日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ワンイシュー政治家の正体

2019年08月14日 08時31分57秒 | 日々雑感
 今回の参議院議員選挙で、一つの課題に的を絞った「NHKから国民を守る党(N国党)」や「安楽死制度を考える会」が名乗りを挙げ、前者は1議席を獲得し、後者は議席を得ることが出来なかったが何万もの票を集めた。このように一つの課題に的を絞り主張する政党はワンイシュー政党とも呼ばれる。

 ワンイシュー政党が獲得票を伸ばしたのは、SNSの発達で誰でも安い費用で自己主張が出来き、論点が分かり易い点にあったためと思われる。

 超高齢化社会あるいは格差社会の中で既存の政党はあらゆる面で行き詰っており、選挙演説でも従来の政治家、特に自民党の政治家は美辞麗句を並べるだけで何を主張しているか分からない背景もある。

 国内問題では、老後2000万円を含む年金問題、GDPをはるかに超える国の借金に関する財政立て直し問題、アベノミクスの出口問題等、また外交では、北方4島、竹島、尖閣諸島に関する領土問題、米国や韓国に対する貿易問題等、目白押しだ。最大野党の立憲民主党の主張もこれらの問題に有効な解決策を打ち出せていない。

 この点、ワンイッシュー政党はこれまで顧みられなかった課題に目をつけ、それだけに解決策を示すだけで良いので楽だ。また、政見放送でも人目を引くために、「N国党]の立花党首は、NHKをぶっ潰すと身振りたっぷりにテレビに登場するのも吉本興業のお笑い芸人張りである。

「安楽死制度を考える会」は、自分で自分の最後は決められるという安楽死制度の導入を求めている。安楽死に関し公約に掲げる党は他に無く、これからの高齢化社会には避けて通れない重要な課題ではある。

 しかし死に関しては様々な意見があり、日本国民全般に関心が低いというより、論点が少し一般的過ぎ、もっと刺激的に、”死にも自由を”とでも宣伝すれば、もっと票が集まったかも知れない。

 ワンイシュー政党は、それ以外の問題に対する考えが明確で無いことが最大の問題だ。例えば立花議員はNHKのスクランブル化に協力してもらえれば、憲法改正に賛成の立場にまわる、との趣旨の発言をしているのだ。更に、政党交付金の増額を狙い他の議員に参加を呼びかけたり、NHKの受信料を8割払うと早くも現実に妥協したり、何をしでかすか分からない。

 また、北方4島を戦争で取り戻す的な発言をした丸山穂高氏の入党やじり貧状態の「みんなの党」を率いる渡辺喜美氏との院内会派立ち上げる等、1っ匹狼的な人間の意見が纏まるとは思えないが、逆に集団で何をするか分からない怖さがある。

 しかし、ワンイシュー政党はあるひとつの問題に関しては訴えやすく、今後様々な面で出て来るであろう。例えば、「森友、加計学園問題の真相を追及する会」、原発事故の責任を問う「東京電力をぶっ潰す会」等、ワンイシュー政党は国民の不満の捌け口になる可能性がある。
2019.08.14(犬賀 大好-572)

政治家の芸人並みのパフォーマンス

2019年08月10日 09時14分29秒 | 日々雑感
 臨時国会開催の日、カメラを前に”NHKをぶっ壊す”と何度となく決めポーズを見せていたのが比例で約99万票を集め、今回の参院選で初当選した、”NHKから国民を守る党”の立花孝志党首だ。まるで吉本興業のお笑いの芸人だ。

 氏は、NHKテレビにも登場し、NHKと受信契約するが受信料は払わないと公言した。このように刺激的な発言を繰り返すのも、大衆受け狙いの迎合主義の表れかも知れないが、発言の内容は一理ある。

 放送法には、受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない、と規定されているが、受信料を払わなくてはならない、という文言はなく、支払いについては義務付けてはいないのだ。従って、払わなくても法律違反とはならないのだ。

 受信料の不払いに関してこれまで度々マスコミでも取り上げられてきたが、公共放送であるNHKの受信料は当然払うべきものと、深く考えたことは無かった。

 2017年度末、NHK放送受信料の推計世帯支払い率79.7%だったそうで、約2割の家庭が支払っていないことになり、結構な人数が支払い義務が無いことを既に知っていたようだ。大阪市の松井市長も、現職国会議員の受信料不払いを認めるなら、大阪市も役所で契約する分の支払いを拒否すると言い出した。

 この騒ぎに驚いたのか、NHKが先月30日、ホームページに警告文を掲載した。これには、”受信料を支払わなくてもいい、と公然と言うことは、法律違反を勧めることになります”、と書いてあったようだが、8月始めには削除されたようで、現時点では見当たらない。

 クギを刺したつもりが火に油で、NHKの運営の基礎となる放送法の抜け穴を自ら曝してしまった。墓穴を掘るとはこのことだ。今後、受信料不払い世帯が続出する原因になりそうだ。

 立花参院議員は上辺は軽いが、NHKにとって強烈台風の目玉になりそうだ。

 現在、NHKはインターネットと放送の融合で受信設備の多様化が進み、受信料の請求範囲を広げようとしているが、放送法の改正に関しては話題にもなっていない。この点では立花議員の今後の活躍を期待したい。

 政治家の過度なパフォーマンスは大衆の注目を集めること、すなわち票を集めることに間違いないが、立花議員に始まった事ではない。

 自民党の桜田義孝前五輪相は今年5月、岩手出身の高橋比奈子衆院議員のパーティーであいさつし、”復興以上に大事なのは、高橋さんです”と、刺激的な発言をしたのも、注目を集めたいパフォーマンスからであろう。

 極め付きは、塚田一郎前副国土交通相である。塚田氏は、下関北九州道路の道路建設の推進を総理とか副総理が直接言えないので、私が忖度して予算計上したと自慢げに語ったそうだ。自分の力を誇示するためのパフォーマンスであろうが、先の参院選で落選したのは当然だ。

 さて、先の立花参議院議員は、前言を翻し8日NHKの受信料を8割分支払うと宣言したようだ。議員に当選したため早くも保身に走り始めたと思われる。情けない。2019.08.10(犬賀 大好-571)


核廃棄物の最終処分地はほぼ決定か

2019年08月07日 09時16分01秒 | 日々雑感
 東京電力の社長は7月24日、福島第2原発の全4基の廃炉を表明し、これで福島第1原発の全6基と合わせ、県内の全10基が廃炉になると正式に決まった。

 さて、廃炉に向けて始めにやるべきことは核燃料の原子炉外への排出である。核燃料は原子炉内で燃やされた後、原子炉建屋上部にある使用済み燃料プールに一時移され、その後、建屋外の貯蔵所に中間貯蔵され、更に県外の最終貯蔵所へと移される計画である。

 福島第1原発の計6機の内4号機は東日本大震災当時運転休止状態であったため、核燃料は損傷を免れ無事燃料プールに移され保管されているようだ。3号機では燃料プールに原子炉から順次移動中のようであるが、1、2号機では水素爆発による建屋の損傷が激しいため、取り出しに向けて調査中の段階であるとのことだ。

 それより1~3号機での最大の問題は核燃料炉から溶け出した燃料デブリの取り出しが未だ手づかずの状態と言うことだ。

 5号機・6号機は、1〜4号機とやや離れた高所にあり、津波被害が軽微だったようでこれまで余り話題にならなかった。この5号機と6号機の廃炉作業を進めるため、現在燃料貯蔵プールにある核燃料を、建物外に新設予定の中間貯蔵庫に2020年度までに搬出する計画だそうだ。

 しかし、受け入れ先は茨城県にある燃料加工会社、原子燃料工業の施設で、この施設の国の審査や検査が終わる見通しが立っていないことから、福島第一原発5、6号機からの搬出が宙に浮いている状況だそうだ。

 また、第2原発の1~4号機の核燃料は、すぐにでも移動出来る状態にあるようであるが、どこに貯蔵するかが問題であった。福島県知事や国はこれまで廃炉終了までに核燃料を県外に搬出すると明言していたが、同原発の使用済み核燃料の貯蔵施設を敷地内に新設する方針を打ち出したのだ。すなわち県知事は先月30日、敷地内に使用済み核燃料貯蔵施設新設を受け入れる考えを示したのだ。

 廃炉に向けて、核廃棄物の貯蔵施設は絶対必要だが、最終処分地の選定作業は全く目途が立っていなかった。県知事が容認した核燃料貯蔵施設も一時保管の中間的な位置づけであろうが、恐らく中間貯蔵施設がなし崩し的に最終処分地となるであろう。

 福島県から原子力発電所が一掃されることは安全面からは結構なことであるが、それまで地元には莫大な補助金が出されており、その金が無くなることはこれまでに建設した建物維持費等、財政上大きな負担となる。知事の方針転換は地域振興などを考えた苦渋の決断であろうが、これで核廃棄物の最終処分場の設置の方向性は決まったと見て良いだろう。

 国の組織である原子力発電環境整備機構は、核ゴミ等の最終処分事業を行なう日本の事業体である。この事業体は、錚々たる人材を集めているが、ホームページを閲覧する限り大した活動をしていない。しかし今回の知事の決定には裏で大きく動いていたと勘繰る。2019.08.07(犬賀 大好-570)


安楽死に対する国民合意形成と法的整備を急げ!

2019年08月03日 09時24分03秒 | 日々雑感
 先日、かっての名競争馬ディープインパクトが頸椎骨折の為安楽死させられたとの報道があった。人間の場合、安楽死は殺人罪に問われるが、馬の場合動けなくなると一般に安楽死させられる場合が多いと聞いている。馬にとって幸せなことか判断できかねるが、安楽死は色々考えさせられる。

 さて、厚労省の人口動態統計で老衰で亡くなる人の率が増えていることが確認されたそうだ。老衰はいわゆる自然死であり、葬儀の席では大往生と称せられる。今回、約37万人のがん、約21万人の心疾患に続き、老衰による死者数が約11万人と3位になったそうで、ちなみに4位は脳梗塞などの脳血管疾患だそうだが、昨年3位と4位が入れ替わったのだ。

 食糧事情の改善、医療の進歩、予防医学の進歩等により、90歳以上の超高齢者が多くなっていることが主要因であろう。筆者にも年末になると、年賀ご辞退のはがきが何枚か送られてくるが、ほぼ90歳以上の超高齢者の子供達からだ。

 長生きは大変結構であるが、死まで健康でしかも仕事が出来れば更に良く、その後ピンピンコロリと死を迎えることが理想であるが、自分では選択できない。死がどのような姿でやって来るか分からないが、何らかの覚悟が必要だ。

 先日の参院選では、比例代表に安楽死制度を考える会が立候補したが結果約3.5万票で、10万票近いN党にも及ばなかった。安楽死に関し公約に掲げる党は他に無く、日本国民全般に関心は極めて低いと思われる。

 安楽死制度を考える会は、日本での安楽死制度の導入を求めている。安楽死制度とは一言で言えば、自分で自分の最後は決められるということだそうだ。

 現状、本人の意志とは関係なく、長生きさせることが善との前提に立ち、元来の寿命を越えても生き続けられるよう周りはひたすら努力する。時代も生命維持装置の発展と活用、さらに肝臓、腎臓等、各種の臓器移植等の医療の進歩によって延命が可能となってきたのだ。

 植物状態とは、脳に重大な損傷を受けると、重篤な昏睡症状となり、自己の意志を表示できない状態になることを言う。植物状態でも脳は機能しているため、生に分類される。

 安楽死の定義は、『苦しい生ないし意味のない生から患者を解放するという目的のもとに、意図的に達成された死、ないしその目的を達成するために意図的に行われる死なせる行為』とされている。しかし、植物状態の患者は、自分の状況を判断出来る意識はなく、全く苦痛もない。また、死期が迫っている分けでもない。

 従って、安楽死の対象とはならないのが現在の法的な判断だ。植物状態となっても生き続けることは幸せなことであろうか。かと言って安楽死をさせることは殺人罪に問われる。

 安楽死には、大きく分けて消極的安楽死と積極的安楽死の2種類があるようだ。消極的安楽死は、例えば患者の人工呼吸器を外すなど、自然と死に向かわせることで、一般的には尊厳死とも呼ばれている。苦痛を除去するが死期も早める薬物の投与は間接的安楽死を呼ばれ、尊厳死の一種だ。

 日本では、間接的安楽死は治療行為として合法であり、消極的安楽死も事実上容認されているそうだが、厳密に言えば違法行為であろう。

 積極的安楽死は、例えば毒薬を医者に注射してもらうというような行為があたる。安楽死制度を考える会が導入を目指しているのも、このタイプの安楽死だそうだ。裁判所は過去の判決で積極的安楽死を認めるための非常に厳しい要件を挙げており、事実上禁止されていると言えるのだそうだ。

 この種の問題は今後ますます頻発するであろう。国民の合意形成、法的な整備を急がなくてはならない。2019.08.03(犬賀 大好ー569)