日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

宇宙への進出ビジネス

2016年10月22日 10時26分19秒 | 日々雑感
 今から約76億年たつと太陽は赤色巨星となり、地球を灼熱地獄とし干からびさせ、熱くて生物の住めない場所へと変えるだろうと予測されている。しかし、そうなるより遥か前に人は住めなくなるだろうと予測する人も大勢いる。地球温暖化による環境悪化もその一つである。兎も角人類滅亡の危機は早晩やってくる。

 人類が辿る道は2つしかない。ひとつは地球に永久に残って滅亡を待つこと、あとひとつはどこかの惑星に移住すること、であると。SpaceX創業者イーロン・マスク氏が今年9月の国際宇宙会議でこのように語り、火星移住計画の詳細を明らかにしたそうだ。プレゼンテーションは壮大な計画で驚きの連続であったそうだ。

 1人当たりの打ち上げ費用を約2千万円以下を目指し、早ければ2020年代前半に初号機を打ち上げ、火星に都市を築く構想とのことである。計画では火星に1回200人×1,000回に小分けにして人類を送り込み、だいたい40年から100年かけて、完全自給自足の文明が火星上にできる様にする。予算は、ざっと100億ドル(約1兆円)もあれば間に合うのだそうだ。

 火星のイメージは、極めて薄い大気や表面上には水が存在しない不毛の大地であり、現在の地球上どこを探しても火星以上の過酷な所は無いように思えるが、それでも移住しようとする人が居るのであろうか、他人事ながら心配する。それとも何年か後には、地球上も火星以上に酷い環境になっていると予想しているのであろうか。手塚治氏の漫画の世界としては興味をそそる話であるが、イーロン・マスク氏はこれを実行に移すとは気が触れたとしか思えない。しかも、着々と計画を進めているのだ。

 更にSpaceX社はファルコン9ロケットの第一段階を3つ束ねた「ファルコン・ヘビー」の初打ち上げを年内にも計画しており、そして、再来年には火星へと民間初の探査機を送り込む予定だそうだ。

 さて、これまで宇宙開発とは、米国航空宇宙局(NASA)や日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)のような国の機関のみが行う事業だと思われていた。NASAは、スペースシャトルを老朽化と運用コストの高さから2011年に中止し、国際宇宙ステーション(ISS)への輸送手段を民営化路線へ転換していた。

 NASAの興味は月からもっと以遠の惑星へと移り、火星探検もNASAの仕事と思っていたが、SpaceX社はISSへの移送ばかりでなく、火星への移住まで計画しているとは驚きである。

 火星移住にしても、あるいは宇宙観光にしてもビジネスとして成功する第1歩は、打ち上げコストの低減であろう。SpaceX社は今年5月にファルコン9ロケットを打ち上げた。その後第1段目の機体を洋上の船の甲板に軟着陸させ、無事回収した。そして今年秋ごろにも、一度打ち上げに使ったロケットの再使用を行いたいと表明しているが、10月22日現在、実行されとの報道はない。

 また、今年9月にファルコン9ロケットは打ち上げ前試験で、大爆発を起こしたとのことである。このロケットが回収、再利用されたロケットかどうかは不明である。新たな挑戦に失敗は付き物である。これ位は想定内の話であろう。

 NASAは、30年代に目指す火星への有人探査等のための超大型ロケット(SLS)の開発を進めているようであるが、SpaceX社との関係はよく分からない。同社は、ISSの物資補給も請け負っており、恐らく緊密な関係の下、切磋琢磨しているのであろう。

 一方、中国は日本時間の今月17日に、2人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船「神舟11号」を打ち上げた。その後、先月打ち上げられた無人の宇宙実験室「天宮2号」とドッキングし、長期滞在する予定だそうだ。

 中国や日本では国家事業として宇宙開発を行っているが、米国ではビジネスとして宇宙開発が成り立とうとしている。中国の宇宙進出は安全保障上大きな問題と騒がれているが、米国は一歩、二歩先を行っている感がする。2016.10.22(犬賀 大好-279)

コメントを投稿