新型コロナウイルスの感染爆発に備え、本年1月9日から始まる3連休に合わせて、1都3県に緊急事態宣言が発せられた。これに先立ち、年明け早々の5日の一部の朝刊スポーツ紙に東京五輪・パラリンピックの組織委関係者や複数の大会関係者から、緊急事態宣言再発令なら開催は非常に厳しい状況、との発言が漏れ聞こえてきたとの内容の記事が報じられたそうだ。
世論調査では再延期や中止の声が半数以上とのことであるが、組織委を始め大会関係者は外見的には開催に猪突猛進であり、開催への強迫観念に駆られているのか、あるいは上からのかん口令が余程厳しいのか、不思議に思っていたが、関係者の間でもやはり開催困難とするムードが漏れ出てきたようで、至極当然の気がする。
これまで菅首相を筆頭に政府関係者は何が何でも実行する感である。自民党の二階幹事長も1月5日の記者会見で、今夏に予定される大会について、党として開催促進の決議をしてもいいくらいだ、と述べ、周囲を威圧した。
二階氏はスポーツ振興は国民の健康にもつながるとその必要性を訴えたが、コロナ感染による健康被害は問題外のようである。二階氏も本気で半年後にはコロナが完全に制覇されると思っていないが、兎も角実行しないことには経済損失が余りに大きいことが頭にあるのであろう。
開催が中止された場合、政府や東京都は大混乱になるのは必須であるが、大手広告代理店の株式会社電通が倒産するとの噂もある。それだけ電通は東京五輪開催に深く関わっているのだ。電通は2013年、東京五輪招致委員会の口座に約6億7000万円を寄付として入金し、更に、日本陣営を代表する形で、開催都市決定への投票権を持つ一部のIOCメンバーに対するロビー活動を主導したとの話だ。
東京五輪には様々な企業がサポート企業として名乗りを挙げている。ネット上にもゴールドパートナー等の企業名が列挙されているが、これらを纏めている組織の名前が見当たらない。恐らく取りまとめの責任は組織委員会にあるのだろうが、実質的には電通が取り仕切っていると推測される。
電通は東京五輪に関して余り表に出て来ないが、政府に深く関わっていると思われる出来事があった。五輪には直接関係無いが、コロナ禍における”持続化給付金事業”の受託を巡り、昨年4月、経済産業省は競争入札で一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)への委託(769億円)を決めた。このサ協は2016年に経産省の肝入りで設立された一般社団法人である。
ところが、サ協は20億円を手元に残し、前述の電通に749億円で再委託したそうだ。しかも電通は子会社5社に再々委託し、電通子会社からは更に外注された。持続化給付金事業は経営に困難を来たしている中小企業を緊急に支援する筈であるが、手続きに遅れが生ずる等の対応に不満の声が上がったそうで、政府、サ協、電通の関係に癒着疑義が生じている。
オリンピックは金儲けの種と化している。東京五輪が中止になった場合、電通倒産の噂もあながち嘘では無いと感ずる。
2021.01.13(犬賀 大好-669)