだそうだ。緊迫化する中東情勢への対応に専念したい米国とすれば、こうした中国の姿勢は大歓迎だが、ただ複数の専門家の話では、中国の軟化は長期的な外交政策転換のシグナルとは言えず、すぐに従来の様々な国際的軋轢が復活する公算が大きいと述べている。
2024.03.23(犬賀 大好ー993)