日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

エンジン自動車の燃料はガソリンとは限らない

2023年04月12日 14時21分27秒 | 日々雑感
 EUの欧州委員会は2021年7月、乗用車や小型商用車の新車による二酸化炭酸ガス(Co2)排出量を2035年までにゼロにする規制案を発表した。ハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車への移行を促す内容で、欧州議会も2022年10月にEU加盟国と合意していた。

 しかし、自動車メーカーを多く抱えるドイツが今年2月、イーフューエル(e-fuel)を使用する車両は認めるべきだと主張し、イタリアなど他の加盟国の一部も同調した。欧州委員会も3月25日、条件付きで認めることを明らかにした。Co2と水素を合成して作る液体燃料e-fuelを使用する車両を販売できるようにした訳だ。

 e-fuelは燃焼時にCo2を排出するが、工場などから出るCo2を原料とするため差し引きゼロと環境負荷が低い上、2035年にガソリン車の販売を禁止したところでそれまでのガソリン車の使用は圧倒的に多く、e-fuel使用車を認めたところで大勢に影響ないことから取られた処置であろう。

 e-fuelの最大のメリットは、ガソリンや軽油と同じように使えるため、既存のガソリン車や軽油車で燃料としてそのまま使え、また、既存のガソリンスタンドの設備で使えるため、新たな設備を導入する手間やコストがかからないことのようだ。一層のこと、ガソリンの使用を禁止しe-fuelのみを許可するようにすれば良いと思われる。

 地球温暖化の影響は年々激化しており、世界の流れは電気自動車化であり、エンジン付きの自動車は絶滅の方向かと思っていたが、ガソリンに代わるe-fuelなるものが登場したのには驚いた。価格はガソリンより割高になるようだが、既存のエンジンや設備が使えるとのことで、それなりのメリットがある。しかし、複雑な構造のエンジンを搭載しなければならず、EVはガソリンエンジン車より部品点数が3〜4割減ると言われておりいずれEVの天下となろう。

 しかし、現状EVの最大の欠点は蓄電池にあり、エネルギー密度の低さ、重すぎる重量、価格の高さが問題であり、これらが解決されれば一気にEV化に突き進むであろうが、ガソリンエンジン車は排気ガス以外は優れた技術の塊だ。ガソリンに代わるe-fuelは一時しのぎかも知れないが、同様な代替え技術はこれからも出てくるに違いない。

 ハイブリッド自動車では世界の先頭を突っ走るトヨタ自動車も今年4月初め、2026年までにEVの新たな10モデルを投入し、同年に150万台の販売を目指すと発表した。2022年に世界販売台数が首位のトヨタだが、EVに限ると28位で世界から大きく後れを取っている。

 しかしトヨタが全社の総力を挙げてEVに進むとは思えない。e-fuelはもちろん水素燃料電池車等も検討しているとのことだ。これから10年の間に自動車の形態も一新される予感がする。2023.04.12(犬賀 大好ー905)

世界を二分する人口抑制対策と少子化対策

2023年04月08日 10時03分23秒 | 日々雑感
 現在、世界の人口は79億人を超えるが、このまま増加を続けると2050年の世界人口は97億人を突破すると予想されており、食糧や資源の不足から人口抑制対策が叫ばれている。しかしその一方、経済が発展した先進国では少子化が問題となっており、特に日本では異次元の少子化対策が検討されている。現在の地球上は真反対の対策を必要とする国で二分されている。

 世界人口の増加の過半は、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、等の発展途上国と言われており、経済的に貧しい家庭が多く、労働力の確保が子どもを産む理由の一つにもなっているそうだ。また、避妊や中絶などの知識不足や医療体制の不備から幼児の死亡率が高いことも発展途上国の出生率が高い原因ともなっているようだ。

 昔から貧乏人の子沢山なる言葉がある。これは、子どもを育てるためには金がかかり、そのため子どもの多い家庭は貧乏となる、とも解釈できるが、マウスなどの動物を実験で食料不足の状態に置くと多産化する傾向が認められていることと同じ現象が人間界でも起こっているとの解釈も出来る。人間男子の精子の数が飽食の現代、減少しているとの記事を何かの本で呼んだ記憶がある。種の保存の原則を考えるとありそうな話だ。

 人口の急増は、産業革命によって経済が発展したころから発生するようになったようだ。産業革命以前の飢えの時代は子どもがたくさん産まれても長生き出来ないため、人口が増えなかったのであろう。技術の革新によって作物の生産能力が上がったことや、医療の発達により、死亡率が低下したこと、が急増の原因に挙げられる。しかし、更に経済が発展し生活が豊かになると、飢えの心配がなくなり価値観が多様化し、出生率の低下となるのであろう。

 地球全体で見た場合、現在の技術や環境で何人の人間を養なうことが出来るか。様々な仮定の下様々な説があるが、現在地球上に混在する飽食の人々や飢餓に苦しむ人々を平均化しても、97億人は既に定員を超えているのかも知れない。

 この点、発展途上国の人口急増の対策は必須だが、先進国の少子化対策はそれほど必要ないのかも知れない。先進国の問題は人口構成にあり少数の若者が多くの老人を支えなくてはならないところにある。日本も団塊の世代がいなくなれば安泰だと主張する者もおり、高齢者にとって住みにくい社会となりそうである。

 地球上を二分する問題の解決には、発展途上国と先進国の協力が必要だ。途上国では安定した生活の確保、先進国は資源や食糧の大量消費・大量廃棄をまず辞め、途上国を支援する必要がある。また、先進国の少子化を補うため移民の大量受け入れも必要かもしれない。2023.04.08(犬賀 大好ー904)

少子化対策より移民増強対策の方が現実的

2023年04月05日 09時16分49秒 | 日々雑感
 4月1日、政府は異次元の少子化対策の試案を公表した。これまでの政権も同様な問題意識で何らかの対策を講じてきたが、出生率の回復等目的は達せられていない。岸田首相は ”少子化はこれ以上放置できない待ったなしの課題”と強調しているが、今回の試案においても、考えられるすべての項目を羅列しただけとの感が強く、また児童手当の拡充等多大な資金が必要となるにも拘らず財源の裏付けが無く、問題だらけである。

 そもそも少子化対策がなぜ必要か。大別して2つある。生産人口の減少と日本民族の減少である。まず、人口の高齢化は生産年齢人口の減少であり生産量の減少あるいは消費量の減少、またサービスの低下となり、経済の停滞あるいは減退を招く。現在の人口は多過ぎで半数位が適当と主張する人もいるが、問題は年齢層の分布にあり、一番の問題は少数の若者が多くの高齢者を支えなくてはならないところにある。

 また、子供の数が減ることから、子供の自主性や社会性育成における障害、子供の心身の発育過程において過保護・過干渉になり易いことや、幅広い人間関係を育む機会が減少し、自主性や社会性が育ちにくいこと等を指摘する声もある。

 しかし、これらのリスクは、労働生産性の向上、教育環境の整備等により致命的とはならないだろう。例えば海外からの移民等により、大部分をカバーできるだろう。

 しかし、日本民族あるいは日本人の減少となると、日本文化、伝統の継承の担い手が減少し、世界における日本の存在感が損なわれる可能性がある。これは、移民等によって不可能ではないが、困難であることは間違いない。

 少子高齢化が叫ばれる近年、国内の企業のあいだでは募集をかけても採用できないと、人材の確保に苦労する声がある。厚生労働省が発表している有効求人倍率を見ると、2019年12月の有効求人倍率は1.57倍であり有効求人倍率が1を超えた2014年ごろから、国内の採用は売り手市場となっているのだ。

 一方で、国内で働く外国人の数は右肩上がりで増えている。厚生労働省が発表している”「外国人雇用状況」の届出状況”によれば、2022年10月末時点で国内に滞在する外国人労働者数は182万人を突破し、2022年は過去最高記録を更新した。これは国内の人手不足の裏返しであり、技能実習制度だけでは間に合わず、2019年4月に入管法が改正され、新たに在留資格「特定技能」が創設された。人手不足が深刻な産業分野介護・農業・漁業・宿泊・外食業等の12業種において、外国人材の受け入れを可能にしたものだ。

 政府も外国人の就労を促進する制度を新設しているが、労働者を送り出す発展国と日本の賃金格差は縮まりつつあり、今後日本で働く希望者は減っていくと予想される。特に昨今の円安状況では日本で働く魅力がなくなり、希望者が減るどころか逆に海外で働くことを希望する日本人が増えているとのことだ。

 日本人の出生数は 2019年、86.5万人となり、昨年はついに80万人を割り込んだ。異次元少子化対策や子ども家庭庁の新設等でも出生率の回復は難しいだろう。経済の活性化を図るためには、出生率の増加より、移民の増加の方が現実的と思われる。2023.04.05(犬賀 大好ー903)

気候のゆらぎに地球温暖化が重なると

2023年04月01日 15時17分52秒 | 日々雑感
 近年日本の海で海洋生物の異変が良く報道される。今年03月はじめ、山口県長門市の漁港で、迷いクジラが発見されたそうだ。迷いクジラと言えば今年1月にも大阪湾淀川河口近くに全長15メートルのクジラが現れ話題になった。
また、1月12日には富山市の漁港で、世界最大級のダイオウイカとみられる赤いイカの泳ぐ姿が確認され、更にボラの大群が名古同月屋市北区を流れる黒川で5日に目撃され、秋田、山形、新潟の3県ではホシフグが大量に打ち上げられた。北海道の海岸では数キロにわたってイワシの死骸が大量に漂着したと、各地で異変が報告されている。

 海洋生物の異変は地球温暖化の影響と報道される。大気中に排出された二酸化炭素などの働きで、地球の気温が上昇する現象は気候や海水温等に影響を与えはじめ、日本近海では海面温度が0.7~1.6℃上昇し、今年7月の海水温と過去30年の7月の平均値を比較すると、2~4℃高い海域が増えていて、こうした傾向はここ5年ほど続いているそうだ。

 魚は、その種に適した水温の海域に集まるため、水温の変化は魚の分布に大きな影響を与え、サンマの不漁はマスコミで良く報道されている。また、サンマに限らず10年ほど前と比べてみると、函館のスルメイカは10分の1、岩手県のサケは46分の1にまで減っているそうだ。逆に温暖な海を好むサワラは、九州と瀬戸内海で取れる魚と思っていたが、最近日本海北側、太平洋北側でも漁獲量が増えているようだ。

 海水温の変化は炭酸ガスによる地球温暖化ばかりでなく「レジームシフト」と呼ばれる海洋の環境変化にも影響されるらしい。レジームシフトとは、聞き慣れない言葉であるが、気候が30~50年の周期で変化することで、一種の気候のゆらぎであろう。

 日本近海でいえば、寒流である親潮の強い時期と、暖流である黒潮の強い時期が交互に現れ、親潮が強いときには冷水を好むイワシなどが、黒潮が強いときには暖水を好むカタクチイワシ、ゴマサバの漁獲量が多くなるそうだ。

 また、海洋の環境変化は、大気の状態とも密接な関係があり、太平洋の赤道付近の中央部からペルー沿岸にかけての広い海域で、海面温度が上昇する「エルニーニョ現象」や逆の「ラニーニャ現象」が起きるのは、太平洋の赤道付近で吹いている貿易風という東風が影響していると言われている。これらの現象は、地球温暖化とは別の現象とも言われているが、どちらの影響が大きいか等、詳しくはまだ分かっていない。

 地球温暖化の防止は炭酸ガスの排出規制等で議論されているが、レジームシフトに関しては原因が分からず、従って対策どころではない。地球温暖化は着実に進行し、レジームシフトはある周期でやってくる。両者が打ち消しあえばよいが、強め合えば海洋生物の異変に止まらず人類にとっても大変なことになるだろう。2023.04.01(犬賀 大好ー902)