米国ホプキンス大学の発表によれば新型コロナウイルスに感染が確認された人は、10月1日時点で、世界全体で約3400万人となったそうだが、まだその比率は0.44%程度だ。米国が第1位の744万人で、第2位はインドの623万人だそうだが、先進国の米国と開発途上国のインドがなぜ共に多いのか不思議だ。
ニューデリーのインド医学研究評議会は9月29日、国内で新型コロナウイルスの抗体検査を実施した結果、これまでに感染した人は6300万人以上に及ぶ可能性があると発表した。もし本当だとすればインドの実際の感染者はホプキンス大学発表の約10倍になる。米国とインドは同じように感染者数が多いが、実は単に検査数の違いにあるようでインドの感染者数は途方もなく多いのだ。
インドの抗体検査は全国700以上の村落や行政区に住む約3万人を対象に、8月中旬から9月中旬にかけて実施され、インド政府の最新の国勢調査を基に統計計算すると、感染者の累計は6400万人に達することになるようだ。
発展途上国では医療体制が不備なためPCR検査が幅広く行われず、隠れ感染者が多いことは予想されるが想像以上だ。所で、ホプキンス大学の調査によると、アフリカ大陸全体の累積感染者数(9月26日時点)は145万人とのことだ。アフリカ諸国の多くはインド以上に医療設備が整っていないと思われるので10倍以上のすなわち1450万人以上の隠れ感染者がいるのではないかと推測する。
10月6日、世界保健機関(WHO)の健康危機管理プログラム責任者は、WHO本部で開かれた執行理事会で、世界人口の10%が新型ウイルスに感染したとの推計を明らかにした。計算方法は分からないが世界の人口を約77億人とすると、7億人程度の人が感染したと思われ、ホプキンス大学の集計の約20倍となる。集団免疫を獲得するためには60~70%の感染者が必要と言われているので、感染拡大はまだまだ続くと思われる。
WHOは過去24時間の新型コロナウイルスの新規感染者が9月13日、30.8万人に、10月9日には33.8万にとなり、過去最高になったと発表したが、感染が拡大していることを示している。
さて、中国の累積感染者数は10月13日現在9.8万人である。3月の始めには約8万人であったことを考えると、不思議なことに僅かしか増えていない。中国の発表には細工が施されて居ると思われるが、10倍としても100万人程度で、それにしても少ない。この点で中国の感染症対策には学ぶべき点も多いと思われるが、その第1は徹底した検査である。
中国の青島で新たに感染者が確認されたことを受けて、青島の地元当局は、10月12日、900万人余りの全市民を対象に5日以内にPCR検査を行うと発表しており、13日朝8時の時点で、すでに300万人余りの検査を済ませたとし発表している。中国では、7月に遼寧省大連や新疆ウイグル自治区のウルムチで感染者が見つかった際などにも大規模なPCR検査を行って、感染拡大を抑えたそうだ。
これほど大規模な一斉検査をするためには、莫大な資金とマンパワー及び厳しい規制が必要と思われるが、開発途上国ではいずれも期待できない。このような状況の中、オリンピック開催と浮かれている場合で無いと思うが。2020.10.17(犬賀 大好-644)