週刊誌、東洋経済の特集、”隠れ移民大国ニッポン” によると、最近の日本は、訪日観光客だけではなく、日本に住み、働く外国人が着実に増えているのだそうだ。2017年には在留外国人は247万人で過去最高とのことだ。
今年3月の始めのウイークデイに京都を訪れた知り合いが、静かな京都を期待していたが中国人を始めとする外国人でごった返していたと嘆いていた。また、都会ばかりでなく地方の観光地の飲食店で働く外国人も珍しくなくなった昨今の日本であり、東洋経済の指摘を実感する。
働く外国人が増えたと言っても、就労ビザを持つ人はその内18%に過ぎず、残りは技能実習生、留学生、日系外国人とのことだ。すなわち日本は、飲食店の店員や建設作業員のような単純労働をする外国人には、就労ビザが給付されていないのだ。人手不足が日本経済の最大のボトルネックになっているようだが、日本の外国人政策の基本方針は「単なる労働者不足への対応として、外国人の受け入れを考えることは適当ではない」という1990年代の方針を踏襲したままなのだ。
また、政府は先日の閣議で、外国人の無期限の定住を前提とした移民政策は採らない方針を示した答弁書を決定したそうだ。そこでは「国民の人口に比して一定程度の規模の外国人を家族ごと、期限を設けず受け入れることで国家を維持する政策を採ることは考えていない」と記されているそうだ。
厚生労働省が今年1月に発表した2017年平均の有効求人倍率は1.50倍であり、人手不足状態が続いており、特に建設、運輸、介護サービス等で目だっているようである。国家を維持するためには、単純労働者も相当数必要かと思うが、この不足状態に日本の技能実習制度が大いに貢献しているようである。長野県上川村はレタスの産地として有名であるが、繁忙期には村民の1/4が技能実習生に占められているとのことだ。
技能実習制度とは、日本の優れた諸々の技術を発展途上国の人々に教え、その技術を自国の発展に役立ててもらおうとする高尚な目的の下に作られたが、現実的には人手不足を補う役目を果たしているのが大半のようである。
法務省によると技能実習生は2017年6月末時点で25万1721人だそうだが、一方失踪者は3205人、半年間で3千人を超えたのは初めてだそうだ。高尚な目的の実習制度も、現実的には日本では割安な労働力、外国人にとっては金儲けが目的と考える人が多く、様々な問題を起こしている。失踪者が多いのも、携帯電話が普及した今日頻繁な情報交換で、高い報酬を目指して秘かに逃げ出すのだろう。
格安な労働力と考える受け入れ企業は、技能の勉強の名の下、長時間労働や賃金不払いといった労働関係法令の違反を繰り返しているとの話だ。
そこで外国人技能実習制度の適正実施法が昨年11月に施行され、新設した外国人技能実習機構が受け入れ先などを監督し、技能実習計画を審査、認定する体制を整備した。
この新設の機構の中身をよく知らないが、日本の労働者を守る労働基準局と同じような役目であろう。日本の職場におけるいわゆるサービス残業は常識化しており、余程ひどい違反でもない限り労働基準局は動き出さない。そこで、新設の機構が20万人を超える現実習生をちゃんと守ることが出来るとは到底思えない。
また、適正実施法では、滞在期間を3年から5年に延ばし落ち着いて仕事に取り組めるようにするとしているが、3年では技術習得が出来ないとの理屈であろうが、そもそも本来の技能実習が行なわれているのか甚だ疑問である。単に安価な労働力を長期間使用したいとの経営側の意向だけではないだろうか。
技能実習制度が本来の目的を達成し、母国における産業活動に寄与していることであれば、政府はもっと胸を張って広報すべきであるが、余り聞こえてこない。
技能実習生は非正規労働者の雇用と全く同じで、不況になった場合、簡単に首に出来る。経営者側から見ればまことに都合の良い制度である。単純労働のための移民政策を採用しない日本政府は、外国人非正規労働者を技能実習に名を借りて、実行しているだけと思えてくる。
トランプ大統領のアメリカファーストがとかく槍玉に挙げられるが、技能実習制度はジャパンファーストの制度だ。
2018.03.10(犬賀 大好ー423)
今年3月の始めのウイークデイに京都を訪れた知り合いが、静かな京都を期待していたが中国人を始めとする外国人でごった返していたと嘆いていた。また、都会ばかりでなく地方の観光地の飲食店で働く外国人も珍しくなくなった昨今の日本であり、東洋経済の指摘を実感する。
働く外国人が増えたと言っても、就労ビザを持つ人はその内18%に過ぎず、残りは技能実習生、留学生、日系外国人とのことだ。すなわち日本は、飲食店の店員や建設作業員のような単純労働をする外国人には、就労ビザが給付されていないのだ。人手不足が日本経済の最大のボトルネックになっているようだが、日本の外国人政策の基本方針は「単なる労働者不足への対応として、外国人の受け入れを考えることは適当ではない」という1990年代の方針を踏襲したままなのだ。
また、政府は先日の閣議で、外国人の無期限の定住を前提とした移民政策は採らない方針を示した答弁書を決定したそうだ。そこでは「国民の人口に比して一定程度の規模の外国人を家族ごと、期限を設けず受け入れることで国家を維持する政策を採ることは考えていない」と記されているそうだ。
厚生労働省が今年1月に発表した2017年平均の有効求人倍率は1.50倍であり、人手不足状態が続いており、特に建設、運輸、介護サービス等で目だっているようである。国家を維持するためには、単純労働者も相当数必要かと思うが、この不足状態に日本の技能実習制度が大いに貢献しているようである。長野県上川村はレタスの産地として有名であるが、繁忙期には村民の1/4が技能実習生に占められているとのことだ。
技能実習制度とは、日本の優れた諸々の技術を発展途上国の人々に教え、その技術を自国の発展に役立ててもらおうとする高尚な目的の下に作られたが、現実的には人手不足を補う役目を果たしているのが大半のようである。
法務省によると技能実習生は2017年6月末時点で25万1721人だそうだが、一方失踪者は3205人、半年間で3千人を超えたのは初めてだそうだ。高尚な目的の実習制度も、現実的には日本では割安な労働力、外国人にとっては金儲けが目的と考える人が多く、様々な問題を起こしている。失踪者が多いのも、携帯電話が普及した今日頻繁な情報交換で、高い報酬を目指して秘かに逃げ出すのだろう。
格安な労働力と考える受け入れ企業は、技能の勉強の名の下、長時間労働や賃金不払いといった労働関係法令の違反を繰り返しているとの話だ。
そこで外国人技能実習制度の適正実施法が昨年11月に施行され、新設した外国人技能実習機構が受け入れ先などを監督し、技能実習計画を審査、認定する体制を整備した。
この新設の機構の中身をよく知らないが、日本の労働者を守る労働基準局と同じような役目であろう。日本の職場におけるいわゆるサービス残業は常識化しており、余程ひどい違反でもない限り労働基準局は動き出さない。そこで、新設の機構が20万人を超える現実習生をちゃんと守ることが出来るとは到底思えない。
また、適正実施法では、滞在期間を3年から5年に延ばし落ち着いて仕事に取り組めるようにするとしているが、3年では技術習得が出来ないとの理屈であろうが、そもそも本来の技能実習が行なわれているのか甚だ疑問である。単に安価な労働力を長期間使用したいとの経営側の意向だけではないだろうか。
技能実習制度が本来の目的を達成し、母国における産業活動に寄与していることであれば、政府はもっと胸を張って広報すべきであるが、余り聞こえてこない。
技能実習生は非正規労働者の雇用と全く同じで、不況になった場合、簡単に首に出来る。経営者側から見ればまことに都合の良い制度である。単純労働のための移民政策を採用しない日本政府は、外国人非正規労働者を技能実習に名を借りて、実行しているだけと思えてくる。
トランプ大統領のアメリカファーストがとかく槍玉に挙げられるが、技能実習制度はジャパンファーストの制度だ。
2018.03.10(犬賀 大好ー423)