日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

地球温暖化防止策に原子力の活用は是か

2022年01月12日 09時14分24秒 | 日々雑感
 昨年2021年も北米や地中海沿岸等では大規模な山火事が起き、ドイツやベルギーでは豪雨で洪水が起き200人以上が死亡したそうだ。これも地球温暖化がもたらした異常気象の結果と思われる。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、2020年までの10年間の世界の平均気温はすでに1.09度上昇したとしており、地球温暖化は着実に進行している。

 気温の上昇を産業革命以前より1.5度以下に抑えるには、2050年ごろまでに世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にしなくてはいけないとされており、日本をはじめ、ヨーロッパの国やアメリカなど多くの国がこの目標を掲げている。日本は、2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言したが、実現できる目途があっての話ではなく、先進国の勢いに押され仕方なく宣言したとの感が強い。

 これに先立つ、2020年9月に、世界最大の二酸化炭素排出国である中国の習近平国家主席が、国連総会で ”中国は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを目指す”と宣言していた。中国が先進各国より10年遅れと言いながらも脱炭素化への決意を示したからには、国際協調上日本も従わざるを得ないのだ。

 2050年カーボンニュートラルの実現は、産業部門の構造転換、イノベーションの創出といった幅広い取組が必要だ。経産省が作成したグリーン成長戦略には、再生エネルギー、水素発電や二酸化炭素を回収する火力発電の項目と並んで原子力の利用もある。原子力発電は温室効果ガスを排出せず、温暖化対策にはもってこいだが、放射能に関わる大問題がある。

 東日本大震災時の東電福島第1原発事故は10年経っても溶け出した核燃料の所在もわからず、廃炉処理の目途が立っていない。また高放射性廃棄物を回収できたとしてもその処分法は決まっていないし、汚染ごみ等の低放射性物質ですらその最終処分場も決まっていない。更に、高速増殖炉 ”もんじゅ”の挫折で核燃料サイクルは破綻しており、核燃料の再処理工場の完成が間近と言うのに、そこで出来るプルトニウムの使い道も決まっていない。

 原発には負の遺産が山済みであるのに、成長戦略には高速炉開発を着実に推進するとしており、2030年までに小型モジュール炉技術を実証するのだそうだ。2050年までにカーボンニュートラル達成は極めてハードルが高い目標だ。原子力の利用はその達成だけから見れば魅力的かもしれないが、負の遺産をそのままにして更なるリスクの上乗せは納得できない。これらの負の遺産にケジメをつけた上で次のステップに進むのが道理であろう。2022.01.12(犬賀 大好ー780)

報道の自由と政治の介入

2022年01月08日 09時16分55秒 | 日々雑感
 昨年12月、大阪府と読売新聞大阪本社は包括連携協定を結んだそうだ。この包括連携協定は、府民サービスの向上、府域の成長・発展を図ることを目的とし、教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境等の8分野にわたっているとのことだ。

 新聞社の紙面を用いた情報は、スマートホン等を介した電波情報伝達に太刀打ちできず、デジタル新聞等に手を広げているが、見通しは暗い。そこで情報を得易くする為であろうか、サービス向上の名目で政治と手を結んだ。

 先述の包括連携協定は文字面良いことだらけで表面上何ら問題ない。しかし、大阪府関係で政治的に不都合が生じた場合、大阪府側から公表を控える等の要求があるかも知れない。ジャーナリストとして当然拒否はするだろうが、日本人には忖度の得意技があり、府におもねる人や組織も出てくるだろう。

 昨年暮れ、ツイッターの匿名アカウント「Dappi」の書き込みに対する損害賠償訴訟が東京地裁で始まった。このツイッターは、野党議員の言動の一部を切り取り事実と異なる内容で執拗に攻撃していたそうだ。

 投稿に使われたインターネット回線の契約者は、東京都内のウェブコンサルティング会社と判明したが、契約者と投稿者の関係は分かっていない。攻撃内容から、投稿者は個人ではなく組織的に行っていると判断され、そこに政治的な介入があると伺わせる。資金のあるのは政権側だ。政権側に都合よく動くのは思想的に合致するからではなく、金のためであろう。

 このような国民の不信を買う出来事の発生は今回が初めてでは無いが、安倍元首相が拍車をかけたことは間違いない。森友学園・加計学園問題から始まり、桜を見る会まで、その都度安倍氏は国民に丁寧に説明すると言いながら、国民の大半は今もって納得できないでいるが、岸田現首相は菅前首相と同様に過去の話として頬被りでいる。

 最近、首相とメディア幹部との会食の話はあまり耳にしないが、安倍元首相とメディア幹部との頻繁な会食は有名であった。2016年2月、当時の高市早苗総務相は国会で、政府が政治的公平に反すると判断した放送局には停波を命じることができると答弁し、首相も擁護した。この発言に代表されるように、安倍政権によるメディアへの露骨などう喝と介入の一方で、目立つのは右派メディア幹部との親密さであった。

 最近、首相とメディア関係者の会食の話は余り聞こえてこないが、本当に無くなったのか、あるいはあったとしてもメディアが忖度して報道しないのか、それすら分からない。

 労せず政権側の情報を得るためには、仲良くすることが一番であろう。しかし一般国民が知りたい情報が選択される恐れがある。先の包括連携協定のより本来の国民の知る権利が損なわれないことを願うばかりだ。2022.01.08(犬賀 大好ー779)


個人の金融資産と国の借金が均衡しているが

2022年01月05日 10時01分29秒 | 日々雑感
 日銀が2021年11月に発表した資金循環統計によると、2021年6月末時点の個人の金融資産残高は1992兆円となり、過去最高となったそうだ。 個人の金融資産とは預貯金、株式、投資信託等だ。一方、国の借金が、2020年12月末時点で初めて1200兆円を突破したとのことだ。国の借金とは国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したものであるが、大部分は国債のようだ。日本政府が発行する国債は、銀行・保険会社・公的年金・日本銀行だけで約8割買っているが、これらの組織は、国民の預金や保険・年金の掛け金で買っていることを考えると、日本の借金は間接的に国民が負担しており、国の借金を支えているのは個人の金融資産と言うことになるだろう。

 国の借金がGDPの倍以上となるのに国の財政が破綻しない理由は、借金と資産がほぼ均衡しており、日本を一つの家族と考えると、家族の中での貸し借りであり、外の世界には迷惑をかけていないので何ら問題ないからだそうだ。この論法に従えば、まだ個人の金融資産の方が多いので安心して借金できることになる。

 しかし、この裏には国内の経済格差の拡大問題がある。個人金融資産の内訳は、現金・預金が1072兆円、株式等は210兆円、投資信託は89兆円等だそうで、現金・預金が大半を占めるが、これらは高齢者が多くを占める一方、貯蓄がゼロの若者も多いようだ。

 貯蓄が全く無い割合は20代単身者の45.2%、30代で36.5%、40代で40.5%となっており、若いほど貯蓄しておらず、年代間の格差が大きいようだ。

 しかし、より問題が大きいのは同世代間の経済格差だ。岸田首相の”成長と分配”において、この格差を縮めるための分配と位置づけている。しかしコロナ対策として分配された一昨年前の特別給付金一人10万円支給も貯蓄に回す人が多く、格差を縮めたとは言い難い。

 安倍元首相が始めた異次元金融緩和は現在も続行中であるが、この政策は格差を縮めるよりは拡大する方向だろう。岸田首相も経済格差を問題とするならば、まず金融緩和の見直しから手を付けるべきだろう。

 首相は分配のための原資を成長により得ようとしている。もっともであるが歴代の政権はいずれも失敗しており生易しいものではない。手っ取り早いのは税金であるが、消費増税は選挙での大敗を覚悟せねばならず、法人税に関しては国際競争力との関係、所得税に関しては累進課税の見直し等が必要になるが、首相は思い切った決断が出来るであろうか。

 個人の資産と国の借金が均衡しているためか、日本の財政破綻は免れているが、最近円安が急激に進んでいるとの話だ。円の価値が低下していることを意味するが、これも異次元金融緩和の負の遺産だ。今年はインフレが一気に進みそうな嫌な予感がする。2022.01.05(犬賀 大好ー778)

日本の中小企業の将来は経営者の頭の切り替えに関わる

2022年01月01日 11時30分40秒 | 日々雑感
 総務省によると、日本の総人口は約1.3億人で、生産年齢人口(15歳~64歳) は約0.75億人とその割合は58%であり、生産年齢人口のうち、1年を通じて勤務した給与所得者数は約4,500万人でその割合は60%ある。また、2020年の日本の平均給与は433万円、2019年が436万円、2018年が441万円で、2年連続で前年を下回っているそうで、恐らく中小企業の従業員の給与はこの平均より低いだろう。 

 世界で3番目の経済大国であるはずの日本の労働者の所得水準は、先進国の平均値より低く、今や経済協力開発機構(OECD)加盟国中22位と韓国より低いというのが現状だそうだ。

 この原因の一つが労働生産性の低さにあるのだそうだ。労働生産性とは従業員1人当たりがどれだけの価値を生み出したかを指標化したもので、企業が生産によって生み出した付加価値を従業員数で割ったもので、労働の効率性を測る尺度になる。

 日本の労働生産性が低い理由は付加価値を生み出す力が弱いこと、すなわち一つの仕事に携わる社員数が多く、時間をかけすぎていることが挙げられるが、その要因の一つは企業の中でも中小企業が多いことが挙げられるとのことだ。日本の場合中小企業の定義は製造業で従業員300人以下、小売りは50人以下だ。

 中小企業は、我が国421万企業のうち99.7%を占め、従業者数においても7割を占めているのだそうだ。中小企業においては分業体制が整っておらず、少人数で営業から製造等までと何から何までしなければならず当然効率も落ちるのであろう。中小企業はこれまで日本の産業を支えて来たと言われているが、近年中国を始めとする東南アジア諸国の追い上げにあい、曲がり角に来ている。

 日本において、かくも中小企業が多い理由は何であろうか。根源は前回の東京オリンピックの前年の1963年に成立した中小企業基本法にあり、中小企業を守るための法人税率軽減や交際費の損金処理など数々の優遇措置があるそうだ。中小経営者の多くはこの制度にどっぷりつかり改革の意欲が少ないと主張する人もいる。

 さて、コロナ禍で、政府は持続化給付金制度を打撃を受けた中小事業者向けに最大250万円を支給する制度を作った。この給付金によって救われた事業者は多かったのであろうが、片やコロナが無くても経営に行き詰まった企業もこの金によって生きながらえた例もあるようだ。

 日本のような先進国は、もっと付加価値の高い製品やサービスにシフトする必要があるが、コロナ禍で債務が急増しており、感染収束後、債務返済が優先され、省力化をはじめ設備投資に資金が回らない背景もあるとのことだが、一番重要な点は経営者の頭の切り替えであろう。
2022.01,01(犬賀 大好ー777)