日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安倍元首相のくびきが無くなった特捜部はどこまでやるか

2024年01月10日 09時22分05秒 | 日々雑感
 東京地検特捜部が自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる事件で、派閥からおよそ4,800万円のキックバックを受けたとみられる池田衆議院議員を1月7日に逮捕した。

 これに先立ち同特捜部は昨年12月28日には東京都江東区長選をめぐる公職選挙法違反容疑で、衆院議員の柿沢前法務副大臣を逮捕している。柿沢議員の事件は個人の起こした事件であるが、池田議員の事件は政治資金が絡む事件で自民党、特に安倍派全体が関係し、安倍派のみならず自民党が分裂する可能性がある事件と解説する識者もいる。

 岸田文雄首相は4日、官邸で年頭記者会見を開き、自民党派閥による政治資金パーティー裏金問題を受け、新たに設ける政治刷新本部を通じて自民党の体質を刷新すると述べたが、同本部の最高顧問には、首相経験者の菅義偉氏と麻生太郎副総裁を据えると聴き、刷新も中途半端に幕引きされると確信した。この顧問の二人は安倍長期政権の重臣で、政治資金を巡る不祥事の温床を作った張本人と見られ、派閥のあり方等抜本改革を目指す体質刷新には一番不適切な人間と思われるからである。

 安倍派の主要幹部は特捜部の任意聴取を受け、更に逮捕者が出るに及び、派内には人身御供だという不満が募っているようだが、当面は岸田首相の判断に従わざるを得ない状況だ。安倍派閥の会長も決まらないまま幹部間の綱引きが続いていたが、裏金問題の急浮上で益々分裂に向かう可能性が大きくなったようだ。

 岸田首相は13日の記者会見で何時ものように、先頭に立って戦っていく、と述べたが、積極的に動く気配は感じられず、自分が何をしなくても安倍派が自然崩壊するだろうと心待ちにしている感である。また自民党の刷新の責任は前述の二人の顧問に取ってもらおうとする考えではないかとも勘繰る。本当にそこまで考えているとすれば、岸田首相は普段の自信の無い言い方に似合わない腹黒い策略家だ。

 自民党の主要な派閥は2021年までの4年間にあわせておよそ4000万円分の政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとされているが、桜を見る会の問題は2019年の事件であり、この頃から安倍一強政治の驕りが高まったと考えられる。

さて、これ程までに自民党、特に安倍派が問題を起こしている原因の一つは、桜を見る会等で不祥事を起こしているに拘わらずいずれも不問に付した検察特捜部にあると思われ、ここにきて特捜部が積極的に動いているのは安倍元首相の死と関係があると思わざるを得ない。

 2020年5月、賭けマージャン問題が浮上したことで、当時東京高検検事長であった黒川氏は辞任したが、検事総長に就任するとの噂もあった。さて、2021年、前年まで法務大臣を務めていた河井氏が東京地検特捜部によって公職選挙法違反の容疑で逮捕され、更に同年9月に持病の再発を理由に安倍氏が首相を辞任し、2022年7月に街頭演説中銃撃を受けて死亡したことで、特捜部の動きが一層活発になったようにみえる。

 黒川氏の辞任がターニングポイントになった感があり、やはり安倍政権と検察庁あるいは法務省の間で様々な駆け引きがあったのではないかと思わざるを得ない。安倍元首相のくびきが無くなった特捜部がどこまでやるか見物である。2024.01.09(犬賀 大好ー975)