日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

宗教と自由

2015年02月07日 10時01分31秒 | 日々雑感
 イスラム教祖の風刺画をきっかけとしたフランスの連続テロの原因に関し、様々な意見がある。フランスの作家・哲学者のベルナールアンリ・レビ氏の意見である、「政教分離の下で、宗教を批判することは絶対の権利である」との主張は、いろいろ考えさせられる。
 そもそもヨーロッパ、特にフランスでは神から離れることで自由を得たとのことだ。ヨーロッパの歴史はキリスト教の歴史でもあり、長年にわたり宗教が支配し、宗派間の争いが絶え間なかったと学校で教えられた。18世紀末のフランス革命により、ようやく神から開放され「自由、平等、博愛」の権利を獲得したとのことである。そこにおいては、神を批判することや冒涜することも絶対的な権利であるとの主張も一理あるかなと理解できたような気になる。
 一方イスラムでは神と共にあることで自由になれるのだそうだ。イスラム教圏の国々は厳しい自然環境の下で肉体的な苦痛を神と共にあると意識することで精神的に救われるのであろうと、これも分かったような気になる。
 そもそも、自由とは何か。分かったつもりになっているが、上記のような議論になってくると、本当の自由が分からなくなってくる。我が日本では、憲法上政教分離の立場であるためか、統一教会をはじめとする新興宗教や創価学会に対する批判を公然と行っても法律上の規制は無いし、社会的にも許されている。そこまではフランスと同じであるが、冒涜することまでは社会的には許されない風潮がある。自由にも限界があることを自然に身に付けているのだと言えば格好よいが、本当の自由を知らないだけかも知れない。昔から、武士の情け、惻隠の情、謙譲の美徳等、相手を追い詰めないことを良しとする文化があり、これが冒涜を良しとしないことに繋がっているのかも知れない。
 フランスでは、人種差別や殺人の呼びかけ、反ユダヤ、名誉を傷つける表現は法律が禁じているのだそうだが、法律で禁止していること自体が不思議な気がする。フランスは、国民の7%がイスラム教徒であるような多民族国家であり、道徳的な価値判断を個人に任せるとまとめ切らないと言うことかも知れない。(犬賀 大好-100)

時間外労働を考える

2015年02月07日 09時38分50秒 | 日々雑感
 1月16日、年収1075万以上で高い職業能力を持つ人を対象に、労働時間と賃金を切り離し、「残業代ゼロ」とする新しい制度を盛り込んだ報告書の骨子案を厚生労働省はまとめた。国税庁の2013年の統計では、1000万円を超える給与所得者は全体の3.9%に当たるそうだから、残業代ゼロ層はまだ一部のようだ。この制度は、経営者側には経費削減となるため大歓迎であろう。残業代がなくなれば、経費を増やさずに仕事量をどんどん増すことが可能になる。一方労働者側にも手当てがなくなれば、時間外労働を少なくしようと効率よく仕事をするようになる利点があるとの説明である。
 そもそも、日本では労働時間の概念が曖昧である。一応、上司から命じられた仕事をしている時間が労働時間となっているであろうが、新入社員やアルバイトはともかく、一日単位で仕事を命ぜられることは無い。報酬額が高い人は一年単位ともなろう。その間、時間の使い方は個人に任せられる。また、営業職であれば自主的な顧客との飲酒も仕事すなわち労働時間であろうし、研究職であれば横になって考えることも仕事であろう。
 また、私の平社員時代には時間外労働は上限10時間で、後はサービス残業であった。労働時間の曖昧さはあったが、時間外労働代が十分支払われて来なかったとの現実があるのではないか。この状態は、昨今のデフレの時代、更にひどくなっているかもしれない。
 報酬は本来その人のなした仕事の成果に対して支払われるべきもので、すなわち成果主義で行われるべきであろう。20年ばかり前、成果主義が流行ったが会社内の共助の風潮が損なわれる弊害が生じたため、見直されているようである。やはり、“和をもって尊しとなす”日本では成果主義は無理かもしれない。
 年収1000万円を超える職業とはかなり特殊な才能を有する職業と思われ、そこに従事する人は自らの才覚で自由に仕事が出来るであろう。その意味から、時間外労働を少なくしようと効率よく仕事をする人も少なからず居るであろう。 この層にこそ成果主義を導入すべきかも知れない。しかし、年収額の上限がどんどん引き下げられる傾向にあるようであり、そうなれば仕事量が増えても不満を口に出せない人々が増えてくると懸念される。1000万円を超える人の残業代をゼロにするのであれば、少なくとも、これ以外の人に対しては残業代を上限無く払う約束が無くてはならない。(犬賀 大好-99)