日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

リチウム・イオン電池の性能向上が望まれているが希望があるのか

2018年12月26日 09時35分04秒 | 日々雑感
 スマートフォンはその便利さから急激に広がっている。しかし、災害時等に群れをなして充電する風景を見るにつけ、電池の性能向上が強く望まれる。

 現在高性能電池としてはリチウム・イオンリチウム電池が主流であり、現時点で将来を有望視されるのはこの全固体化である。電池の基本構造は、正極と負極の間を電解質が満たしている構造である。電解質としては現在液体が主流であるが、この液体の代わりに固体材料を用いるのが全固体電池と呼ばれる。

 その特長は、安全性が高い、高温や低温での特性が高い、等があるそうだ。単位重さ当たりの出力の大きさであるエネルギー密度も高いようであるが桁違いの高さは望めないようだ。

 全固体化は30年以上も前から国内外で開発が進められてきているようではあるが、量産が難しかったり、製造に時間かかる等の技術的課題をなかなか克服できなかったようだ。しかし最近、トヨタ自動車と東京工業大学などは共同で、エネルギー密度が既存のリチウムイオン電池の2倍となる全固体電池の試作に成功したそうだ。

 この電池を電気自動車(EV)に搭載すれば、約3分で充電できる可能性もあると言う。現在ガソリン車に比べ、走行距離が短いのが欠点とされているが、簡単に充電できるとなれば、充電頻度を増やすことで走行距離の短さを克服できるとの楽観論も聞こえる。しかしこの為には充電設備の拡充が必要であり、簡単なことではない。

 また、スマートフォンの充電間隔をせめて1週間に1回程度にするためには、少なくとも5倍程度の性能向上が必要ではないだろうか。

 先述のトヨタ自動車の他にも多数の日本企業や世界の企業が全固体電池の開発にしのぎを削っているとのことだ。”必要は発明の母”であるから、そのうち実用化されるとの楽観論も聞こえる。

 しかし一方では、リチウムイオン電池の性能は限界が近づいていると言われている。固体化されてもエネルギー密度は2~3倍程度らしい。また、エネルギ密度と安全性はトレードオフの関係にあり、高密度化よって発火等の事故が増えると懸念されるそうだ。

 2013年に発生したボーイング787のバッテリー発火問題とか2016年のサムスンのスマホ発火事件もこの種の原因が背景にあるだろう。

 このような背景から、ポストリチウムイオン電池の開発が活発化しているそうだ。リチウム硫黄電池、空気電池、電気二重層キャパシタなどの次世代の蓄電技術が候補に挙がっているが、最も有望視されるのはリチウム空気電池のようだ。

 リチウム空気電池は、理論上あらゆる二次電池の中で最も高いエネルギー密度を有するとされているそうで、物質・材料研究機構の研究チームは、リチウムイオン二次電池の15倍の容量を持つリチウム空気電池の開発に成功したそうだ。

 この研究開発に関して、ソフトバンクは2年間で10億円を超える研究費を出資し、研究員約50名が参加する研究拠点を新たに設立し、2025年ごろの実用化を目指すという。さすがに孫会長は先を見ていると感心する。

 兎も角、高性能な電池を必要としている分野は広い。EV自動車を始め、ドローンによる宅急便や空飛ぶタクシー構想などもどんどん提案され夢も膨らむが、今の電池性能のままでは構想倒れに終わるだろう。2018.12.26(犬賀 大好-506)

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